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仮 3月の冷たい雨  作者: 春咲桜
19/25

責任3

「パパ!早く!」


渚の元気な声が、家じゅうに響き渡った。


今日は待ちに待った運動会である。


渚とは、二人三脚で優勝するべく、一緒に練習をしてきた。

今日は気合十分だ。


「まひろ、この荷物持っていくよ!」


レジャーシートや水筒が入った大きなカバンを抱えて、玄関へ向かった。





「さくら幼稚園、運動会開催しま~す!」


先生方の元気な挨拶によって、運動会がスタートした。


年少から順に入場し、渚の姿を見つけると、すぐさまビデオを構える。

「なぎさ~!!!」

手を振るまひろも、心底嬉しそうだ。

渚も、まひろを見つけたのだろう、大きく手を振った。


その瞬間に、ポケットに入れていた携帯が震えた。


「はい、片桐です」


「あ、片桐君?ごめんよ、休み中に・・・」

部長の声だった。


「いえ、どうかしましたか?」


「それが、広瀬さんのご主人がさ、今展示場に来てるんだけど。どうやら、輸入物のクロスがはがれて、施工ミスなんじゃないかと言ってきてね。張り替えろって聞かないんだよ」


「そんな・・・施工時確認してきたので、そんな簡単にはがれるようには思えないんですが・・・」

営業担当として、頻繁に住宅の様子は見てきた。

クロスが多少はがれることはあるが、まだ引き渡して、そう日が経たないうちにこんな話は初めてである。


「そうだよね。なんとか話をしてみようと思ったんだけどね。やはり担当の人じゃないと、の一点張りなんだよ。申し訳ないんだけど、少しだけ顔出せないかな」


二人三脚までは1時間以上かかるだろう。


急いで話を切り上げれば、何とか間に合うだろうか・・・

さすがにこの状況を放っておくわけにもいかない。


「わかりました、すぐ向かいます!」


携帯を切ってすぐさま、まひろの元へと向かう。


「まひろ、仕事でトラブルがあって、どうしても行かなきゃいけないんだ」


「うん・・・そう・・・

しょうがない!行ってらっしゃい」


悲しい表情を、まるで笑顔で上書きするかのように、まひろは送り出してくれた。


「二人三脚までには戻ってくるよ!」



すぐさま展示場へ車を走らせた。

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