第2話「回答」
夜 公園
スウウゥゥ
ベティー「よお、来たぞ」
プリズム「暇だね、もっと時間を有意義に使ったら?」
ベティー「俺にとっては最も有意義な使い方だよ」
ベティー「というか、やっぱり出迎えてくれるんだね」
プリズム「こんな夜遅くに待機してるボクの気持ちにもなって」
ベティー「嫌なら別に出待ちしてなくてもいいけど?」
プリズム「ボクに会いに来てるくせに」
ベティー「あのさ、前から疑問だったんだけど」
プリズム「何」
ベティー「なんで俺が来るタイミングが分かるの?」
ベティー「まさか公園でずっと待ち続けてる訳じゃないよな?」
プリズム「そういう訳じゃない」
ベティー「でも、俺がここに来るといつもプリズムいるけど」
ベティー「そんな毎回同じ時間に行ってるつもりないんだけどなぁ」
プリズム「大体いつ来るか分かるってだけ」
ベティー「なんで?」
プリズム「それは、ベティーが単純だから」
ベティー「でも朝早くに行った時も、夜遅くの時も絶対いるんだよな」
ベティー「さすがにピンポイントすぎないか?」
プリズム「…………」
ベティー「住む所ないんじゃないのか?お金も持ってないみたいだし」
プリズム「そんな事じゃない、馬鹿にしないで」
ベティー「じゃあ俺が来るタイミングを事前に知ってて、公園で出待ちしてるって訳か?」
プリズム「そう」
ベティー「なぜ分かる?」
プリズム「分かる、ボクには」
ベティー「なんで?」
プリズム「……………」
プリズム「答えない」
ベティー「出た出た、お前はいつも決まってそうなんだよな」
ベティー「俺が知りたい事は何も教えてくれない、もしかして教えられない事情でもあるの?」
プリズム「……………」
ベティー「じゃあこの質問には答えて欲しい」
ベティー「結局、俺が0時までこの世界にいても何も起きないんだよな?」
プリズム「……………」
ベティー「…実践したんだから、知ってるぞ」
プリズム「そう、別に日付を跨ぐ行為自体には何も問題ない」
ベティー「でも俺は『約束して』って言われたんだよ。絶対に日を跨ぐな、と」
ベティー「なんでそこまで言われたのかが分からない。前のプリズムに言われたんだけどさ」
プリズム「依存するから」
ベティー「え?」
プリズム「この世界、楽しいでしょ?」
ベティー「まあそうだね、ずっと住みたいとさえ思ってる」
プリズム「分かってると思うけど、生活の基盤は元の世界があってこそ」
プリズム「この世界だけじゃ成り立たない、だからベティーは元の世界でもちゃんと暮らしていかなきゃいけない」
プリズム「もし二次元に留まるような事があれば、確実に廃人になる」
プリズム「意志の弱いベティーは、そのくらい強く言われないとこの世界に依存しちゃうんでしょ」
ベティー「なるほどな」
ベティー「ってことはあながち、俺の為ってのは嘘でもなかったんだな…」
プリズム「そうかもね」
ベティー「なんでそこまでしてくれるんだよ」
プリズム「それは、前のボクじゃないと分からない」
ベティー「でも、今だってこうして話に付き合ってくれたり出迎えたりしてくれてるだろ?」
ベティー「どうしてだよ」
プリズム「だって、ボクの力が必要でしょ?」
ベティー「必要だよ。でも協力してくれるのは好意なのか、それとも」
ベティー「何か理由があるのか…?」
プリズム「さあ」
ベティー「まあ答えてくれないかと思ってたよ」
ベティー「でもね、なんとなくわかるけど好意ではないんだろうね」
プリズム「そうだね」
ベティー「…まあ少しばかりは質問にも答えてくれたし、良かった」
プリズム「なんでも答える訳じゃないから、誤解しないで」
ベティー「分かってるよ。いやむしろ答えてくれたのが意外だった」
プリズム「もう面倒になっただけ、質問攻めされるのが」
ベティー「そっか」
ベティー「よし、じゃあ今日はここでオールしようかな」
プリズム「何言ってるの」
ベティー「別にいいだろ、今日くらい」
プリズム「一度の"今日くらい"が未来を滅ぼすかもしれないのに」
ベティー「まあ俺は勝手にするがな、プリズムは帰ったら?」
プリズム「っ……」
ベティー「どうした?帰らないのか?」
プリズム「…帰る」スタスタ
ベティー「ああ、またな」
ベティー「さてと、じゃあ寝ようかな」
ベティー「………………」
ベティー「…………………………」
ベティー「と、見せかけて」タタタッ
プリズム「!?」
ベティー「あれれ、木の陰で何やってんの?」
プリズム「…………」
ベティー「俺を監視してんの?」
プリズム「…………」
プリズム「チッ」
ベティー「コラ、舌打ちすんな」
ベティー「…分かった事があるんだよ」
ベティー「(考えてみれば、いつもプリズムは一緒にいてくれた)」
ベティー「(失踪したあの日以外は、不自然なまでにべったりくっついてきた)」
ベティー「(それってつまり…)」
ベティー「俺から離れる事ができないんだろ?」
プリズム「…………」
ベティー「多分、俺を監視するのが任務というか、離れたくても離れられないんじゃないかな」
プリズム「監視なんて嫌な言い方しないで、もっと単純」
ベティー「ん?」
プリズム「ベティーの手助けをする為、ただそれだけ」
ベティー「手助け…」
プリズム「でも、前も言ったけど好意でやってる訳じゃない」
プリズム「そこだけは勘違いしないで」
ベティー「そっか、それでも俺は嬉しかったよ」
ベティー「じゃあベンチに戻ろう。俺は今日帰るつもりないから」
プリズム「家出した子供みたいな事言ってないで、帰って」
プリズム「ボクも帰れないし、野宿させるつもり?」
ベティー「そうだよ」
プリズム「最低…」
ベティー「俺は最低だよ?」
ベティー「じゃあ寝るか、ベンチで」
プリズム「…………」
翌朝
ベティー「(はぁ、椅子かてぇ…全然寝れなかった)」
ベティー「(多分プリズムも…悪い事させちゃったなぁ)」
プリズム「…………zzz」
ベティー「ぐっすりかよ!」
プリズム「…………zzz」
ベティー「……………」
ベティー「(はぁ、何やってるんだろうな、俺)」
ベティー「プリズム、おはよう!!さあ行動だ!未来が俺を待っている!!」
プリズム「!?」ビクッ
プリズム「…………」イライラ
ベティー「何してんの、早く行こうよ」
プリズム「うるさい!」
ベティー「無理やり起こされたからって怒るなよ」
プリズム「誰だって怒る、もう少し寝かせて」
ベティー「えー、俺もう眠気覚めちゃったって。暇なんだよ」
プリズム「一晩我慢したんだから、今度はそっちが我慢して」
ベティー「しょうがないな」
1時間後
ベティー「…………zzz」
プリズム「…………」ドスッ
ベティー「ヴォエ!!何するんだよ…!」
プリズム「起きて」
ベティー「クソが…さっきの仕返しか」
プリズム「そういうこと」
ベティー「せっかく眠りにつけたのに…」
プリズム「それで、どこ行くつもり」
ベティー「ああ、そうそう」
ベティー「カラオケ」
プリズム「なんで」
ベティー「俺、決めたんだよ」
ベティー「これからずっとお前を遊び連れ回すって」
続