ラドヴィクス皇国物語2
話は 少し前に さかのぼる。
風の精霊は、自由気ままな気質をもつせいか どこにいるのか 知るヒトは限られる。
その、数少ないひとりは 精霊を統べる孤高の存在ー精霊王そのひとである。
その日も気ままに たゆたんでいると、そよ風が ある伝言を 運んできた。
ーっえ!王様が 呼んでるって?
珍しいこと。
ずいぶん ひさしぶりね。
で、どこにいくの?
そう、エストーリアね。
じゃ、サクッと 行っちゃいましょうか。
ひゅるうん。
一瞬のうちに 空を駆け抜けて つむじ風のように 移動する。
そして 程なく 王のもとに はせさんじたのである。
ーごきげんよう。
何か ありまして?
ーありがとう、ミーア。
すぐ 来てくれるなんて、君ぐらいのものだよ。
ーあらあら。
お世辞が お上手ですこと。
でも 珍しいわね。
あなた自身が ヒトのせかいに 干渉するなんて。
精霊王は 一瞬 顔をしかめ、深刻な表情のまま 語り出した。
ーこの世界に 危機が訪れようとしている。
それも、わが 身内の 暴走のせいで。
ー身内?
まさか!!彼女なの?
ーおそらく、間違いない。行方知れずだったから 静観していたが・・・
愕然と 驚きを隠せぬまま 風の精霊は 言葉を失った。




