12.交渉
もうすぐ夜明け、という時間帯に、ソマリ猫こと宰相がやって来た。
転がしたままの騎士の前で、慎二くんが淡々と事情を説明している。もっと高圧的に言うのかと思っていたけど、こういう時は静かに話した方が内なる怒りを感じて怖いね。
勉強になります。
でも、交渉条件を良くしようって感じではない気がする。恐怖心を植え付けることに特化してるのかな。
騎士2名が襲い掛かったのに、何事でも無いように制圧しちゃったんだから、私たちへの恐れや警戒が増したのは間違いないと思う。文官のソマリ猫さんにとっては慎二くんの一挙手一投足が相当に恐ろしいに違いない。
ソマリ猫さんは騎士の暴走だと言い訳していたけれど、さすがにそれで済むとは考えていないだろう。表情が暗い。この後の処置を任せて欲しいと言ってきたのに対し、慎二くんは私を見た。
「なに?私が決めるの?」
私がそう言うと、慎二くんは軽く頷き、ソマリ猫さんに向けて
『それでよい。但し、処置結果を報告せよ。結果が満足できるものでなければ、我らが処置する。』
女王の意向を確認したわけか。芸が細かいわ。ついていけるかしら。
「ねえ、我らが処置ってどうするつもり?処刑とか、怖いことできないし、血を見たくないよ。」
「するつもりはないよ。まず収監、刑罰の結果が出るまで時間が掛かるはずだよ。腐っても騎士だ、一般兵士なら即処刑もあるかもしれないけど。」
そう言うと、またソマリ猫さんの方を向いた。
『手引きしたメイドは騎士に強制されたと考えている。罪ではあるが配慮せよ。』
メイド長に聞こえるように言ったね。
メイドの子たちが安心してくれるといいな。威圧しちゃったしね。
『賓客警護の騎士を用意せよ。採用可否は女王陛下と私が決める。』
そうよね。警備体制が存在していないのも今回の失態原因だもんね。慎二くんの鑑定があるから、ある程度は信頼できる体制になるのよね。大丈夫よね?
ソマリ猫さんは了解の回答をする。
『かしこまりました。明日中に選別し、明後日こちらに連れて参ります。先行して本日午後に警護長を紹介致します。面接の方、よろしくお願い致します。』
今日の午後か。あまり寝ていないから辛いな。飲み食い以外にやることがないから、うたた寝できるだろうから問題ないかな。




