閑話3 沈黙
あけまして第3章です
まさか2022元旦と3章開始がかぶるとは夢にも思わずw
全然計算してなかったのに節目になりました
というわけで新章「雪華編」宜しくお願い致します
いきなり閑話からだけどな!
九江卿人死亡前
於都内某高等学校
16:00
新校舎2階、2-3教室。
田端健一郎 九江卿人 朧雪華
◇
朧雪華は目の前で楽しそうに駄弁る男子ふたりを眺めている。
田端君と九江君だ。
夕日の橙に染めあげられた放課後の教室、教壇の前に固まって、わたしたち3人で駄弁るのはもう日課になってる。
他愛のないくだらない話で盛り上がってて、このふたりが楽しそうなのを見てるとわたしもほっこりするんだ。
突然だけど、わたしはこのふたりのことを気に入ってる。
ううん。
もっとはっきりと。
好意を抱いている。
コレが恋なのか、愛なのか、憧れなのか。
男子にときめくなんて、わたしにとって生まれて初めての経験で。
とにかくふたりとおはなししてるとどきどきしちゃう。
かたや、クラスで人気者の万能少年。でもホントは不器用な努力型。苦手なこともなんとかしちゃおうとするところが最高に格好いい。
かたや、人間嫌いの天才ド陰キャ。でも人のことを凄くよく見てて、ものすごく人に気を使う。そしてそのぶん、人を使うのもすごく上手い。軍師タイプでめっちゃ格好いい。もうちょっと自信がつけば言うことなし。
なぁんて。
他人を評価するなんで、わたしらくもない。でもそのくらい、らしくないことをしてしまうくらい。
ふたりが魅力的に見える。
そしてここで問題がひとつ。
あ、先に言っとくけどふたりがわたしのことをどう思っているかは考慮してませんからね?
では。
このままだと二股になっちゃう。
だってどっちも格好いいんだもの。タイプが違うから比べるのも出来ないし。
先日友達に相談したら凄い顔で見られた。
「どっちもナシね」
「なんでよ!?」
「九江はともかく田端は論外。陰キャヲタクって時点でありえないっしょ?」
「でもこないだの将棋大会の打ち上げで皆打ち解けたじゃん」
「それはそれ。お友達としては良いけどアレが彼氏とか想像がつかない。それから九江がマシとはいったけど、九江もだめだからね」
「なんでよ」
「あれは優しいタイプと見た」
「いいじゃん、何がいけないの?」
「きっと優しいだけで面白くないよ?」
「・・・・・・」
酷い言われようなんだけど。
いくら友達とはいえディスりすぎ。
わたしがよっぽど酷い顔だったみたいで、慌てて付け加えてきた。
「せっちゃん違うの、違うのよ」
「何が?」
「ほら、せっちゃんとは入学以来の付き合いだけど、せっちゃんの恋バナなんてはじめてじゃない? しかも自分から話振ってきてさ。親友としては張り切っちゃう訳よ」
「ふむん?」
「だからせっちゃんには慎重に選んで欲しいのさ。初恋なんでしょ?」
「わかんないけど、たぶんそう」
「うん、そうだよね。だから九江と田端を好きになったのを否定はしないけど、だからこそ評価は正確にと思って」
「かなり辛い気がしますがぁ?」
「あたし嘘はつけないの」
なんて嘯いてたなぁ。とか思い出しつつ意識を戻す。
・・・・・・なんかふたりして爆笑してる。会話きいてなかったからなんでかはわからない。
目の端に涙を浮かべて笑っているふたりを眺めてみて。うん。
やっぱりふたりともかっこいい。
友達はああ言ってたけど、その評価がふたりを嫌いになる理由にはならないんだよね。
そーするとだよ。
「ふたりはわたしの事どうおもってるのかなぁ?」
ばっ、と。九江君と田端君の視線がわたしに集中する。
九江君はいぶかしげに。田端君は目をまんまるにしてる。
ん?
え? もしかして今の口に出してた!?
ヤダヤダヤダ! 思いっきり上から目線の自意識過剰女みたいじゃん! てゆうか現状そうじゃん!?
「ど、どうしたの朧さん? 突然だし?」
あからさまに動揺した感じで田端君が聞いてきた。いや、うん。わたしもびっくりしてるんだよ!
わたしと田端君が動揺しまくって見つめ合ってるなか、九江君は「ふむ」とか言って少し考えてからわたしの方を見る。
「朧さんは面倒見がいいよね。誰とでも気さくに話すし、平等に接するから学園のアイドルっていう評価も納得だと俺は思う」
「え、あ、う、うん! ありがとう! めっちゃ褒めるじゃん!」
すっごい冷静な意見が飛んできた。普通にわたしに対する評価だと判断したのは、やっぱりコミュ力の高さからくるのかな。
わたしが感心して笑いかけたら九江君はハッとして、口元に手を当てて目をそらした。こころもち顔が赤い。
・・・・・・その反応はずるいぞ・・・・・・?
てゆうかクールな感じで行くんなら最後までクールでいてよ!
もう、わざとやってるのかなぁ! キュンキュンしちゃうだろー!
しかもその九江君を見て「なんでだし?」みたいな顔になる田端君よ。
やっば! 鈍感! だがそこがいい! 可愛い!
なぁんて限界化してる場合じゃ無いぞ! とっても気まずいのですが!?
いや、まって。でもふたりのこの反応が見れたってことは、すくなくとも意識されてないってことはない!
はず。だよね?
引き換えにこの気まずい空間なわけだけど。
3人とも顔を赤くしてうつむき加減で黙っちゃってる空間。
この事態を引き起こしたのはわたしなんだから、わたしがなんとかしないとだよね!?
でもどうしよう・・・・・・。
「ああその、なんだ」
おっ!? 九江卿人が動いたぞ ! そういえば九江君は女の子と付き合った経験があるとかいってたっけ? 期待してるゾ!?
「しりとりしようか?」
下手くそかぁぁぁぁぁぁぁぁ!?
嘘でしょ!? 田端君も完全にこまってるじゃん!?
なるほど、九江君が今独り身なのはこうゆうとこか・・・・・・。
ああでも。ここで打開策が思い浮かばないわたしも人のこと言えないよ!
そうして始まる地獄の沈黙時間。どうやらわたし達にこの状況を打開する力は残念ながら無いようです。
結局、長い沈黙を破ったのは、見回りに来た先生の「早く帰れ」の一言だった。
先生ありがとう・・・・・・。
青春とかおいたんよくわかりません
つぎから3章本編になります、同日投稿済みですのでどうぞ読んだってくださいな




