手伝い 2
玄関を入ってすぐに、シューズクロークが目に入る。
そう、以前にも見た通り抜けできるシューズクロークだ。
懐かしい感じと、どこか新築の真新しさが合わさり、不思議な感情に駆られる。
「見てください、これ」
リビングに向かう廊下には、奥さんが作ったのだろうハーバリウムの小瓶が並ぶ。
「とても、素敵ですね」
思わずお互い笑顔がこぼれた。
「どうぞ、こちら」
リビングへと案内される。
シトラス系の香りが鼻を通り抜けた。
どうやら、ルームフレグランスのようだ。
中央に置かれたダイニングテーブルへ足を運ぶ。
足元へ荷物を置いて、手土産を用意した。
「あの、こちら、よかったら・・・」
デパートで買った手土産を渡す。地元の洋菓子店の焼き菓子だった。
「あら、ご丁寧にありがとうございます。
そんな、お気遣いなさらなくていいんですよ」
相変わらず手指が美しいままの奥さんは、その詰め合わせを割れ物でも触るかのように慎重にキッチンへ運んだ。
「せっかくですので、一緒に食べましょう」
お茶とともに、焼き菓子をいくつか皿に乗せて、運んでくれた。
「それにしても、玄関のお花、素敵ですね」
熱いお茶を少しずつ飲みながら、話を始めた。
「ありがとうございます。ここ最近でようやく始めることができて・・・
ただ・・・」
意味深な顔をしながら、庭に顔を向けた。
つられて、自分も庭を見る。
「庭はまだまだ汚いままなんです。主人が手伝ってくれるって言ってたんだけど、全然進まなくて」
「そうでしたか・・・」
目を向けた先には、ガラクタとまでは言わないものの、荷物がいくつか乱雑に置かれ、雑草も目立ってきた。
「よかったら、お手伝いしましょうか?」
「そんな、お仕事中なのに、申し訳ないですよ・・・」
悲しそうな目をする奥さんに、何もしないわけにはいかないと思い、言葉を続けた。
「美味しいお茶のお礼です。少しばかり、手伝わせてください!」
腕まくりをしながら、残りのお茶を飲み干して席を立った。