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全力で夢系やってみた  作者: ベティー
第一章「いざ二次元へ」
6/12

最終話「意味」

ベティー「(プリズムが姿を現さなくなって一週間。俺は毎日向こうの世界に訪問し続けた)」


ベティー「(待てども待てども現れず、みんなは相変わらずプリズムを知らないフリ)」


ベティー「(いや、あれは"フリ"なのか…?とても演技には見えない)」


ベティー「(ひょっとしたら、本当に…)」




夜 公園


ベティー「(今日もこの世界で待ち続けたが、プリズムは来なかった)」


ベティー「プリズムー、したらばとブリトーとロールケーキ、買ってきたぞー」


ベティー「俺はきゅうりだよな、はははっ…」シャキッ シャキッ


ベティー「……………」


ベティー「腹減ってんだろ?飯買ってやるから」


ベティー「寿司、寿司行こうよ。焼肉でもいいぞ」


ベティー「特別に連れて行ってやるからさ。もういいだろ、こんな事しなくてっ…」


ベティー「……………」


ベティー「どこかで笑いながら見てるんだろ?俺の事…」


ベティー「醜態ならいくらでも晒してやる、見せてやるから…もういい加減に…」


ベティー「……………」


ベティー「なんでだよ………なんでだよ………!」


(プリズム「ばかベティー、ボクがいなきゃ何もできないからそんな事しない」)


ベティー「消えたりなんかしないって言ってただろうが…!嘘ついたな…?」


ベティー「プリズム………プリズムぅぅぅうううう!!」


ベティー「お前がいなきゃ…俺はどうしていいかっ………」


ベティー「俺はプリズムにしか頼れない"駄目な人間"なんだよ……!」


ベティー「だから…出てきてくれよぉぉぉぉぉ………!!!」


ベティー「くっ……ぐすっ……」ガサガサ


ベティー「これは、プリズムから貰った懐中時計…」


(プリズム「それを持っていればきっと…」)


ベティー「なんだったんだよこれ…ただの時計じゃねーか…」


ベティー「意味ねぇじゃん…結局…」


ベティー「……………」


(プリズム「この世界で日を跨いだらだめ、絶対に」)


ベティー「………………」


ベティー「お前がいなくなったからだ…」


ベティー「お前がいない世界なんて…もう…」


ベティー「(もうどうなろうと構わない。0時までこの世界にいてやる…)」


ベティー「(プリズム…さすがにそろそろ出てきてくれるよな…?)」




23:55


ベティー「(ここまですればさすがにプリズムが来てくれる、そんな淡い期待を捨てきれなかった)」


23:56


ベティー「(けれども、刻一刻と時間は迫って)」


23:57


ベティー「(0時を迎えたらどうなるんだ…?)」


23:58


ベティー「(この世界に閉じ込められるのか?もうこの世界に来れなくなるのか?…死ぬのか?)」


23:59


ベティー「もう、どうなってもいい」


0:00




ベティー「…………………」


ベティー「うっ…………あれ?」


ベティー「(何も起きない…?)」


ベティー「あっ!入口はどうだ!?」


ベティー「あるか……」


ベティー「………………」


ベティー「(なんだ?何が変わったんだ?)」


ベティー「(もしかして、全部嘘だったのか?この時計の事も、0時を過ぎちゃいけないってことも)」


ベティー「嘘つきだな…嘘だらけだな、お前は…」


(プリズム「ぷぷぷ、ベティー単純」)


ベティー「……うっ……くっ………」


ベティー「会いたいよ……プリズム………」




翌朝


ピンポーン


コール「はーい、あっ…」ガシャッ


ベティー「…………」


コール「べ、ベティー…」


ベティー「これ…」


コール「なに…?」


ベティー「これ、あげる…」


コール「なにこれ、時計?」


ベティー「俺の…大切な人から貰ったんだ」


ベティー「そいつはさ、この世界に来てから俺のことをずっと支えてくれたんだ」


ベティー「この世界に来て、家族も友達がいなくて、ひとりぼっちだった俺の初めての"仲間"になってくれた」


ベティー「口は悪かったけど、俺の事をよく見てくれていて、いつも側にいてくれて」


ベティー「よく飯奢らされるけど可愛いから許せちゃって、無愛想で毒舌だけどなんか憎めなくて」


ベティー「俺の、俺のたった一人の、かけがえのない"大切な人"だった」


ベティー「そんな人から貰ったんだ」


コール「えぇっ!?そんなのもらえないよ!」


ベティー「貰ってくれ、頼む」


コール「だめだよ!大切な人からもらったんでしょ? だったらこの時計だってかけがえのない大切なものだよ!」


ベティー「つらいんだよ!」


コール「…!」


ベティー「つらいんだよ…その時計を見るのが…」


ベティー「その時計を見るたびに思い出す…もう会えないのに、一緒に過ごしてたあの日々がさっきまでの出来事のように頭に浮かんでくる」


ベティー「それがつらいんだよ!耐えられないんだよ!」


ベティー「でも、捨てられないんだ…どうしても捨てる事ができなかった…」


コール「……………」


ベティー「ぐすっ…ごめん、コール。君に押し付けるなんて最低だ、最低すぎる。そんなの分かってる」


ベティー「でも、引き取って欲しいんだ、その時計。君が大切にしてくれれば、きっと…」


コール「わ、わかったよ…」サッ


コール「ほら、首にぶら下げたよ。これでぜったいになくさない。大切にするね」


ベティー「ありがとう…ごめんな、ごめん…」スタスタ


コール「…………」




公園


ベティー「ごめん、プリズム。あの時計、手放しちゃったよ」


ベティー「でもさ、あんなの持っててなんの意味があるっていうんだ」


ベティー「お前に会えないなら、もう何をした所で…」


ベティー「……………」


ベティー「プリズム。俺は帰るよ、自分の世界に」


ベティー「ありがとう。かけがえのない日々だった」


ベティー「今にして思えば、一緒に過ごすあの1秒1秒がかけがえのない尊い日々だった」


ベティー「俺はさ、心のどこかで当たり前だと思ってたよ。ずっとこんな日が続くんだろうなって」


ベティー「日常だと思ったら駄目って、そういう意味だったんだな」


ベティー「いつまでも変わらないって、そう思ってた」


ベティー「………………」


ベティー「じゃあな…」


スウウゥゥ




ベティー「(それから俺は暫く、二次元に行くのをやめて公園にさえ近づかなかった)」


ベティー「(あの周辺を歩く度に色々思い出してつらいからだ)」


ベティー「(そうして現実世界で過ごしていくうちに、徐々に、ほんの少しだけど悲しみは薄れていった)」


ベティー「(思い返せばまるで夢のようだ。時間が経てば経つほど、自分が過ごしたあの時間は本当に存在したのか、夢ではなかったのかという感覚に陥る)」


ベティー「(しかしやはり、どうしてもプリズムの事は忘れられないままだった)」


ベティー「(そんなある日…)」


ベティー「げ、レアポケモンここにいるのかよ…」


ベティー「あんま公園には行きたくないんだけどなぁ…まあ仕方ないか」


ベティー「…………」スタスタ


ベティー「(そういえば俺が設置した二次元の入口、まだあるのかな…)」


ベティー「…………!まだあった」


ベティー「……………」


ベティー「(せっかく悲しみが癒えてきたのに、向こうに行く意味なんてない)」


ベティー「(それなのに、胸のざわめきが、好奇心が抑えられなかった)」


ベティー「っ…………!」


スウウゥゥ




ベティー「……………」


ベティー「来ちゃったか…」


ベティー「懐かしいな、この感じ」


プリズム「あ」


ベティー「あ」


プリズム「久しぶり、この前死んだ人」


ベティー「あ…………あぁ…………?」


プリズム「どうしたの、白痴みたいな顔して」


ベティー「プリズム…………?」


プリズム「そう、前に一回会ったでしょ」


プリズム「もう忘れた?」


ディレイ「プリズムちゃん、何して…あ!」


ディレイ「この前の…」


ベティー「…………………」


プリズム「応答していません、プログラムの応答を待ちます」


ベティー「…プリズム、俺に会うの何回目だ…?」


プリズム「何言ってるの、"2回目"でしょ」


ベティー「……はっ、はははっ、ははっ」


ディレイ「な、何…?」


プリズム「やばい人」


ベティー「プリズムっ……!!」ギュッ


プリズム「わ」


ディレイ「きゃっ!」


ベティー「プリズム……やっと……やっとっ……!!」


ベティー「離さない……もう絶対に離さないっ……!!!」ギュゥ


ベティー「(どうしてだろう。すごく懐かしいのに、あんなに会いたかったのに)」


ベティー「(こうして目の前に現れると、久しぶりな気がしない…)」


ベティー「(そうだ、こんな感じだった。プリズムがいたあの日々は…)」


ベティー「プリズム……プリズムっ……!」


プリズム「離して」ドスッ


ベティー「ごっほぇぇ……!!」


プリズム「きも、ほんときもい」


プリズム「最悪、何急に」


ベティー「ごほっ…いった……………そうだね、そんな感じだったね」


ベティー「辛辣だった。最初は特に」


プリズム「何言ってるの、意味不明」


ベティー「ふっ…あははは、いいよ、全然いい。何を言われても一言一句が心地いい」


ベティー「プリズムがただそこにいてくれるだけで嬉しいんだ。嬉しくて嬉しくて仕方がない」


ディレイ「うわぁ…」


プリズム「これにはさすがのボクもドン引き」


ベティー「これから一緒に仲良くやっていこう。今度は俺がプリズムの事を知っていきたい」


プリズム「やだ、気持ち悪い」


ベティー「ごめんて!」


ベティー「いきなり抱きついたのは悪かったったよ。でもつい感極まっちゃって、ほんとごめん」


ベティー「俺、プリズムの力が必要なんだ。プリズムにしか頼れないんだ。頼む」


プリズム「小学生にしか頼れないダメな大人」


ベティー「そう、俺は駄目な大人なんだ。プリズムがいなきゃ何もできない…」


ベティー「俺にはプリズムが必要だ。仲良くやっていきたいよ」


ベティー「頼む」


プリズム「……………」


プリズム「サイゼリヤ」


ベティー「いいよ!全然いい!いつでも行ける!なんでも頼んでいいぞ!!」


ベティー「嬉しい!嬉しすぎる!!」


プリズム「はい、契約成立」


ディレイ「なんなのこの人…」


ベティー「(そう、俺には知りたい事がまだまだたくさんある)」


ベティー「(ここからまたやり直そう。今ならきっと、なんだって頑張れる)」


ベティー「プリズム」


プリズム「何」


ベティー「会いたかったよ」


第一章 終

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