第4話「約束」
ベティー「あのさ…俺たち会うの何回目だっけ」
プリズム「2回目」
ベティー「…………」
ベティー「はっ……?」
ベティー「(嘘だろ…?嘘だろ嘘だろ嘘だろ嘘だろ嘘だろ嘘だろ嘘だろ嘘だろ嘘だろ嘘だろ嘘だろ嘘だろ嘘だろ嘘だろ嘘だろ嘘だろ嘘だろ嘘だろ)」
ベティー「(ああぁ…ああああぁぁあぁあああああぁぁぁぁぁぁあああぁぁぁあああああああ!!!!!!!)」
ベティー「嘘だろ…?」
プリズム「嘘だよ」
プリズム「3回目。前回コールと一緒にマック行ってヨーグルト食べた、ちゃんと覚えてる」
ベティー「………………………」
ベティー「てめぇぇぇぇ!!!ふっざけんな!!」
プリズム「こわ」
ベティー「嘘つくの無しって言っただろうが!」
プリズム「ボクとの再会の喜びより、嘘つかれた怒りの方が先なの?」
ベティー「当たり前だろ!すげぇ冷や汗かいたわ!」
プリズム「落ち着いて、何はともあれまたこうして会えたんだから」
ベティー「まあそれはそうだな…」
プリズム「今日はもう遅いから、あまり一緒にいてあげられないけど」
ベティー「というかこんな時間に大丈夫なの?家の人心配しない?」
プリズム「ぶぶー、個人情報は話せません」
ベティー「ああそう…」
ベティー「……あのさ」
ベティー「やっぱりこっちの世界に来てほしいんだ」
ベティー「俺がここで日を跨ぐのはダメでも、プリズムが俺の世界にいれば…!」
ベティー「もしかしてそっちもそういう制約ある?」
プリズム「ボクは…」
ベティー「………」
プリズム「いいよ、行こう」
ベティー「え、本当に!?」
プリズム「うん」
ベティー「じゃあ早速、こっちこっち」スタスタ
ベティー「ここが向こうの世界への入口。じゃあ行こう」
プリズム「………」スタスタ
スウウゥゥ
ベティー「ここが三次元ってやつ」
ベティー「どう?プリズ…あれ?」
ベティー「プリズム??」
ベティー「……………」
ベティー「どこかに隠れるとか無しだぞ」
ベティー「……………」
スウウゥゥ
プリズム「…………」
ベティー「プリズム!なんで来ないんだよ」
プリズム「…行けない」
ベティー「え?」
プリズム「そこの草むらでしょ、入口」
ベティー「そうだよ」
プリズム「ボクにはただの草むらにしか見えてない」
ベティー「え?」
プリズム「ベティーがこっちの世界に来る事はできても、ボクがそっちの世界に行く事はできない」
ベティー「まじかよ…」
プリズム「諦めて」
ベティー「そっか…仕方ないか」
プリズム「じゃあ今日はこれで終わり」
ベティー「え、早いって。俺の一日の楽しみが…」
プリズム「今度また時間がある時ね」
ベティー「もう少しだけ…せっかく来たんだし」
プリズム「そうやって時間を忘れて、多分いつかやらかす」
プリズム「それが怖い、ボクは」
ベティー「そっか…俺はこの世界で日を跨いではいけないんだっけ」
プリズム「うん、0時がタイムリミット」
プリズム「それまでに元の世界に戻らないと…」
ベティー「戻らないと?」
ベティー「元の世界に戻れなくなるとかだったら大歓迎だよ。別に戻りたかないし」
プリズム「そうかな、本当に」
ベティー「え?」
プリズム「失ってから気づく、当たり前のように生きてた日々がどれだけ尊かったか」
ベティー「それはそうかもしれないけど…」
プリズム「約束して」
プリズム「どんな事があっても、0時前には元の世界に戻るって約束して」
ベティー「分かった、約束するよ」
プリズム「じゃあ今日はもう帰って。今度休日にまた会お」
ベティー「分かったよ。今度は嘘つくなよ?マジで」
プリズム「わかった」
ベティー「じゃあ、またね」
プリズム「うん、また」
スウウゥゥ
ベティー「戻ってきたけど…」
ベティー「(やっぱりつまらないな、この世界は…)」
ベティー「(ここでの日々がそんなに尊いものなのかなぁ…)」
(プリズム「どんな事があっても、0時前には元の世界に戻るって約束して」)
ベティー「(0時を過ぎたら何が起こるんだ…?)」
ベティー「(もしあの世界に閉じ込められるってのなら、それはそれで構わないけど)」
ベティー「(それとも何か別のことが起きるのかな…)」
ベティー「(それから俺は次の休日まで張り切った)」
ベティー「(頭の中はあの世界でいっぱいだった。どれだけ嫌なことがあっても、またプリズム達に会えると思うと何も苦にならなかった)」
ベティー「(そして待ちに待った休日…)」
ベティー「張り切りすぎて6時に起きてしまった」
ベティー「てか、なんなら0時過ぎてすぐに行けばよかったかも。日跨がなければいいだけだしね」
ベティー「よし、行くか!」
スウウゥゥ
ベティー「やっぱいいなぁ、こっちは」
プリズム「………zzz」スピー
ベティー「プリズム!?なんで公園のベンチで寝てんだ」
ベティー「まさか家なき子なのか…?」
プリズム「ばか、そんなんじゃない…」
ベティー「わっ」
プリズム「ふわぁぁぁ…来ると思って待ってただけ、でも早すぎ…」
ベティー「ずっと待ってたの!?外で?」
ベティー「こんな寒いのに…風邪ひくよ」
プリズム「じゃあこんな早くに来ないで」
ベティー「別に出待ちしてなくてもいいよ。俺がみんなの所へ行くから」
プリズム「とか言って、ボクが待ってたら嬉しいくせに」
ベティー「それは…そうだね」
プリズム「それでどうするの?こんな早くに来て」
プリズム「多分、みんなまだ寝てる」
ベティー「それまで二人でどこかに行こう」
プリズム「どこに?」
ベティー「え…イオン」
プリズム「イオンで何するの?」
ベティー「フードコートでうどんを食べる」
プリズム「小学生みたい」
ベティー「お前小学生だけどな」
プリズム「何にせよ却下、イオンの開店は10時から」
プリズム「行くならコンビニ」
ベティー「いいけど、お腹空いたの?」
プリズム「うん」
ベティー「お金は?」
プリズム「持ってない」
ベティー「はいはい…まあいっか」
セブリーマーソン到着
プリズム「これ買って」
ベティー「はいよ。したらばとブリトーにロールケーキ?どんな組み合わせだ…」
プリズム「ベティーは?」
ベティー「俺は朝だしおにぎりでいっかな」
プリズム「ベティーはこれ」
ベティー「なんだこれ。いやなんできゅうりの一本漬けなんだよ…」
プリズム「なんとなく」
ベティー「まあ嫌いじゃないけどさ」
公園のベンチ
プリズム「………」モグモグ
ベティー「………」シャキッ シャキッ
プリズム「今何時?」
ベティー「今はー、7時半だね」
プリズム「みんなが動き出すには、まだ時間かかりそう」
ベティー「そうだな」
プリズム「………」モグモグ
ベティー「………」シャキッ
プリズム「ベティーは、この世界に慣れた?」
ベティー「んーまあ。日常の一部になりつつあるかも」
プリズム「だめ、慣れちゃだめ」
ベティー「なんで?」
プリズム「ベティーの世界は三次元、こっちが日常だと思っちゃだめ」
ベティー「い、いいでしょ別に。俺がこっちの世界に馴染むと何か不都合があるの?」
プリズム「ある」
ベティー「どんな?」
プリズム「色々」
プリズム「だからこっちの世界に夢中になりすぎないよう、肝に銘じて」
ベティー「わ、わかったよ…なんかよく分からんけど」
プリズム「それじゃ行こ、みんなの家」
ベティー「唐突だな!てかいきなり押しかけたら迷惑だよ」
プリズム「知りたくない?みんなの家」
ベティー「まあ…知ってはおきたいけど。みんなが公園にくるとは限らないし」
プリズム「じゃあ決まり、行こ」
ベティー「見るだけならいいか…」
プリズム「まずここはディレイの家」
ベティー「え、ここって…」
ベティー「(現実世界だとあいつの家か…)」
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プリズム「ここはコールの家」
ベティー「(ここも見覚えある家だ。そりゃそうか、現実世界がベースになってるんだから)」
プリズム「………」ピンポーン
ベティー「っておい!何押してんだ馬鹿!」
コール「はーい」ガシャッ
コール「えっ、プリズムちゃん、ベティー!?どうしたのこんな時間から」
ベティー「あー、ごめん。えっと…」
プリズム「ベティーがコールに会いたくて仕方ないらしいから来た」
コール「えっ」
ベティー「そんな事言ってないから!」
コール「あははっ!今日もあそぶー?」
プリズム「公園来て、今から」
コール「あはは、今からはむりだよ。まだパジャマだし宿題終わらせてからだね」
コール「お昼すぎくらいにいくよ!」
プリズム「了解」
コール「それじゃあ!」ガシャッ
ベティー「…あのさぁプリズム。余計な事言わないでくれよ」
プリズム「本当でしょ、会いたがってたのは」
ベティー「いやまあそうかもしれないけど…ほら、変に思われるかもしれないし」
プリズム「ベティー、恐れ過ぎ」
ベティー「う…」
プリズム「あと、もう一つ」
ベティー「ん?」
プリズム「嬉しがってたでしょ、コールのパジャマ姿見れて」
ベティー「う…」
公園
ベティー「さて、どうするかぁ」
ダークシグナル「………」スタスタ
ベティー「あ、ダークシグナル!」
ダークシグナル「は?」ビクッ
ダークシグナル「誰だお前」
ベティー「えっとー…」
ベティー「ほら、プリズム。フォローしてくれよ」ヒソヒソ
プリズム「ボク、あの人知らない」
ベティー「いや知らないとかある!?」
ダークシグナル「なぜわたしの名前を知っている?」
ベティー「うーん、それはだなぁ…」
ダークシグナル「ん?というかお前、前にどこかで…」
ベティー「そうだね。1回ここで会ったね」
ダークシグナル「ふふふ、お前か。コールから聞いてるぞ、変な人と友達になったと」
ベティー「変な人って共通認識なの?」
プリズム「当たり前」
ダークシグナル「それでわたしになんの用だ?まさか用もなしに絡んできた訳じゃないだろうな」ギラッ
ベティー「あ、あるよ。用はある」
ダークシグナル「…………」
ベティー「わかった、単刀直入に言おう」
ベティー「仲良くして欲しい」
ダークシグナル「断る」
ベティー「はっや!」
ダークシグナル「お前みたいな怪しい奴と関わる事自体ごめんだ。一体何が目的だ?」
ベティー「誰が俺と仲良くしろだなんて言った!俺が仲良くして欲しいのはこの子とだ」
プリズム「!?」
ベティー「プリズムだ。こいつも結構変わってて、友達少ないんだよ」
プリズム「ちょっと」
ベティー「でもコールの友達であるダークシグナルならきっと仲良くできると思う。だから友達になってやってくれないか?」
ダークシグナル「それなら構わない」
ベティー「返事早いな…」
ダークシグナル「よろしく、プリズム」
プリズム「…よろしく」
ベティー「ありがとう、助かる」
ダークシグナル「ふん、別にお前の為じゃない」
ダークシグナル「用はそれだけか?わたしはもう行くぞ」
ベティー「あ、待って。これ」ガサガサ
ダークシグナル「なんだ。野菜ジュース?」
ベティー「こんなのしか持ってないけどお礼」
ダークシグナル「…ふん、貰っといてやる」スタスタ
ベティー「じゃあ、また」
ベティー「…………」
プリズム「余計な事しないで」
ベティー「なんでだよ、プリズムも友達増えて良かったじゃん」
プリズム「ロリコン」
ベティー「なんだよ急に…」
プリズム「あんな子知らない」
ベティー「ダークシグナル知らなかったのは意外だな…ノイズとシグナルは知ってる?」
プリズム「知らない」
ベティー「えぇ、まじか」
プリズム「色々な子に絡みまくって、ほんと変態」
ベティー「元々プリズムがサポートしてくれるって言ってきたんだろ…みんなと仲良くなれるように」
プリズム「そうだけど」
ベティー「何?嫉妬してるの?」
プリズム「めんどくさい、そういうの」
プリズム「やめて」
ベティー「ごめんて」
ベティー「とりあえず、コールが来るの待つかぁ」
プリズム「…………」
ベティー「ふぅー。なんか、この世界にも馴染んできた感じするなぁ」
ベティー「なんだかんだみんなとも上手くやれてる感じするし、本当に感謝」
プリズム「ベティー、約束して」
ベティー「何を?」
プリズム「あまりこっちの世界に没頭しないって」
ベティー「えぇ、でもみんなと仲良くできないと俺ここに来た意味ないんだけど」
プリズム「さっきも言った、ベティーの世界はあくまで三次元」
プリズム「こっちを日常にしたらだめ」
ベティー「分かってるよ。まあこっちの世界に入り浸りたいのは山々だけど」
プリズム「だめ、絶対」
ベティー「なんでだよ…俺がずっといると迷惑?」
プリズム「うん」
ベティー「え、ひど」
プリズム「あまり没頭しないで、こっちに」
プリズム「約束して、お願い」
ベティー「そんなに迷惑だったのか…」
プリズム「そんなんじゃない」
ベティー「?」
プリズム「そんなんじゃ、ない…」
ベティー「プリズム…?」
プリズム「……………」
ベティー「なんでそんな深刻そうな顔するんだよ」
ベティー「…大丈夫、分かってるから。メインは三次元。こっちの世界はあくまで暇つぶしだよ」
プリズム「うん、二次元にどっぷり浸かるようなキモオタになられたら困る」
ベティー「なりかけてるけどね!!」
プリズム「じゃあ、約束」
ベティー「はいはい、二次元にどっぷり浸かるキモオタにはなりません」
プリズム「…………」
ベティー「…………」
プリズム「忘れないで、絶対に」
ベティー「どんだけなって欲しくないんだ。キモオタアンチか」
プリズム「ベティーのため」
ベティー「んー?まあそうかもしれないけどさ」
プリズム「約束、したから…」
ベティー「何をそんなに必死になってるんだか」
ベティー「なんかよく分からんけど、大丈夫でしょ。飽きたら帰るし、暇になったらまた来るよ」
ベティー「今はそのくらい軽い気持ちでいるよ」
ベティー「0時までこの世界にいちゃ行けないってのも忘れてない。大丈夫、そんな遅い時間までいる事ないから」
プリズム「ボクのことも」
ベティー「ん?」
プリズム「ボクのことも、忘れないで…」
ベティー「何言ってんの、それこそ忘れる訳ないでしょ」
プリズム「……………」
ベティー「…?」
ベティー「(なんでそんなに思い詰めた表情をしているんだろう…)」
プリズム「ベティーの事だから、時間忘れてうっかりってことも」
プリズム「信用できない、ばかベティー」
ベティー「酷いな!」
ベティー「…………」
ベティー「あのさ、急に消えたりするなよ」
プリズム「何言ってるの」
ベティー「いやだから、突然いなくなったりするの無しだからな。いなくなるフリも無しだから。怒るからね本当に」
プリズム「ばかベティー、ボクがいなきゃ何もできないからそんな事しない」
プリズム「ご飯も買ってもらわなきゃいけないし」
ベティー「おいコラ」
プリズム「…!」
ベティー「ん、どうした?」
プリズム「来る」
ベティー「来る?」
プリズム「………」
続