発見 2
「ちょっと、やけどしてしまっただけですよ」
そんなはずはない。
明らかに、何かでなぐられた痕のようだ。
「そうですか・・・」
それ以上話をすることができずに、モヤモヤした気持ちのままクロスの様子を確認しに2階まで向かった。
「その後、クロスはどうですか?」
「特に問題はないですよ。いつも気にかけてくださって、ありがとうございます」
その後、クロスの話は忘れて、世間話へと発展していく。
「そういえば、お庭の世話は順調ですか?」
「ええ、おかげさまで。せっかくなので見ていってください」
1階に降りて、庭の様子を見ようとしたその時だった。
がちゃ・・・
「ただいま」
1階に降りたところで、この時間にいるはずのないご主人の姿が見えた。
いや、平日の昼間だ。
教師をしている人が家に帰ってくるだろうか。
「え・・・誠さん。こんな時間にどうしたの?」
「いや、忘れ物があって」
気まずい空気が流れた。
あの一件以来、ご主人とは話をすることが無くなってしまった。
「どうも」
ご主人もそっけなく頭を下げた。
「こんにちは。お邪魔してます。」
・・・・・・・・・・・
妙な沈黙が流れ、どうしても居心地が悪くなった。
「奥さま、今回は失礼します。また、ゆっくりお庭を見せてください」
「は、はい」
リビングに置いていたカバンを急いで持ち、そそくさとその場を後にした。