ラドヴィクス皇国物語2
通されたのは、小規模な謁見室だった、
世継ぎの君が入室する旨が 侍従によって告げられた。
部屋の中にはすでに、二人の女性が 待機しており
お告げに伴い ひとりは騎士が行う礼を、
もう一人は 貴婦人がとる礼を行い
待ち人を迎えるのだった、
二人分の足音が入室を終えるのを待ち、
礼をとったまま じっとしていると
待ち人から 声を かけられた。
「ようこそ お越し下さいました、ラドヴィクス皇女殿。
どうぞ お顔をお上げ下さい」
「このたびは、お招き頂き
ありがとうございます。
お言葉に甘えて 馳せ参じました」
そう言って すっと顔をあげた 皇女は
一瞬 世継ぎの君を凝視して 一言。
「なんで ヒョロオウマノスケくんがいるのお~?」
「誰がウマノスケじゃ!ヤセノスケだ、おバカやろう!」
しーーーーーーーーーーーん。
その場が一瞬静まり返り、じっとにらみ合う二人の緊張をとくように
晴れやかな笑い声がした。
「さすが、母上仕込みの 姫君。
一発で 見抜かれるとは、
並外れた観察眼で いらっしゃいますね」
「えっ?えっ?えっ?
母君?
お師匠様が、母君??????」
混乱気味で きょろきょろと 世継ぎの君の後ろに控えた 護衛騎士の顔と
師匠の顔を交互に 見比べるサイフェリアローズに
ゴインと一発かませた 女性騎士は、落ち着き払って答えた。
「当たり前だ。私を誰だと 想ってる!
それより、
まだ お目覚めでは ないようだね、アルフェリアス殿は」
「どうしてそれを」
今度は 世継ぎの君が 声を発した。
どうやら、サロの エストーリア行きには 深い事情が あるようなのであった。