第3話「反復」
第二幕 3話「反復」
カラオケ
コール「〜〜〜〜♪」
ディレイ「〜〜〜〜♪」
プリズム「〜〜〜〜」
ベティー「……………」
ベティー「(ダークシグナルを省いてしまった)」
ベティー「(コールとディレイで精一杯だった…)」
ベティー「(コールなんてこの世界で会うの2回目だし、急にカラオケ誘ってめちゃくちゃ困惑されたわ…)」
ベティー「(まあ今度余裕ができたらダークシグナルとも仲良くなろう)」
ベティー「(それにしても)」
ベティー「(なんで、なんでコールは持ってるんだ?)」
ベティー「(あの懐中時計…)」
ベティー「(まさか世界線が共有されてて…いや、そんな事あるのか…?)」
ベティー「(この世界線では、プリズムがコールに直接渡しているのかな…)」
(ベティー「プリズム、時計持ってない?」)
(プリズム「持ってない」)
ベティー「(あの時、プリズムが懐中時計を持っていなかったのは既にコールが持っていたからか…)」
プリズム「……………」
コール「ベティーは歌わないのー?」
ベティー「ああ、歌おうかな」
〜〜〜♪
ベティー「授業中に出したら〜♪」
ディレイ「何この曲…」
コール「ねえねえ!コール、ポテト食べたい!いいでしょー?」
ベティー「ああ、いいよ」
コール「わーい!」
ディレイ「コールちゃん、そんなに頼んだら…」
ベティー「全然いいよ、気にしなくて」
プリズム「この人、散財が趣味だから」
ベティー「お金使うのって気持ちいいよな!」
コール「ベティーって変な人だね!」
ベティー「そうだよ、ギャハハハ!」
コール「あはははっ!」
ディレイ「…………」ススス
ゲームセンター
コール「ねえねえ、まだ取れないのー?」
プリズム「下手くそ」
ベティー「ぐっ…あの引っかかりさえなくなれば」チャリン
ディレイ「あの…手前ばかりではなく奥を狙った方がいいかと…」
ベティー「じゃあ狙ってみようかな」ウィンウィンウィン
筐体「この瞬間がドキドキだねっ!」
ボトッ
ベティー「あっ」
筐体「拍手〜〜〜!!」チリンチリン
コール「おー!ディレイちゃんすごーい!」
プリズム「さすが」
ディレイ「い、いえ…」テレテレ
ベティー「やったの俺なのに…」
公園
コール「じゃあコールおにねー!」フリフリ
プリズム「捕まえられるかな、ボクを」
ディレイ「手加減しませんよ」
ベティー「俺を鬼にしてみろ、どこまでも追いかけ回してやる」
コール「じゃあベティーは狙わないね!」
ベティー「おい!」
夕方 公園
コール「じゃあね!みんな!」
コール「ベティーも今日はありがと!取ってくれたフィギュア、大切にするね!」
ベティー「ああ、気をつけて」
ディレイ「じゃあわたくしもそろそろ失礼します。今日はごちそうさまでした」
ベティー「ああ、また遊ぼうな」
プリズム「じゃあボクも帰る」
ベティー「ああ、…って帰るのか!?」
プリズム「冗談、すぐそうやって間に受ける」
ベティー「ふっ…残念ながら帰れないと。この世界にいる間は一心同体だからな」
プリズム「いつまでこんな事続けるつもり?」
ベティー「いつまでも」
プリズム「そういう訳にはいかないでしょ、お金なくなったらどうするの」
ベティー「世知辛い事言うなよ、夢の世界じゃなかったのか?二次元は」
プリズム「夢を見るにもお金が必要」
ベティー「二次元ランド把握」
ベティー「……俺はもう帰りたくねぇ。あんな世界で頑張って、何になるっていうんだよ」
プリズム「そういう事言っちゃう」
ベティー「あの世界に平等なんてない。いや、平等こそが不幸なんだよ」
ベティー「誰かが幸せになるには、他の誰かが重荷を背負わなければいけない。敗者がいるから勝者がいる、そんな世界なんだ」
ベティー「でも、ここでみんなと遊んでいる間はそんな事忘れられるんだよ」
プリズム「ボクはベティーをダメ人間にする為に協力してる訳じゃない」
ベティー「あ?」
プリズム「ベティーは生き甲斐がないだけ」
プリズム「だからこの世界を生き甲斐にして欲しかった、この世界でみんなと遊ぶ為に向こうでも頑張ろうって思って欲しかった」
ベティー「じゃあ俺はこの世界で頑張りたいよ」
プリズム「無理、この世界で長居は危険」
ベティー「なんでだよ、前言ってた廃人になるってやつか?」
プリズム「それもだし、向こうの人達が心配する」
ベティー「まあまるで神隠しだもんな。俺が行方不明になった所で誰も俺の事なんか心配しないけど」
プリズム「あれ、前のボクに教えてもらわなかった?この世界にいる間、ベティーが向こうでどうなってるか」
ベティー「えっ、そんなの聞いてないぞ」
プリズム「眠ってる」
ベティー「え?」
プリズム「今も向こうの世界の公園でベティーは眠り続けてる」
ベティー「えっ…俺やばい奴じゃん」
プリズム「そう、だからこの世界に長居するのは危険」
ベティー「向こうにも俺がいて寝てるって事は、この世界って夢なの?」
ベティー「痛覚あるみたいだけど」ギュゥゥ
プリズム「まあ夢みたいな物かもね」
プリズム「ここで写真を撮ってもただのイラストになるだけだし、この世界の物を持ち帰っても向こうにも同じ物があるし」
プリズム「話した所で信じる人なんて誰もいない」
ベティー「じゃあ俺はもう一生眠り続けるわ」
プリズム「無理、向こうのベティーが死んだらこっちの体も維持できなくなる」
ベティー「かぁぁぁ……なんじゃそりゃ、三次元ってやっぱクソだな」
プリズム「前にも言ったでしょ、元の世界があるからこっちに来れるんだって」
プリズム「だから向こうで頑張って、日々の頑張りはボクが労ってあげるから」
ベティー「はぁ…二次元に逃げるのは許されない訳か」
プリズム「ベティー」
ベティー「ん?」
プリズム「ボクはベティーを見てる、ずっと」
プリズム「向こうで頑張ってる時も、だらけてる時もずっと見てる」
ベティー「なんか恥ずいな!」
プリズム「だから約束して、向こうでも諦めずに頑張り続けるって」
ベティー「そこまで言われて『無理』なんて言えないっての…」
ベティー「全く。でもプリズムが見てくれてるなら俺、頑張り続けられるよ」
プリズム「じゃあ約束」
ベティー「ああ、約…」
ベティー「(その時、焦燥感が全身を駆け巡り、心臓が震えるような嫌な感覚がした)」
ベティー「(この感覚は現実世界でも味わった事があった。これが起きる原因は、どうしようもない不安に襲われた時)」
ベティー「(そして俺はふと思ってしまった。今発生してる不安というのは、即ち…)」
ベティー「………………」
ベティー「(またプリズムが消えてしまう)」
続