あれから私は
あの日、私が巨人になった日、世界各国でも巨人が現れた。
アメリカでは5人、インドでは13人、中国では20人、日本では私1人が突如巨人に。
私の存在はビーチに居た人達によりSNSで拡散された、他の巨人になった人も似たり寄ったりらしい。
誰かが通報したのか警察と消防、救急車が数十台出動、最終的に自衛隊が緊急出動してビーチは封鎖。
海側からは大きな船が沢山集まって来て、その内の1番大きな船、側面に「いずも」と書かれた船に乗って近くの駐屯地へと保護される事になった。
自衛隊の人がトラック用の大きい幌を用意してくれたのでそれを体に巻いた。
———東京都港区天王洲、航空自衛隊駐屯地
「こんにちは佐藤サナちゃん、私は陸上自衛隊所属の高橋 小夜です、今後貴方との折衝役を務めるので宜しくね、私の事は小夜と呼んでちょうだい」
「小夜、さん?」
「うん、突然の事で不安でしょうけど出来るだけ貴女の意思を尊重するよう取り計らうわ。
私達自衛隊も、勿論政府もそうだけど巨人に対する対応は初めてだから至らない事も多いと思う、でも決して無下に扱ったりしないから信じて」
「は、はい、宜しくお願いします・・・」
制服に身を包みポニーテールのピシッとした小夜さんはニコリと笑って言った。
「ありがとう、一先ず当面の方針としてサナちゃんには此処、天王洲駐屯地で過ごしてもらうことになっています、申し訳ないけどお家に返す事は今は出来ないわ」
「はい・・・」
「お父さんやお母さん、御家族の出入りは制限しないから安心してね。
それと今はこんなテントで申し訳ないけど、早急に衣食住は整えるから少し時間を頂戴」
私が今居るのは天王洲駐屯地の一区画、そこに大型のクレーンを四機設置してツギハギの幌を張った巨大テントだった。
「服の方は今衣料品メーカーに突貫で作って貰っているわ、下着、と言うかブラはちょっと厳しいかも知れないけど、ツナギと履き物が一週間以内に出来る予定よ」
「あ、ありがとうございます」
「後、食事は陸上自衛隊で炊き出しを行うから楽しみにしててね」
そこで一度言葉を切った小夜さんは言いにくそうに口を開く
「それで、申し訳ないのだけどサナちゃんには血液の提供と健康診断を定期的にお願いできるかな、その、気分は良くないだろうけど必要な事だから」
それはつまり私は研究対象と言っているようなものだった、考えないようにしていたけど私戻れるのかな、頭の中が真っ白になる、今になって体の震えが止まらない。
「—————」
「—————?」
その後、小夜さんは何かを言っていた気がするけど私の頭には全く残らなかった。
私は夏の蒸し暑さと地面の硬さも手伝って眠れない夜を過した。
大丈夫、だよね? 戻れるのかな? どうなるんだろう、
パパ、ママ、助けて、私、怖い・・・