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女王陛下になりました?  作者: 甘木
2.領地の整備を始めました
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11.ブラントン伯爵来訪

 意外な訪問者がやってきた。

 いや、ブラントン伯爵は意外じゃない。むしろ当然来るだろうと思っていたし、事前に前触があったから待ち人きたるだけど。


 ブラントン伯爵と一緒に来たのはドロシー・パピオン。迎賓館で襲撃者の手引きをして逃亡した王配付きだったメイドだ。どういうことなの?


 ドロシーはブラントン伯爵家配下のパピオン子爵の次女で、逃亡先のパピオン子爵家で拘束され、詮議の結果ブラントン伯爵家預かりになったんだって。

 自分の家に逃げればすぐに捕まるよね。でも他に逃げる場所はないか、貴族の子だから下町に潜むなんて頭にもないだろうし、無理そうだ。


 慎二くんが

『手引きしたメイドは騎士に強制されたと考えている。罪ではあるが配慮せよ。』

 って言ってあったから、ブラントン伯爵家預かり程度で済んだんだそう。

 パピオン子爵はもちろんの事、ブラントン伯爵も関係者から重罪人を出さずに済んだ訳だから、思わぬところで貸しができたんじゃないかな。


 ブラントン伯爵との挨拶に続いて、ドロシーの謝罪を受け入れ、手押しポンプの現場を確認して貰った後、本題の図面取引契約の打ち合わせが始まった。

 最初に、私から一言、

『この図面は、金銭で譲るつもりはありません。』

 と言って、微笑む。これで今日の私の仕事は終了。後はお願いします。


 ブラントン伯爵が私を見つめる。いくら見られても、もう私からはなにも出ませんよ。

 私の微笑みが引きつりそうになる直前、慎二くんから一言。

『以前申し入れた案件の確約を頂きたい。』

 視線が慎二くんに移動した。よかった、間に合った。引きつった顔は見られなかったね。

『領地間の道路の整備と、有事におけるブラントン領軍によるタウンゼント警備です。』


『有事での協力は当然致します。道路の整備とは、どのようなものでしょうか。』

『こことブラントン領都間を、馬車が2台並んで走れる程度には広げたいと考えています。もちろんタウンゼント領内はこちらで実施しますが、ブラントン領内をお願いしたい。』


 前もって聞いてはいたけど、領都間の距離って300~400km位あって、その2/3がブラントン領内だから、相当な距離だね。何年かかるのかしら。


『わかりました。そのように致しましょう。手押しポンプが齎す利益を考えれば、その程度であるのはありがたいことです。』


 経路と分担の打ち合わせに入り、合意して慎二くんとブラントン伯爵が握手を交わした後、ブラントン伯爵が語り始めた。


『ドロシー・パピオンですが、あらためてメイドとして使っては頂けないか。タカツカサ家に仕えることができれば、罪が限りなく無かったことに見られ、パピオン家が救われます。』


 確かに被害を受けた方が気にせず雇えばそうみえるわよねー。と思っていたら、慎二くんが私を見ていることに気が付いた。

 私が答えるの?仕事は終了だったよね。でもこれは仕方ない。


『わかりました。当初のように、王配、いえ配偶者付きとして雇用しましょう。』

これで良かったよね。と慎二くんを見ると、


『交渉事はここまでにしましょう。

 少しお尋ねしたいことがあります。男同士で飲みながら話しませんか?』

『ありがたい、のどが渇きました。ぜひご相伴させて頂きたい。』


 あれ?私はお邪魔なの?お酒はあまり好きじゃないから良いけれど。何を話したかは後で教えてね。と考えながら慎二くんを見ていた。彼もこちらを見たから、きっと鑑定で私の考えが分かったに違いないね。

登場人物

 ヘンリー・ブラントン :ブラントン伯爵

 ドロシー・パピオン  :メイド


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