表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
仮 3月の冷たい雨  作者: 春咲桜
10/25

選択 3

「ありがとうございました、お陰で大変参考になりました」

ご主人が口を開く。

「いえ、ご参考になれば幸いです。どうしても見て頂きたいお宅だったので、良かったです」


「あの・・・」

少し低姿勢になりながら言葉を続けた。

「わかってますよ。結論は2.3日中にお出しできると思います」

ご主人の言葉に、ほっと胸を撫で下ろすと同時に、緊張も走る。


「そうですか。では、結果お待ちしてます」



会社に戻ると、有川がいつもの調子で話しかけてくる。



「どうでした?」



「まだわからないなあ」


「そうすか・・・」



ここからの数日が、本当に長く感じる。

仕事に集中しているが、メールや電話が鳴るたびにビクビクとしなければいけない。



これだから、営業は疲れるのだ。





案内から3日が経った頃、携帯が鳴った。

「広瀬さん」

表示された文字に心臓がバクバクと音を立てたが、あいにく、運転中だった為、近くのコンビニへ車を止めて折り返す。


「もしもし、片桐です。お電話出られずすみません」

「いえ、こちらこそ突然のお電話すみません。今お時間よろしいでしょうか」


ご主人の声だった。



「はい」




「あの後夫婦で話し合った結果・・・



一瞬の出来事のはずが、とても長い時間に感じる。




どうか、どうか・・・





「御社に家を建てて頂きたいです。どうか、お願いします」





小さくガッツポーズをした。


そうだ、これだ、この感覚だ。


営業が辞められないのは、この感覚に取り憑かれているからだ。


「もちろんです!選んでいただき、ありがとうございます!」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ