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仮 3月の冷たい雨  作者: 春咲桜
23/25

発見

「ありがとうございました。では、来週の土曜日に。」


灼熱の中、商談を終えた。


商談の後には、広瀬さんの家のクロスを見せてもらう予定となっている。


お腹もすいたし、腹ごしらえをしてからにしよう。


途中で見かけた蕎麦屋に、車を走らせた。


店内は、落ち着いた雰囲気で、地元の人が多いのだろう。

小さな店は、満席だった。


「そういえば、あの家、しょっちゅう喧嘩しているみたいね・・・

家建てたばかりなのに、いやね~~」


人気の山菜そばを勢いよく吸い込んだ自分の耳に入ってきたのは、噂好きのおばさん達の声だった。


「この前は、暴力も振るってたみたいよ。通りがかった椎名さんの奥さんが言ってたわ・・・」

「や~ね~。旦那さんもとても穏やかそうな人なのに。

人は見かけによらないってことね・・・」


小耳にはさんだ話が、まさか自分の知っている人の話だとは予想していなかった。

会計を済ませると、すぐさま車を走らせた。




「広瀬さん、こんにちは!」


インターホン越しに元気よく挨拶をすると、いつもと変わらず優し気に奥さんが顔を出してくれた。


「こんにちは。わざわざ来て下さって、ありがとうございます」



玄関から、リビングまでの、少し長い廊下を歩く途中に異変を感じた。




あれ・・・?



ノースリーブのワンピースに、長袖のカーディガンを羽織った奥さんの右腕には、うっすらとあざのようなものが見えた。




気のせいだろうか。



「どうぞ、せっかくだから、お茶をご用意しますね」


椅子に腰を掛けながら、奥さんの様子を注意深く見ていた。


蕎麦屋での話が気になる。



まさかとは思うが・・・・・



「どうぞ」

その声にハッとするくらい、ぼーっとしてしまった。

奥さんは静かにお茶を差し出す。



「ありがとうございます。いただきます。」



・・・・・・・・・?!?!



いつも綺麗な奥さんの右手の甲にも、赤黒い大きなあざが見えた。




「奥さん、これどうしたんですか?!?!」


咄嗟に言葉が出て、思わず、奥さんの右手に触れた。




「あ、いえ。気にしないでください」



目にもとまらぬ速さで、奥さんは右手を引っ込めた。

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