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運命の王子達

未曾有の大災害から数年後、少し逞しくなった王子達の姿が王宮の庭にあった。王子達は国王軍軍団長チョビと共にネギの研究をおこなっていた。


ヒカル『チョビさん、このネギの成長具合は前年に比べると凄く良いですね。やはり、土壌改良したことが効果的だったのでしょうか。』


チョビ『そうですね王子。昨年は日照りが少なく雨が続いていたこともあり、ネギの生育環境としてはあまり好ましくありませんでした。しかし、その間堆肥作りに着手し、今年はしっかり土壌改良してきたことが今のネギの成長に繋がっていますね。』


リョウヘイ『その前はベト病(ネギが罹る病気)も流行りましたもんね。チョビさんがフロアブル剤を撒いてくれてなかったら全滅していたでしょうね。』


チョビ『あれは雨にも強く、浸透移行性による優れた予防効果が期待できますからね。しかし、農薬の使い方はきっちりとルールを守ることが大切でございます。』


ヒカル『もちろんですよチョビさん。人が口にする食物ですからね。安心して食べてもらえるように全ての農家さん達が努力をされています。』


どうやら王子達は毎日毎日、王宮の庭で勉強を続けていた様子。


ヒカル『僕達は母上を救う方法を考えて、このフープ王国の特産物であるネギに辿り着いたんです!僕達でもっとネギを研究していく必要がありますよ!』


リョウヘイ『確かに早く母上を助けてあげたい。でも、時々は母上にも会いに行ってあげてよ。お兄ちゃんが勉強熱心なのは分かるけど母上もきっと寂しがってるよ。』


王妃は一命を取り留めたものの、昏睡状態が続いている。謎の病を治す特効薬は未だに開発されてはいなかった。


そして国王はあの日以来、一言も口を開くことがなくなった。王妃の命を引き留めるために、自らの身体を捧げる秘術により石像と化してしまったのである。


謎の病により昏睡状態の母親を救う為、石像になってしまった父親を救う為、若き王子達は方法を考え続けている。


レイ『王子様達の熱心な研究によってこの国の名産ネギのことが段々分かってきましたね。』


大臣の登場に王子達が駆け寄る。


ヒカル『レイさん!先日の研究発表をお聞きになりましたか?やはりこのネギという植物には硫化アリルという成分が含まれており、高い抗菌作用と抗酸化作用が認められ、免疫力が高まるということがわかりました。他にも沢山の成分が含まれている為、もう少し研究を進めるべきだと思いました。そこで相談なのですが、研究の為にこの世界を旅したいのです。』


突然の提案に皆が驚いていた。


チョビ『いけません王子!国王があのような状態になられて、お妃様も昏睡状態のままでございます。第一王子であるヒカル様が旅に出られるとなると国民に大きな不安を与えかねます。研究に関しては国王軍の調査研究に任せるべきです。』


リョウヘイ『そうだよ!なぜいつも自分のことばかりなのさ!母上が大切じゃないのか!?』


ヒカル『母上が大切だから行くんだろ!!もう何年も手をこまねいて待っているだけではダメなんだ!僕が動いて助けるんだ!いつ謎の病がまた流行るかも分からない。このネギという植物に希望があるならそこに賭けるしかないんだよ!』


レイ『ヒカル様がそう考えるのであれば、挑戦してみてください。私の尊敬する国王ならばきっと同じように自分の足で探しに行っていたでしょう。』


リョウヘイ『でも!答えなんか見つからないかもしれないじゃないですか!?』


ヒカル『リョウヘイ。僕の心はもう決まっていたのさ。人は心が決まってしまうと行動せずにはいられなくなるのかもな。』


リョウヘイ『そ、そんな、、、』


レイ『では数名の護衛と共に旅の支度をしてくださいませ。良い成果をお待ちしております。』


ヒカル『はい!!』


そして第一王子はフープ王国の特産物であるネギを研究する旅に出かけるのであった。残された第二王子は心にしこりを残しながらも逞しい兄の背中を見送るしか無かった。


第四話完


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