9.国王 その2
登場人物
ロバート・サイベリアン:サイベリアン国王
『今回、我が国の召喚事業で迷惑を掛けたこと、誠に遺憾に思う。サイベリアンの名において謝罪する。初めての召喚により、手違いがあったようだ。』
「ねえ、国王は謝っているの?サイベリアンって国の名前だったよね。」
「一応謝っているな。国名と王の名が同じなんだろう。だが、初めてと言っている以上嘘だな。言い訳していると思った方が正解だね。」
『謝罪は受け取った。だが、宰相らからは戻れないと聞いている。どうしてくれるのか、伺いたい。』
『女王陛下は何をお望みか?』
あれ、私?
「オマカセシマス。」
「もう少し何か言え。」
「そうねぇ。王に退位して貰って、私が王位に就くってのはどうかしら。」
「それいいな。それで言ってみよう。」
『今回の件で責任を取り王には退位を。我が女王がこの国の王に。これなら仕方ありません。納得しましょう。』
『なっ・・・それはできない。この国は人口50万を超える大国である。簡単に王が退位などできぬ。』
『桁が違う。我が女王陛下は一億を超える民の王だ。たかが50万の国の王で許すと言う慈悲が判らぬようだ。』
『ばかな、一億だと。』
「50万人って少ないわね、それで大国なんだ。」
「この時代の技術水準なら50万は多い方かもな。多分実際はもう少し多いだろう。把握しきれていない分があるだろうから。広さにしても、馬車で何か月も掛かるところまで統治できないだろう。しているつもりでも実際は自治区さ。」
国王がフリーズしている間、私たちが雑談していると、宰相が
『希望は承りました。ご満足いただけるような条件は難しいですが、最大限検討、考慮致します。今日のところはここまでとして、持ち帰らせて頂きたいと存じます。』
「あんなこと言ってるけど、許可出した方が良い?」
「いや、俺が言う。」
『3日待ちましょう。3日後、同じ時間にここで聞きます。』
扉の脇で土下座している騎士、”許す”で威圧が解除できました。ON/OFFのやり方がわかって良かった。