表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
待雪草は誰がために咲く  作者: Ncoboz
第3章 卿人編
91/98

第87話 タンク九江

ごめんなさい取り急ぎ!

ちょっと読みづらいかもです!

 全身を刀で切り裂かれたセイバーファングは一度ビクッと身体を跳ねさせると、剣閃の通った所から盛大に出血。

 ばしゃばしゃと血をまき散らしながら大地に沈んだ。生存確認とかするまでもなく、ほぼ細切れ状態の、首も皮だけで繋がってるような状態。問答無用の死亡ですね。


 白い絶望、討伐完了である。


「いやぁ、みんな強い! さすがだねえ!」


 ぱちぱちと惜しみなく賞賛の拍手を送る。

 一見、康造さんの急所三連斬は意味が無かったようにも見えるが、そんなことは無い。サムの必殺技はそれなりのタメを要したし、なによりとっさの回復が不可能な所を同時に3箇所切り裂いたのだ。アレが無ければサムは必殺技を放てなかっただろう。

 そしてその隙を作ったのはもちろん、ペイマの「破爆陣ブラストゲイザー」が起点だ。セイバーファングが背を向けた時点で魔法式の展開を始めていた判断力は流石だ。


 なんて言いながら少し離れたところのペイマと合流したら、なんか皆からジト目で見られた。


「えっと、どうしたのかな?」

「とりあえず、あのバフはなに?」


 ジト目のままペイマに問われる。


「『天恵』っていう全能力を上げるバフだけど・・・・・・?」

「それ! 全能力バフ!? しかもとびきりの効果よね? どこで習ったの?」

「つくった」

「つくった!?」


 目元を押さえて盛大にのけぞるペイマ。


「魔法の作成なんて宮廷魔法使いか隠遁した賢者か魔法学園の学園長・・・・・・が、師匠だったわね貴方。てゆうかこの流れ昨日もしたわよね」

「そうだね」


 苦笑いをしてしまう。そこまで言わなくても。


「でも、みんなが頑張ったからだよ?」

「貴方ならそう言うでしょうね! でも前提として貴方の行動があってなのよ!?」

「えー、僕なんか何もしてないでしょう」

「違うな」


 横から康造さんが即座に否定してくる。


「まずその籠手だ。いったい何だそれは」


 言い方はキツいが、単に質問しているだけだろう。警戒の色は無い。

 諦められたとも言う。


 なので素直にガントレット(キューブちゃん)の性能を説明する。

 オリハルコン製で、マナでできた薄い膜を張ることが出来る。

 このマナの膜は好きな形に変えることが出来、僕の掛けたバフによって強度が変わる。 そのときに参照されるのガントレット自身の材質、つまりオリハルコンが基準となる。

 おそるおそる、といった感じでペイマが聞いてきた。


「つまり、そのマナ製の盾はオリハルコンより硬いって事?」

「そうなるねえ」

『・・・・・・』


 3人から虚無みたいな目を向けられた。

 

「盗まれないでよ・・・・・・?」

「大丈夫。そもそも僕の手に合うように作ってあるから、装着出来るヒトは限られてくるし、そもそも登録した声にしか反応しないように出来てる。キューブちゃん、リセット」


 コレで普通のガントレットに戻る。

 いつもの『『Jawohl(かしこまり)!』』って応えてくれ・・・・・・


『うん、またね?』

「!?」


 え? なんで!?  

 僕の動揺を余所にマナの膜を収納して沈黙するガントレット(キューブちゃん)

 ・・・・・・わかった、いっこだけノートル師匠に頼んだ部品があったなそういえば。

 まあ、今はいいや。

 動揺を隠して皆に説明を続ける。


「まあこんな感じで、僕じゃないと使えない」


 何故かこめかみを押さえている康造さん。

 頭でも痛いのだろうか?


「それでいてあの防御の技量か? 力尽くでミスリル製の槍を引き裂いてしまうような膂力を受け流し、凌ぎきってしまうようなタンクなぞ聞いたことが無いぞ?」

「それこそ・・・・・・」

「そう、それこそだ。規格外の魔法、規格外の魔道具、規格外の技量。全てを揃えて『何もしていない』などと言われては立つ瀬が無い」


 そうか。役割だもんな。僕はタンクとしての仕事をしたのだから、何もしていない何て言ったらダメか・・・・・・。


「ああ、勘違いしてくれるな? 我らは卿人を責めたいのでは無い。逆だ、感謝したいのだが、いかんせん規格外すぎて驚いておるのだ・・・・・・すまぬ」


 そういって謝罪してくる康造さん。

 すっごい綺麗に頭下げるじゃないか・・・・・・とかどうでもいい感想を抱いてしまって応えるのが遅れてしまって、キョドってるように見えたらしくペイマにまで頭を下げられた。


「そうね、有り難う、ケイト。あなたのおかげで生きてるわ、多分」

「さすがにそれは大袈裟だよ。皆なら出来ると思ったからセイバーファングを引き受けたんだから。お礼をいうのはこっちの方だよ。そもそも仕事の外の事をやらせて危険にさらしたのは僕のせいだし」

「そんなこと!」

「ああもう! めんどうくせえなあ!」


 びっくりしたあ!?

 千日手になりそうだったところをサムが一喝。とてもイライラした様子で、懐に手を突っ込んで肩の辺りをぼりぼりと掻いている。


「セイバーファングを損耗無しで倒したんだからそれでいいじゃねえか! あんなん出てきたら誰か切り捨てなきゃならんかっただろうよ!? 卿人はそう思ってペイマと康造を連れて戦った! 俺も間に合って戦った! セイバーファング倒した! 終わり! だろ?」


 いっきにまくし立てたサム。ペイマも康造さんも、もちろん僕もあっけにとられてしまった。

 注目されて恥ずかしかったのか、顔を赤く染めるサム。

 乙女か。


「つうか機転を利かせてダッシュでこっちに来た俺は感謝されてしかるべきだと思うが!?」

「サム有り難う!」

「ノータイムすぎるわ!?」

「いやだってホント感謝してるし」

「じゃあそれでいいだろが」


 ・・・・・・。

 ふむ。


「そうだね。有り難う、サム、ペイマ、康造さん」

「うん・・・・・・」

「うむ」


 やたらと恥ずかしそうなペイマと、優しい目つきの康造さん。

 うん、これでいいのか。

 サムの方をみやると、ペイマよりも赤くなっていた。

 ツンデレか。


「とにかく早くいこうぜ。ヒーローが遅れても間に合わなかったじゃ話にならねえ」

「今日はまだ接敵しないから大丈夫よ」

「そんなのわかんねえだろ!?」

「まあ、急ぐにこしたことないか。その前にセイバーファングを片付けないと・・・・・・」


 セイバーファングの討伐部位はもちろん、その鋭い牙・・・・・・ではなく黒い爪である。でかくて太い歯ではあるが、あまり利用価値がないのだとか。

 それよりも下手な剣・・・・・・それこそ僕の作った槍ですら引き裂くほどの強度と切れ味を誇るのだ。雑に持ち手を付けるだけでも充分強い。

 毛皮も高額取引の対象らしいんだけど、真っ黒焦げ手前だからね、諦めよう。

 

 僕の馬車があれば死体ごと袋に突っ込んで保存BOXに投げ込んでおけば万事解決だったのだけども。

 流石に伯爵の車列に紛れた場合、ちょっとあり得ないことが起こったりするのでバリオスと一緒にお留守番と言うことになった。

 表向きはクラフターズの馬車なので機密が多く、間違って入られたら困るからという理由をつけてある。


 無い物ねだりしてもしょうがないので、討伐部位を切断、保存の魔道具袋に放り込んで出発。


「そいいえばこのバフはいつまで続く? いや、体力も増強されていて大変に有り難いのだが、やけに長い気がしてな」

「僕が切らなければ半日持つよ」

「長っ・・・・・・ちょっと後で魔法式見せてよ」

「いいけど、頭おかしくなるかもしれないよ?」

「え、なに? 呪われてるのその魔法式?」

「むしろ自分の使ってる魔法式がおかしいという自覚があるのがまた・・・・・・」


 そんなことを駄弁りながら歩くこと数時間。

 マディシリア式の「日没前」よりも少しだけ早い時間。もうすぐ最終防衛ライン設置予定場所まで着こうかというところで、先行して様子を見てくれていた康造さんが戻ってきた。


「いかんぞ、戦闘が起こっている」

「戦闘!?」

「おそらくドラゴンだ。戦闘音が聞こえた時点で戻ってきたが、どうする?」


 康造さんがこういう物言いをするってことは、見捨てるか聞いてきている。

 もちろん臆病風に吹かれたとかそういうのではない、単純に危険と判断したから。


「いきましょう。もともと見届けるのが僕らの役目だったはず。皆もそれでいい?」

「雇い主様の判断には逆らえねえよ」


 型をすくめて了承してくれるサム。ペイマも康造さんも、異論は無いようだ。

 

「よし、行こう」


 急いでたどり着いたときに僕らが見たモノは。


 ドラゴンと対峙していたランクA冒険者きってのタンク、「翼壁」が、ふっばされた所だった。

   

次回 ドラゴン戦

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ