ラドヴィクス皇国物語2
「っえ、ずっと眠ったままなの?」
「ああ、どれほど 手を尽くしても 目覚めない」
場所を 謁見室から 小部屋へと移動し、お茶をのみながら 事情説明が 始まった。
「・・・ちょっと待って、そゆことなら アニィちゃんが 何かわかるんじゃないの?
アニィちゃんは どうしたの?」
そう 尋ねると、ヒョロオウマノスケの顔が 一層険しくなり 黙り込んでしまった。
(こりゃ まあ、苦虫百匹くらい噛み砕いたような 顔じゃん!
アニィちゃんが 惚れた男も 無愛想なんだね~
まあ、初代が 惚れたのも 相当な ヘタレでは あったけど。
ただ、まっすぐなところは 同じようだけど)
隣で ボリボリ出されたお菓子を あらかた食べ尽くすと、
お師匠様は にま~っと笑うと 言った。
「ウマノスケくん、あたしを おびき出すのに なんで サロを 引っ張り出したのかい?」
「・・・そうでもしないと、あなたは 動いてくれないでしょう?
まあ、キリの アドバイスでも あるのですが」
お師匠様は キリに すっと目を向け 一言。
「ばらしたね」
「はい。シェリスリーザ様から 言われましたので」
ふう~っ、と 大きなため息をつくと、お師匠様は ぼそっと言った。
「苦手なんだよ、シェルは」
ただ その声は おんなのひとの それではなく、
深みのある 耳心地のよい 重低音であった。