0.プロローグ
「0.プロローグ」を入れて16話を予定しております。
入籍してからそろそろ1年。新婚旅行に行くことになった。1年以内だから、まだ新婚だよね。初心者マーク外れてないし。
私の夫は小説家で、慎二くん。パソコンさえあればどこでも仕事ができるから、ここまで延び延びになっていたのは私がまとまった休みを取れなかったせいである。申し訳ない。
二人とも両親は既におらず、結婚披露宴も慎二くんの弟妹たちとの飲み会で済ませてウエディングドレスを着ていない私に、旅行の前に記念の写真だけでも撮ろうと慎二くんが提案してくれた。
別に急いで撮らなくても良いと言ったんだけどね。
吞気で楽観主義の君には突然決めてあげないと一生着ないで済んじゃうよと言われたらごもっともだ。
ウエディングドレスを着るためには準備がいるから急に言われても困ると言うのが本音だけど。
急遽矯正下着を買うはめになったのは仕方がない。1週間ではそれ以外の対策はないものね。
一応新婚旅行なので、旅行に持ち出す下着は全部新品を準備した。ソーラーモバイルバッテリーも持って行く。慎二くんのことだから場所に構わず旅行記を書くに決まっているし、電池切れも想定の範囲内だ。気が利く奥様である。
写真館に行って写真を撮って、その足で旅立つスケジュールには少し呆れたが、慎二くんの性格ならそうなるだろうと思ってはいたので、まあこれも想定の範囲内だ。写真館にスーツケースを転がして行くのが何か恥ずかしいが仕方ない。
登場人物
鷹司 小百合:看護師
鷹司 慎二 :作家