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アンチマテリアルライフ  作者: 朱異 青箱
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なけなしの弾と特盛牛丼

射撃場はいつも不協和音な美しい銃声のハーモニーが立て続けに奏でられる。ドガガガとかパアーァンとか。

確かに今日も不協和音だったのだが。突然一際目立つ銃声とその弾が当たった的の悲惨な姿がこの交響曲とその奏者達の手を止めた。

そこには先程まではタカカカカカとサブマシンガン特有の早い連射音が奏でられていたはずなのに。

正しく怪獣の咆哮のような「ドガアーァン...」と、いや言葉では表せないSFチックな銃声が。

そして撃ち抜かれた的は空手家の渾身の正拳突きやプロボクサーの一発KOくらいのストレートが的に当たったのではと言う程に四散していた。

射撃場のにいた人々は的を撃ち抜いた本人の方を見る、そこにはガッチリとしたバイポットに支えられた50口径なんて比べ物にならない大口径とそこに付けられたマズルブレーキ、全長約150cmのライフルとそのアタッチメント、マガジンも見たことも無いサイズであった。

そして撃ち抜いた本人だが彼、いや彼女は女性だった。目は青く、髪はいつもポニーテールだがゴムを忘れたので今日は黒いストレートロング、こじんまりと引き締まった顔、そして女性にしては大きい身長170cmでタンクトップから見える筋肉質な腕、戦闘服で見えないが腕がそうなら足もそうなのだろうという身体に見合った足。

そしてタンクトップで強調されるまな板程ではないが悲しき現実。実際きゅっきゅっきゅっである。

…のはずなのだが面影が残っているだけで痩せているが…正しく彼女が有馬 花霞である

5発(マガジン4+薬室1)撃った頃に彼女はなんで皆こっち見てるんだろうと思いつつ排莢した。その時にあまりにも静かだった為空の薬莢が地面に当たってカンカララと見ていた人々全員に聞こえ、そしてあの大きなマガジンを片手で持って見せ、そして交換する。

皆が息を飲む、皆またあんな物が生まれるのかと。ゾッとして身震いする人もいればワクワクが溢れて武者震いする人もいる。

そして装填してトリガーを引いた時にまた...と思いきやあの銃声だけが鳴り、的も砕けていなかった。

本人はあっと顔を引きずってから無表情でため息を着いて銃を分解し始めた。見ていた方はびっくりしたあとにん?っとなっている。銃声が鳴っても的は粉砕されていない。まさか外れたとも思えたが本人の行動がそれを否定していた。つまりジャムったのだ。

今ので興が冷めてしまい、スコープの蓋を閉めて「今日はもう帰ろっかトゥーハフちゃん」そういって彼女は回収して射撃場を去って行った。



 日も暮れ、夜空に星ぎ見え始める頃。自分の事務所で食事をとる花霞さんはというと。

そろそろ依頼とか刺激といった物が欲しくなって来る頃になってきて、というよりそろそろ依頼が無さすぎて花霞のマガジンがスッカラカンになって飢え死にしてしまう頃である。現に食事が安価で買える棒状の栄養食が一箱と水道水、エナジードリンクと軽く500円で収まってしまう程度である。

と死んだ様な光のない目で食事を取っている花霞とトゥーハーフをよそに事務所のドアが開いて花霞のユウジンが入ってくる。

やぁと社交辞令するユウジンに何もせずエナジードリンクをカブッと一気飲みする花霞。

彼女は花霞の友人の皐月 舞(さつき まい) 。水色のジャケットの下に無地の白Tシャツ、桜色のミニスカートの下に黒のニーハイソックスという結構な身のこなしの彼女は紛うことなきスタイル抜群の美人である。

ジャケットで強調されるはち切れんばかりの圧倒的ポンキュッポンであり、絵に描いた様なくりくりとした赤茶色の目や髪もピンクのストレートロング可愛い小顔であり、肩から指先までも花霞と違い筋肉の張っていない綺麗な腕。腰から踵の底まで太股もぷにぷにしているような、内腿までもが同じ様な脚、それでいて頭も良くて運動神経もいいフリーダムでスゴいレズ気質でヤベーやつでメカニックとしても何にしても完璧超人な良きユウジンである。

そして花霞が射撃場で撃っていた銃の「トゥーハフちゃん」こと元96式25mm機銃のOUV2/31を改造したのも彼女である。

花霞はカンッ!っとエナジードリンクの缶をちゃぶ台に叩き付けるが舞は特盛の牛丼2つと飲み物が入ったレジ袋をドサッと置く。

レジ袋を見るなり花霞は目をパチパチさせて牛丼と舞を交互に見る。しかも2つある、これはもしやとじっーっと舞に目で食べてもいいんですか!と訴える。それはもうおやつが大好きな犬が焦らされている時の様に。

舞からの答えはOKである。そのサインを貰った途端に直ぐ様レジ袋の中から牛丼と貼箸、飲み物をガッと掴み出し手を合わせて「いただきます。」やれやれと呆れ顔の舞も食べ始める。ガツガツと男らしく特盛牛丼を食べる花霞は一瞬何かと特盛牛丼を照らし合わせて何かを思う顔を舞は普通に紅生姜とか七味をトッピングしながらどうかした?と見つめると物分かりのいい舞はあ~っと納得した顔をするが花霞はまだそんな顔をしながら食べ続ける。

「最近どう?見るからに貧乏みたいだけど。」

そう舞は何気無く聞く。

「もうすぐ餓死しそうなくらいには追い詰められてる。」

「うーん、やっぱり傭兵は辛いねぇ。てか花霞がソロでやってるから依頼こないんじゃない?」

「だって昔のとこ独立したばっかだもん。」

花霞はむすっとし、舞は他にも聞く。

「んじゃスカウトしたら?」

「スカウトかけるの面倒じゃん...それにやっぱり雇えないし。」

「んじゃ私が連れて来ようか?」

花霞がえって顔になる

「結構他の人のとかも改造したり直したりするから色んな人と知り合うんだよね」

「でも資金がないしさぁ-」

舞は春爛漫な笑顔で

「こっちで出してやらぁ!!」

と牛丼と箸片手に威勢よく叫ぶ。花霞は呆けた顔をしてえってなって「えぇ...?」と声を漏らす。

舞は満足した様に

「いやぁ~こうゆうのやってみたかったんだよね~。」

「こうゆうのって...人雇うのって結構掛かるんだよ?分かってる?」

舞は皆まで言うなと征する。

「今までどれ程稼いだと思ってるんだよカスミんッw!それに内にもアシスタントちゃん居るんだよ~?」

「えぇ!?居たの!?あんなヤバい所に?えぇっ!?」

舞の工房はガンショップでもあってあの射撃場の直ぐ隣に構えられていて、射撃場から入れる方と表から入れる様になっている。大体雑居ビルのワンフロアを3つ横に並べた感じの結構大きめな平たい工房である。外見は側面を白く塗られていて青い三角屋根。射撃場の隣と言うことも相まって倉庫みたいだが、

看板(銃火器専門店皐月屋)を入り口手前に置いているのでガンショップと看板を見れば分かる感じである。

中と応接室は簡素ではあるがキレイで、カウンターの後ろには有名なだったりマイナーだったりマニアックだったりと多彩な品揃えの得物が、なんならかの手入れを施された得物も壁に掛けられている。が工房の部分は色々とゴチャゴチャしていたり機械やパーツがあちこちの作業台に点在している。

とまぁこんな感じの一見工場の様な感じの工房である。

「ひどいなぁ…裏がアレなだけで表は綺麗だっての」

「ま、まぁそれはそれとして。本当にスカウトしてきてくれるの?」

舞がニヤリと不気味に顔を歪ませ

「どんな子がいいの?百合百合した子?ボーイッシュな子?腐った子?可愛い子?それとm

「腕の立つ子で」

舞は明らかに不服そうに

「そう…まぁとりあえず紹介して貰うよ、まぁお互いに都合とかもあるだろうしここに来るのは早くても一週間くらいだと思うよ。」

「あと一週間もこの組み合わせで乗り切らなければいけないのか…いや依頼が来るの見越しても二週間くらいか…」

「いや、ここの環境に慣れて貰うのとか人間関係作るのとかでもっとかかると思うよ」

「…だよね…ヘハハ…」

「まぁ本当に死ぬ前には連絡頂戴ね?流石に親友兼お得意様を簡単に死なせる訳にはいかないから」

花霞はトゥーハーフを横目にただヘナヘナと笑って友人に感謝していた。

なんか腑に落ちない終わり方ですがまぁいいでしょ(めんどうくさがり

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