わたしは聖剣ちゃん。~勇者様に放置プレイされています~
前作と同じ世界のお話ですが、前作を読まなくても大丈夫です。……けど、前作も読んでくださると嬉しいです(小声)。
「ふぅ、四天王も三人倒して、残すは最後の四天王と魔王だけか」
「ようやく折り返し地点を過ぎたってところね」
「だが、油断は禁物であるぞ」
「そうですねー。人間、慣れ始めた頃が一番危ないと言いますからー」
「ああ、わかっているさ。これからはより一層気を引き締めて戦いに臨もう」
勇者パーティの定例ブリーフィングで、金髪キラキラしい勇者様がホッと安堵の吐息を漏らすと、勇者の頼りになる仲間たちが、慢心を窘める。勇者様はそれを聞いて、むん! と気合を入れた。
(うんうん。さすがわたしの勇者様でいやがります! 勝っても驕らず、常に弛まぬその精神。歴代最強の名は伊達ではねーですね)
声にならない言葉で勇者様を称賛するのは、幽霊……ではなく、彼の腰にぶら下げられている聖剣ちゃんだ。勇者様が女神さまから賜った聖剣は、勇者たちにも知られていないが、意思のある武器――つまり、インテリジェンス・ウェポンというやつなのである。
(ただですね、一点だけ。わたしは勇者様に不満がありやがるのですよ)
聖剣ちゃんは、鞘ちゃんをカタカタ震わせて不満を体現する。……勇者様には気づいてもらえなかったが。解せぬぅ! こんなにカタカタしてるのに!
聖剣ちゃんの唯一の不満、それは――、
(勇者様! いい加減わたしを使いやがれですよぉぉおおおおおおおおおお!)
勇者様が一度も自分を使わず、もう片方の腰にぶら下がっている鋼の剣ばかりを使っていることだった。聖剣ちゃんは、女神様から勇者様に下賜されてから一年近く、勇者様に絶賛放置されているのであった!
放置プレイか! 放置プレイなのか、ちくせう!!
これは、歴代最強と言われた勇者の物語を、のちの世で「抜かずの聖剣」と謳われることになる聖剣ちゃんの視点でお送りする物語。
▽△▽△▽
さて、女神様が見守るこの世界には、大まかに分けて二つの種族が暮らしている。
人間。
この世界の生態系より、進化の極北にて生まれた種族で、人間、ドワーフ、エルフ、獣人の四種からなる。
魔族。
魔力の塊から生まれる魔物が知恵を持ち、繁栄した種族である。ベースとなった魔物によって種類は無数にある。
そんな二つの種族が暮らすこの世界には、問題が一つあった。
それは、人間と魔族の種族間の戦闘力格差である。ただでさえ、人間より力も魔力も高い魔物が知性をもって活動して、さらに強くなるのが魔族である。脆弱な人間と強い魔族を一つのところに置いては、弱い人間が淘汰されるのは自然の摂理である。
そこで女神様は世界に二つの大陸を用意した。魔力の大いなる流れである龍脈を操作して、一方の大陸に魔族が生まれないようにした。こうして世界には人間大陸と、魔族大陸の二つの大陸が作られた。
普段は人間も魔族も、与えられた豊かな大地に満足して、比較的平和に暮らしている。魔族は人間大陸に攻め込めば瞬く間に人間大陸を支配してしまえるほどに強いのだが、魔族はいずれ人間と魔族が調和する世界を目指すという女神様の意向に従い、人間大陸に侵出することは無かった。……そう、普段であれば。
まれに、魔族大陸で覇権争いに負けた魔族が、暗黙の了解を破って、人間大陸を支配しようともくろむことがある。
今代の魔王も、吸血鬼との闘争に負けて、敗者の地位に甘んじることができず、人間大陸に攻めてきたのである。
彼らは魔王軍と呼び称されて、人間大陸の大きな脅威となっている。
いつもなら人間・魔族の営みに干渉せず見守るだけで中立の女神様も、魔王が出た時ばかりは人間に手を貸す。女神様は人間の中から実力ある者を神託によって集わせ、魔王討伐に向かわせる。
その際の女神様が魔王討伐の手助けとして勇者様に与えたのが、
(このわたし、聖剣ちゃんでやがります!)
勇者様が最後の四天王である四天王(最強)さんの根城で木端魔族と戦っている間に、聖剣ちゃんはやることも無くぼーっとこの世界の成り立ちについてナレーションしてみた。だって暇なんだもの!
なんで暇なのかって? それはもちろん、勇者様が聖剣ちゃんを使わず、勇者様が勇者になる前から愛用していた鋼の剣で魔族と戦っているからだ。
いちおう聖剣ちゃんも、聖剣スキルの「魔法吸収」で魔族の魔法と魔法使いちゃんのフレンドリーファイア上等な爆発魔法をはじいているが、暇なものは暇である。ちなみに、魔法使いちゃんがフレンドリーファイア上等精神なのは、聖剣のスキルを知っているからだ。決して、昨日勇者様が、助けた女の子にデレっとしていて嫉妬したわけではない! 勇者の恋人はそんなに狭量ではない。
「死ね! すけこまし勇者ぁぁ!」
「魔法使い、今日は一段と気合十分であるな」
「魔法使いちゃんは怒りの力で強くなるヤサイな戦闘民族ですからねー」
「そうであるか。……野菜?」
………………。
(あー、ひまですー! 理不尽でやがります―。勇者様は鬼畜ですー)
聖剣ちゃんは、親友の鞘ちゃんに愚痴をこぼす。八百万の魂が実体化する天界ではないので、鞘ちゃんに言葉を伝えることができないが、思いは伝わっているらしく、鞘ちゃんは聖剣ちゃんをカタカタ揺らして慰めてくれた。
(鞘ちゃん! 優しさが刀身に染み渡りやがるですぅ……)
聖剣ちゃんは自分が使われないことを理不尽に感じているが、勇者様が聖剣を使わないのには、ちゃんと理由がある。聖剣ちゃんは、強すぎるのだ。
ひのきの棒でオリハルコンすら斬ってしまう勇者様が、素人が使ってもオリハルコンを斬れる聖剣ちゃんを使えば、一振りで地平線の彼方まで真っ二つにしてしまい、二振りで次元の壁すら斬り開いてしまう。そのことに素振りの時点で気づいた勇者様は、聖剣ちゃんの力を満足に制御できない自分の未熟さを痛感して、以来聖剣ちゃんの使用を封印しているのだ。
ちなみに聖剣ちゃんは自分の能力が低いから勇者様に使ってもらえないのだろうと考えて、日夜周囲の魔力を吸収して刀身磨きに余念がない。魔力を取り込み続けた聖剣ちゃんはさらに切れ味を増していく! 今なら一閃で国を落とせるかも! 深刻なすれ違いで世界の危険が大ピンチだ!
次に勇者が聖剣を使う日が、世界の命日にならないことを祈る……。
(あーあ、わたしも斬りてーです! 強い魔族をズパズパ~っと!)
この言葉だけ聞くと、すごく危ない子なのだが、聖剣ちゃんは剣なのだ。斬りたいと思うのは剣の本能みたいなものである。
そんな風に油断していたのがいけなかったのだろう。
「! みんな、下がれ!」
勇者様が突然、鋭い警告を発した。
次の瞬間、勇者の足元に魔法陣が展開する。それは、転移の魔法陣。
(これはやべーです!)
聖剣ちゃんは魔法吸収を試みるが、魔法吸収は攻撃系の魔法以外に効果が薄い。勇者はあっさりと転移の罠でどこかに飛ばされてしまった。
「勇者ぁぁああああ!」
魔法使いちゃんの悲鳴が、嫌に刀身に響いた。
(ええと、ここはどこでしょうか)
聖剣ちゃんが気づくと、地下空間らしき薄暗い場所に転移していた。目の前には、勇者様が困惑顔で立っている。
(? 目の前? ――!)
そこでようやく、聖剣ちゃんは自分が定位置(勇者の腰)にぶら下がっていないことに気付いた。聖剣ちゃんは今、知らない魔族の男の手の中にあった。
「お前は誰だ!」
勇者様が誰何すると、男は含み笑いをしながら名乗る。
「我は最後の四天王さ。四天王最強の男だよ」
(いや、名前を名乗りやがれですよ)
聖剣ちゃんがツッコミを入れるが、もちろん気づいてもらえない。
「お前が。そうか、探す手間が省けたよ。ここでお前を倒して、この街を魔王軍から解放する!」
(さすが勇者様! かっこいいでやがります!)
聖剣ちゃんはウチの勇者様が一番かっこいいと言わんばかりに喝采を上げる。しかし、四天王(最強)はクックッと笑うばかりだ。
「なにがおかしい?」
「いや、よくそんな強がりが言えると思ってな」
「なんだと?」
「そうだろう。仲間と分断され、聖剣を奪われた勇者に何ができるというのだ」
(…………!)
聖剣ちゃんはハッとする。確かにかなりまずい状況である。勇者様は聖剣ちゃんを使っていないので、戦闘能力低下は聖剣スキルの「魔法吸収」だけである。とはいえ、四天王が聖剣を使い、なおかつそれを仲間の援護無しで打倒しなければならないのだ。
四天王はニヤニヤと聖剣ちゃんを掲げてみせて、それから聖剣ちゃんを撫でまわす。
「ほう、これは美しい剣だ。さすが忌まわしき女神があつらえた剣ということか」
(ひぃぃいい! ぞわって! ぞわってしやがりますぅぅ! 気持ち悪い手で触らねーでください! 勇者様助けて! あなたの聖剣ちゃんが魔族の男にNTRれやがるですよ!?)
聖剣ちゃん、まさかの囚われのヒロイン化。ヒロインとしては美味しい展開だけど、聖剣としてはまったく美味しくない! わたしはヒロインを助ける側なのにぃぃ!
「勇者といえども、聖剣が無ければ我ら魔族には手も足も出まい。くくく、自分の聖剣で斬られる屈辱、とくと味わうがいい」
そして、四天王(最強)は聖剣ちゃんを鞘ちゃんから抜き放つ。聖剣の白雪のように透き通る刀身が、いま露わになる。
(いやぁぁ! 見ないで! 見ないでやがれですぅぅうう!?)
乙女の硬肌を無理矢理白日の下にさらされた聖剣ちゃんはもう涙目だ。
(うぅぅ。わたし、こんな形で初斬りを散らされることになるなんて、最悪でやがるです……。わたし、勇者様を斬りたくねーですよ……)
それは、剣としての本能とは真逆の思考だった。しかし、ひとりの聖剣としては、大切なご主人様を斬りたくないのだ。
「ふははは! くたばれ勇者ぁぁあああああああ!」
四天王(最強)は音速の踏込で勇者様に肉薄する。四天王(最強)は聖剣ちゃんを大上段から振り下ろした。
(勇者様! 逃げて!)
今まで勇者様に使われなかった聖剣ちゃんだが、そのオリハルコンすら豆腐のようにスパスパできる斬れ味は本物だ。
振り下ろされた聖剣ちゃんは、勇者様を真っ二つに――――しなかった。
「なに!?」
なんと、勇者様は聖剣ちゃんを片手の指だけで白刃取りにしてしまったのだ。
「噂だと、最後の四天王は強力な魔法が売りって聞いたんだがな。僕に近接戦なんて、余裕だね」
近接戦最強の勇者様は白い歯を見せて薄らと嘲笑う。聖剣の素晴らしさに目が眩んだ四天王(最強)は、勇者に接近戦を仕掛ける愚かしさに、いまさら気づく。
「この聖剣は女神様からの大切な贈り物だからさ。悪いけど返してもらおうか」
勇者様は四天王(最強)から聖剣ちゃんを奪い、掌底で四天王を吹き飛ばした。
聖剣ちゃんは真の担い手のもとに戻ったことに安堵して、ぽろぽろと涙を流す。号泣だ。
(よかったでやがりますぅぅ! わたしの初斬り、守られたぁぁ! 勇者様ありがとう! 好き! 大好きでやがりますよぉぉ!)
「仲間達も待っているだろうし、さっさと終わらせよう」
「くっ、良い気になるなよ勇者! 接近戦では後れを取ったが、我は四天王にて最強! 返り討ちにしてくれるわ!」
(さあ、勇者様! あの寝取り魔を真っ二つにしやがるです!)
「勝負といこうか、四天王!」
聖剣ちゃんはやる気(殺る気)に満ち溢れ、その刀身を爛々と輝かせた。
勇者様は聖剣ちゃんのやる気に応えるように、剣を構えた。……鋼の剣の方を。
(へ?)
呆然とする聖剣ちゃん。しかし、そんな聖剣ちゃんなどお構い無しに、戦闘は始まり、
「ぐああああああああああ!」
そしてあっさりと、勇者様は四天王(最強)を倒してしまった。もちろん、鋼の剣で。四天王(最強(笑))のご自慢の魔法は、聖剣ちゃんの「魔法吸収」で無効化した。細かい戦闘シーンはばっさりカットだ。「映す価値無し」である。
(アイエエエエエエエエ! ナンデ! ナンデソッチ使ウノ!?)
ここはわたしを使う場面でしょう! と聖剣ちゃんは絶叫した。せっかく抜身の聖剣を手に持っているんだから、わたしを使いやがれですよ!? と心から叫んだ。
勇者は、四天王(最強)という強敵を前にして、普段使い慣れた方の剣を選んだだけなのであり、そもそも一振りで地平線の彼方までぶった切ってしまう聖剣なんてこんな地下らしき閉鎖空間で使うわけにもいかないのだが、勇者に使われたい聖剣ちゃんにはそんなこと関係無かった。
心の叫びも空しく、勇者様は鞘ちゃんを拾って、聖剣ちゃんをしまってしまう。
(勇者様! どうして私を使いやがらねーですかぁぁああああああああああ!)
こうして勇者は、最後の四天王を退けたのであった。
だが、勇者の旅路と、聖剣ちゃんの放置プレイはまだまだ続く!
▽△▽△▽
「いよいよここまで来たか……」
勇者様は魔王城の前で呟く。
(長かったでやがりますねえ)
勇者様の旅路に同行して、色々なことがあった。
初めての四天王戦。まだまだ未熟だった勇者たちは一番の苦戦を強いられた。あの戦いの後で、仲間がひとり脱落してしまったのだ。
小さな子供を好んで食べる狼の化け物と戦った時は、子供好きな聖女様が珍しく激怒していた。助けた赤ずきんの少女はずいぶん聖女様に懐いていて、彼女が教会に保護したと聞くが、元気にしているだろうか。
無自覚にハーレム要員を生み出そうとする勇者様を魔法使いちゃんが顔面崩壊させるまで殴り倒した回数はもう覚えていない。女の子たちはみんな逃げていったので、勇者の恋人は魔法使いちゃんだけだ。健全なことで大変よろしい。
戦士さん……うん、なんか全体的に影が薄かったかな。
(ホント、色々なことがあったです。……なのに、わたしの出番が一度もねーのはどうしてでしょーね)
聖剣ちゃんががっくりすると、鞘ちゃんがカタカタと慰めてくれる。今日も鞘ちゃんが優しくて、聖剣ちゃんはそれだけで幸せだ。
そして、迎えた魔王戦。
ボス部屋の扉を開けた瞬間に、魔王が先制攻撃してくるというお約束破りを見せられたものの、勇者様たちはなんとか立て直して、魔王に挑む。
聖女様が各種支援魔法を起動して、パーティの能力値を底上げすると、勇者様が飛び出す。
勇者様が鋼の剣で魔王の大剣と斬り結び、時間を稼ぐ。その間に魔法使いちゃんが「連星定理」と「魔力圧縮」スキルで超強化した五重爆発魔法を発動する。
魔法の余波は魔王城の天井を吹き飛ばし、戦士さんが爆風から後衛の女性陣を守る。
爆心地にいた勇者と魔王は魔法の直撃を受けたが、勇者には聖剣ちゃんの「魔法吸収」がある。もうもうと立ち込める煙の中から飛び出した勇者様は、空中で一回転して、仲間の近くに着地した。
「やったであるか」
戦士さんが呟いた。
「それはフラグですよー」
(それはフラグでやがります!)
聖女様と聖剣ちゃんの思考が一致したその時、煙の中から空気を切り裂く激しい音と共に、魔王の大剣が飛び出てきた。
「え……っ」
大剣は正確に魔法使いちゃんの頭に吸い込まれ――、
「危ない!」
直前で、勇者様のパリィ防御が間に合い、大剣は魔法使いちゃんの髪を一房引きちぎるだけで済んだ。
しかし、その代償は高くついた。
「ありがとう、勇者。けど、あんたの剣が……」
そう、勇者様の冒険を支えてきた鋼の剣が衝撃に耐えかねて、根元からポッキリ折れてしまったのだ。
『吾輩を傷付けた女の命は取り損ねたか……。しかし、思わぬ戦果もあったな』
煙の中から、ノイズが走ったような魔王の声が聞こえた。煙が晴れると、先ほどまでの人間形態から一変、二足歩行の竜のような異形と化した魔王がいた。異形と化し、巨大化した魔王は、先ほどの大剣が爪楊枝に思えるほどの禍々しい邪剣を装備している。
「それが、お前の真の姿か」
『いかにも。どうやら、貴様らは吾輩が本気を出すに値する敵らしい。ここからは、本気で相手しよう。簡単に死んでくれるなよ』
「負けないさ。僕たちはお前を倒して、平和を取り戻す!」
『しかし頼みの綱の聖剣は折れてしまったぞ? 聖剣がなければ、貴様らの敗北は必定。もはや吾輩を相手に何分立っていられるかというだけの話だ』
(ハハッ、あの魔王の目は節穴でやがるですね。聖剣はわたしでやがりますよー。あなたがへし折ったのは鋼の剣さんですよー)
どうやら魔王は、折れた鋼の剣が聖剣であると勘違いしているらしい。……まあ、仕方ないだろう。どこに聖剣を腰にぶら下げたまま一年以上も放置プレイをする勇者がいると思うのだろう。正解は、今、魔王の目の前にいる!
「それはどうかな」
『ほう……』
勇者様が不敵に笑った。
(さあ、言ってやがれです! 聖剣はわたしだと! 今真の力を解放すると!)
聖剣ちゃんはウッハウハでアップを始めた。最後の戦い! こんなにおいしい場面で真打登場! そりゃあもう、聖剣としてはテンション急上昇だ。
「僕の切り札は別にある」
(ヘイヘイ! 勇者様! カモーン!)
「これが僕の切り札だ」
そして勇者様は自らの手首を切り裂き、魔力を練った。
(へ……?)
聖剣ちゃん、呆然。愕然。
そうしている間に、勇者様が流す血は魔力によって錬成され、一振りの剣となった。
(あれは鉄血武装でやがります!?)
ブラッドウェポンとは、自らの血を武器に変えて戦う、吸血鬼の魔導奥義その一だ。ちなみに吸血鬼は魔族の中でも最強の種族であり、魔族大陸の覇権種族だ。吸血鬼の奥義は一番から百番まである! 奥が深い!
勇者様は一時期パーティに所属していたハーフヴァンパイアの少年から、ブラッドウェポンの使い方を伝授してもらっていたのだ。
赤黒い血潮を纏う金髪キラキラ勇者様は、光と闇が合わさって最強に見える!
「お、おのれぇぇえええ! その魔法はぁぁああああああああああああ!」
魔王は自分を下して魔族大陸を追い出した吸血鬼の魔法を見て激昂する。
そして聖剣ちゃんは激怒した!
(なんでそんな魔族の難しい魔法を使ってまでわたしを使いやがらねーですかぁぁああああああ!? チクショォォメェェエエエエ!)
折角かの邪知暴虐の鋼の剣がログアウトして、勇者様の唯一の武器としての決意を新たにしたのに! と、聖剣ちゃんは激おこだ。聖剣ちゃんに魔族の魔法は分からぬぅ! けれども自分を使ってくれない勇者様の理不尽に対しては、人一倍に敏感であった!
……なぜ勇者様が聖剣を使わないのかというと、今の魔力を溜めに溜め続けた聖剣ちゃんの攻撃力と勇者様の実力が合わさると、魔王どころか大陸を丸ごと真っ二つにしてしまうことになり、勇者様は直感でそれを感じ取っていたのだ。平和のためだとしても、さすがに許容できない被害なのだ。
自分を使って欲しい聖剣ちゃんには知る術が無く、関係の無い話であるが。
そして、第二ラウンドが始まる。
魔王の仇敵である吸血鬼から伝授されたブラッドウェポンは、煽り耐性皆無な魔王に良く効いた。
怒り狂った魔王に冷静さは無く、いくら人間形態の時よりはるかに強い力を得ているとしても、勇者様たちの敵ではない。詰め将棋のように盤面を操る勇者様たちは、次第に魔王を追い詰めていく。
魔王が冷静さを取り戻した時には、もう戦局は取り返しのつかないほどに傾いていた。
『またしても! 吾輩は負けると言うのか! だがせめて、勇者。貴様だけは道連れにしてくれるわ!』
魔王は防御を捨てて、勇者の一撃を受ける。勇者の剣は魔王の心臓に突き刺さるが、魔王は勇者を万力のような力で掴んだ。
「勇者!」
「くそ! 離せ!」
『離さんさ! 吾輩と共に死ね!』
そして、発動するのは魔王の自爆魔法。悠久ともいえる寿命と魔力を等価交換することにより、魔王は大陸の半分を消し飛ばすほどの時限爆弾となる。
(まったく、勇者様は最後の最後で詰めを誤りやがりましたね……)
聖剣ちゃんはため息を一つ。そして、覚悟を決めた。
自爆魔法とて、攻撃魔法。つまり、「魔法吸収」スキルの効果対象だ。
聖剣ちゃんが魔王の魔力を吸収し始めると、聖剣ちゃんが俄かに輝き始めた。
「聖剣が!」
聖剣ちゃんから溢れる光は、許容量と許容速度を大幅に超えて魔力を取りこむことによる、オーバーフロー現象だ。
処理しきれない魔力は聖剣ちゃんの刀身にネズミ算式に負荷を与え、存在しないはずの痛覚に、聖剣ちゃんは苦しみ喘ぐ。
(くぅ……! それ、でも……! わたしは勇者様を助けたいのです!)
聖剣ちゃんは聖剣の意地で痛みを堪え、ぐんぐんと魔力を吸い取る。
ピシリ、と。彼女の刀身に亀裂が入る。
(そりゃあ、聖剣の主として、勇者様は最悪でしたとも。せっかく与えられた聖剣を一度も使わず魔王を倒す勇者なんて聞いたことねーです。……だけど!)
一度亀裂が入れば、壊れ始めるのは早い。亀裂は蜘蛛の巣状に広がり、聖剣は修復不可能のポイント・オブ・ノーリターンをあっさり超えてしまう。
(わたしは平和のために戦う勇者様が大好きなんです! 世界最強の、私の自慢の剣士! 勇者様をこんなところで死なせやがるもんですか!)
耐えて、耐えて。聖剣ちゃんは魔力を吸い込み続ける。
そして――、
『馬鹿な……』
すべての魔力を吸い尽くされた魔王は、その場に崩れ落ちた。
同時に、ガラスが割れるような澄んだ音が、鞘ちゃんの中から響き渡った。
――愛してやがりますよ、勇者様。
勇者たちには、そんな声が、どこからか聞こえた気がした。
▽△▽△▽
「聖剣さん、今まで勇者の旅を見守って下さり、ありがとうございました」
そこは、何もない場所。
すべての終わりを告げた魂が、集う場所。
聖剣ちゃんは、そこで女神様と対話していた。
「いえいえ、聖剣として当たり前のことでやがりますよ」
「自分の身を犠牲にしてまで勇者を守る、そんなことができる聖剣はあなたくらいです」
「そうでやがりますかね?」
刀剣は優れた剣士を愛する。例えその剣に意識があろうと、無かろうと。
愛する剣士のためならば、我が身を犠牲にするなど苦にもならない。
きっと、聖剣ちゃんの出番を奪いに奪って、最後には満足そうに真っ二つになって逝きやがった鋼の剣も、同じ気持ちだろう。憎い剣だったが、アレが勇者様の期待を裏切ったことはただの一度も無かった。
それはひとえに、主のことが好きで、好きで、たまらなかったからに違いない。
「さて、役目を終えた聖剣には、なんでも一つ願いを叶える権利が与えられます」
「そういえば、そんな報酬もありましたね」
勇者様との旅が楽しくて、聖剣ちゃんはすっかり忘れていたらしい。
「天界の宝物庫での豪華な暮らしも、天界で更なる強さを求めることも。聖剣さん、あなたは何を望みますか?」
「では、わたしは――――」
一つ、願いがかなうとしたら。一振りの剣として、願うことは一つしかあるまい。
……ちらっと、憎いあんちくしょうの姿が脳裏を掠めた。
(しゃーねーです。同僚のよしみで、てめーのことも女神様に頼んでやりますよ)
▽△▽△▽
勇者たちは魔王を倒し、拠点にしていた帝国に凱旋して、パレードやら皇帝との謁見やらを済ませて、宿で休んでいた。
勇者は宿の個室に入ると、その両腰に下げた愛剣を鞘ごと取り外す。
彼の剣は、どちらも修復不能なまでに壊れていた。旅を支え続けてくれた鋼の剣は、根元から真っ二つに。最後まで使いこなすことができなかった聖剣は、勇者の身代わりとなって粉々に。
勇者は、壊れてしまった二振りに黙祷をささげる。せめて、感謝の念をこめて供養することにしようと誓った。
――その時、だ。
「なん……だ?」
二振りの剣が、暖かな光を放ち始める。人間業とは思えない魔法陣が展開され、カッとフラッシュが巻き起こった。次の瞬間、二振りの剣は新品同然に修復されていた。
そして、変化はそれだけにとどまらない。鋼の剣は白兎に、聖剣は銀髪の少女に変身したのだ。
兎と少女は、あっけにとられる勇者を見つけると、おそろいの赤い瞳をキラキラさせて、勇者に飛びついた。
勇者は勢いに負けて、床に押し倒されてしまう。
「勇者様! あなたの聖剣ちゃんが今戻りやがったのですよ!」
少女は勇者様の身体に頬ずりする。ぐへへ、至福でやがります!
「聖剣!?」
「はい! 女神様のパワーで、華麗に復活しやがった聖剣ちゃんです!」
「そ、それは良かった……。けど、その姿はなんだ! というか服を着ろ!」
硬派な勇者様はさっと目を逸らす。聖剣ちゃんは、抜身の剣だった。
「女神様が『言葉を話せないと深刻なすれ違いが起きて世界の危険があぶなそうなので』とか何とか言って、人化スキルをサービスしてくれやがったのです。元々意思の無い鋼の剣は、獣化で精一杯みてーですが。服は……おっと、これは失礼しやがりました」
聖剣ちゃんはぺこりと頭を下げて服を……着ない!
「着ろよ!?」
「嫌です!」
「即答!」
聖剣ちゃんは服を着るのはまっぴらごめんだ。なぜなら、聖剣ちゃんにとっての服は鞘ちゃんしかいないのだ。服なんて着たら鞘ちゃんが拗ねてしまう!
「と、いうわけで好きです! 勇者様!」
「どういうわけだ!?」
脈絡、仕事しろ! と勇者様は叫ぶ。
「ひどい! わたしはずっと勇者様をお慕いしていやがったのに」
「初めて聞いた!」
「それに、これ以上の放置プレイは我慢できねーですよ。この際、剣としてではなくて、女としてでもいいので、いえ、むしろせっかくこの身体を手に入れたのです。女としてわたしを使いやがれです!」
「意味がわからん――ぎゃぁぁああ!」
聖剣ちゃんは言うが早い、勇者様をひん剥いてしまう。おや、これはこれは第二の同僚のネオアームストロングサイクロンジェットアーム○トロング・エクスカリバーさん、こんばんは。今日も禍々しくてお元気でいやがりますね。
勇者様はテンパって抵抗らしい抵抗ができずにいる。それでも、「これ以上はいけない」と聖剣ちゃんを説得しようとする。
「魔法使いちゃんへの義理立てでやがりますか? エクスカリバーさんのご様子を見るに、説得力皆無ですが。ま、だいじょーぶでやがりますよ。わたしは聖剣。つまりは無生物! わたしのことは全自動オ○ホだとでも思えばいいのでやがりますよ」
「そ、そういう問題じゃな――! や、やめるんだ……」
「それでは、いただきやがります♪」
その時、バァァアアアアアアアアン! とけたたましい音を立てて扉が開いた。鍵が掛っていたはずなのに……。鍵ははじけ飛んでいた。
「勇者……凄い音がしたと思ったら、あんた。また新しい女を……」
「ま、魔法使い!? ち、ちがうんだ! これは!」
そこには、瞳孔が開ききった魔法使いちゃんが、拳に嫉妬の炎を纏わせて立っていた。
鋼の剣の化身である兎さんは、飛び火しないように部屋の隅っこに逃げて、剣形態に戻った。
「問 答 無 用 !」
「ひっ、アーーーーーーーーー!」
そして聖剣ちゃんと勇者様を引っぺがすと、魔法使いちゃんは勇者のマウントポジションを取って、ドカッバキッメキョッと撲殺し始める。とても魔法使いとは思えない……武道家の方が天職なのでは? と思える素晴らしいパンチだ。
床に投げ出された聖剣ちゃんは、その光景をポカーンと見ながら、勇者様に呼びかけた。
「あの……」
ドカ! バキ! メキョ!
「勇者さ……」
ズドドドドドド!
「わたしをつかって……」
オラオラオラオラオラオラオラオラオラ!
完全に蚊帳の外に置かれた聖剣ちゃんは、涙目でぷるぷる震え、そして叫んだ。
「勇者様! 早くわたしを使いやがれですよぉぉおおおおおおおおお!」
こうして今日も、聖剣ちゃんは勇者様に放置プレイされるのだった。
登場人物+登場無機物紹介(ある意味本編/本編の捕捉)
聖剣ちゃん
・斬れ味抜群! 特殊効果満載! なさいきょーの剣。「魔法吸収」以外にも様々な聖剣スキルで勇者をサポートできる。だけど勇者様は一度も使ってくれない。解せぬ。
・魔王の膨大な魔力を吸収したことに加えて、女神様に修復&調整してもらったことにより、聖剣から神聖剣に進化した。
・白亜の刀身に紅の魔力紋が走る剣形態と、銀髪赤瞳の美少女形態をスイッチできるようになった。人間形態は、幼女、少女、成人女性、好きに選べてお得でやがりますよ、勇者様!
・誰よりも近くで勇者様の活躍を見守り続け、勇者様に使って欲しい、が転じて勇者様への恋心を募らせる。
・勇者様が魔法使いちゃんのオラオラで顔面崩壊させられるのを見るが、他の勇者様に惚れた女の子と違い、そんな光景は見慣れているので、今後も果敢にアプローチを続ける予定。
鞘ちゃん
・聖剣ちゃんの相棒で親友。持ち主に体力と魔力のオートリジェネ効果(特大)を与えるチートな装備。例え鞘でも、女神様からの贈り物は伊達ではない。
・空回る聖剣ちゃんを見守るのが大好き。聖剣ちゃん大好き。聖剣ちゃんが好き過ぎてちょっとヤンデル。聖剣ちゃん、イツマデモ一緒ダカラネ?
・女神様に聖剣ちゃんを自分と溶接してお嫁さんにしたいと直訴したが「私、一応女神なのでそういうよこしまなお願いはちょっと……」と断られてしまう。ならばせめて、と聖剣ちゃんと同じ変化の術を授けてもらい、服化できるようにもなって、聖剣ちゃんとはいつでも一緒をとりあえず実現した。人間形態にもなれて、銀髪青瞳の女の子になる。
鋼の剣
・ドワーフの名匠が鍛え上げた剣。勇者様のオーダーメイドで、既製品な聖剣ちゃんとは一味違った使い心地。勇者様に合わせ、勇者様に寄り添う良妻剣母。のちの世には、人間種が作り上げた最高峰の剣であり、聖剣にも匹敵するとして女神様から祝福された武器として伝わる。後世に伝わる剣の銘は、「首刎ね兎の剣」。
・元は意思の無い普通の剣だったので、獣化までしかできなかった。白兎に変身する。兎形態でも戦えて、近衛騎士団三十人程度なら一瞬で首刎ねできる。
・出番に恵まれない聖剣ちゃんの永遠のライバル。のちに、人化を自力修得して、ウサミミ美少女として恋のライバルとしても立ち塞がる。
・ただし、最強無比な聖剣ちゃんのことは尊敬している様子。
勇者様
・無自覚にハーレムを作り始める金髪キラキラしいハーレム主人公野郎。……しかし、魔法使いちゃんのファインプレーによって、今のところハーレム計画は阻止されている。
・勇者に選ばれる前から、天才的な剣士であり、はじめから聖剣ちゃんを完璧に使いこなせていた。しかし、素振りで意図せず地平線の彼方までぶった切ってしまったことで修行不足だと勘違いして聖剣ちゃんを封印する。
・聖剣ちゃんを使いこなせる、聖剣にふさわしい剣士になろうと努力して、「剣神」スキルを開眼した。神聖剣となった聖剣ちゃんの力を完全開放して戦えば、魔族大陸を支配する吸血鬼の大魔王様にも匹敵するくらい強い。……が、彼が本気で戦うと、比喩表現抜きで世界が真っ二つになる虞がある。女神様涙目。
魔法使いちゃん
・勇者様の幼馴染。ツンデレ暴力系メインヒロイン。
・武道家から転職して魔法使いになったので、接近戦もお手の物。スタ○ドを出さなくてもオラオラできる。
・得意の爆発魔法の正体はメド○ーア。魔王戦ではこれを五発同時に発動した。
・武道家と魔法使いの経験を活かして、最近、天地魔○の構えを修得した。
・勇者のことが大好きで、ハーレムなんてクソ食らえ。……と、思っていたが、聖剣ちゃんの熱意にほだされかけている。負けるな、頑張れ魔法使いちゃん! ハーレム主人公は女の敵だ!
聖女様
・ゆるふわ毒舌ショタコンロリコンクレイジーサイコ闇墜ち聖女おねーさん。特技は属性過多で周囲の陰を薄くすること! ……だが、今作では彼女が暴走すると止まらなくなりそうだったので、彼女自身の陰を薄くして対応した。
・女神様とはお茶会友達で、女神様に天界へと招かれては「最近、この世界のパワーインフレが止まらなくて辛いです」という相談を話半分に聞きながら、天使族のロリショタたちを愛でている。
・聖女なのに邪神な触手をペットにしている。触手は誰も知らない森の中にある沼に放流していて、倒した魔族を生贄として放り込んでいる。魔族たちはお仕置きもかねて、全員TS幼女化させられて触手調教もとい更正プログラムを受けている。
・最近、聖剣ちゃん幼女モードにロックオンした。
戦士さん
・なんとなく影が薄いこわもて巨漢さん。
・影の薄さを何とかするべく、盛大に「やったか」フラグをやらかして、汚名挽回、名誉返上した。
女神様
・平和を願う、普通に良い女神様。
・なぜか修行を始めた大魔王に気を取られているうちに、いつの間にか勇者様と聖剣ちゃんが超進化していて白目を剥いた。
・聖女様とお茶会友達になったきっかけは、趣味が合ったから。お察しください。
魔族のみなさん
・TS幼女化触手地獄に放り込まれる。
四天王(最強)
・魔法使いビルドのクセに、勇者に接近戦を挑むアホな最強(失笑)……なのだが、実は裏話がある。実はあの時、四天王(最強)さんは聖剣ちゃんの高すぎるCHA(魅力値)によって魅了状態になっていて、正常な判断が出来なくなっていた。大体全部、聖剣ちゃんのせい。
・聖剣ちゃんを早々に奪い返されたせいで、得意の魔法が「魔法吸収」で完封されて「映す価値無し」になる。聖剣ちゃんが無ければ、歴史に残る一騎打ちになっていた。大体全部、聖剣ちゃんのせい。
・現在は他の魔族と共に、可愛い女の子になっている。
一時期勇者パーティにいたハーフヴァンパイア
・ティズ君。前作をご参照ください。
魔王
・魔族大陸の覇者である吸血鬼の大魔王にボロクソに負けたことがトラウマ。
・全寿命を自爆魔法に注いで死んでしまうところだったが、罪を償わずに死ぬとかゆるさねーから、ということで、聖女様の邪神魔法で一命を取り留め、生き地獄(触手)に放り込まれた。
・今では可愛い竜人族のロリっ娘になった。
・戦争裁判によって、A級戦犯として、嘆きの牢獄での無期懲役が確定しかけたが、ロリっ娘可愛いということで減刑される。結局判決は反省文一億字となる。それでも地味にえげつない。
・文字を書けない魔王ちゃんは、今は文字を習うため、人間の学校に通っている。
赤ずきんちゃん
・狼の異形に食べられそうになったところを、ガチギレした聖女様に助けられた少女。
・聖女様に懐いて、身寄りも無かったので教会に保護されることに。なお、後日聖女様に食べられた模様()
・聖女様に食べられる過程で触手魔法の才能があることが判明して、今は聖女様の元で修行している。周囲からは次期聖女と目されている。ちなみに触手魔法の適性は邪心の強さ。お察しください。
大魔王
・妻に手を出されかけたのでブチッときて、魔王をボコって海に捨てた。普段は優しい性格だが、妻が絡むとキレやすい。
・いつまでも自慢の息子の目標でありたいがため、修行を始めた。
・女神様の三倍強くて、女神様の悩みの種。
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