9.勉強会
「君に頼みがある。」
私に頼み?特に何もやることが無く、暇で仕方なかったからウエルカムよ。
「なになに?」
「この国を調べて欲しい。セバスに聞いて、国の形をまとめて欲しいんだ。どんな貴族がいて、どこにいるか。それぞれの規模は。特徴は。そういったところかな。」
早速セバスを呼んで、勉強会だ。
書斎があることは知っていたけど、手に取った本は暇潰しの物語ばかりだったので、そこに資料があるとは知らなかった。
セバスは1冊の本を私の前に置き、
『こちらは貴族年鑑になります。王家、公爵家、侯爵家、伯爵家の家系図が記されております。2年前のものですが、この間に代替わりはありませんので、最新のものになります。』
『子爵や男爵はないのですか。』
『子爵、男爵、騎士爵は掲載がありませんね。公爵家、侯爵家、伯爵家それぞれの家にはあるでしょうが。』
とりあえず知っている貴族はひとつしかないので、ブラントン伯爵のところを見てみると、まあ、娘さんが2人いたのね。お城では会っていなかったわ。まだ小さいのかしら。それとももうお嫁に行ったのかしら。
この本には家系図しかないのね。規模や特徴はこれでは分からないね。
『それぞれの家の領地がどこにあるかが判る本はないのですか。』
『ございません。』
ソウデスカ。コマッタワ。
私が困った感じを出していると、ここからがセバスの本領発揮だった。
少々お待ちをと言って、私付きのアンにペンとインクと紙を持ってくるよう指示を出し、テーブルに紙を広げると、貴族名と領地を書いていく。
『このような感じでございます。広さは大体ですが、位置関係は間違いございません。』
出来上がったマンガ地図を基にして、説明してくれた。
・貴族の領地の隣には、必ず王領があること
・決まった公爵領は無く、王領のどこかが公爵領になっていて、
そこの税は国に収める必要がないこと
・子爵、男爵、騎士爵は王家、公爵家、侯爵家、伯爵家の配下であること
・侯爵、伯爵は家格が侯爵の方が上である以外に差はないこと
・侯爵、伯爵に男子がいない場合は、女子の襲爵も許されていること
・侯爵、伯爵の後継になれなかった男子は、
一代限りの騎士爵になるのが暗黙の規則であること
教えて貰っているうちに、最初よりも来易い感じになってきて、
『私はここに飛ばされた時に王家の子爵になりました。名ばかりですが。』
『侯爵に陞爵すると国に収める税の比率が上がりますから、家格が上がるのも善し悪しですな。』
『侯爵、伯爵の次男、三男は、子爵や男爵の養子になるのが例外としてあるのですが、今はどちらが例外かわかりませんな。』
なんてことも言っていた。
それなら伯爵の方が領地としては強いのでは?ブラントン伯爵家はどうなんだろう。
『今日のところはここまでにしましょう。貴族年鑑とこの地図を見比べてみます。』
私はそう言ってお開きにした。
メイドや徴税官に貴族の子息がいたわね。侯爵、伯爵の子供はいるのかしら。調べてみる価値はありそうね。
調べてみたら、なんとついて来たメイドは全員侯爵、伯爵関係者だった。
モウヴレイ公爵家2名(家令、徴税官)
ダグラス侯爵家2名(メイド長、徴税長)
ウエルズ侯爵家2名(メイド、徴税官)
ヨーク伯爵家1名
ブーン伯爵家1名
ヴィアーズ伯爵家1名
テック伯爵家1名
ハーウッド伯爵家1名
ピンシャー伯爵家1名
バセンジー伯爵家1名
ヘレフォード伯爵家1名(徴税官)
家格が上の人が2人とも長なのは偶然かしら。




