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夢の診療病棟  作者: お米
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4. 上條空斗(1)

 目を開けると、そこはいつも目にする天井だった。

頭がぼーとする。あれは夢だったのだろうか。

ベッドから起きる上がると、すぐにパソコンの電源を入れた。

ディスプレイに表示されている時刻を見た。

午後の十二時を過ぎた頃だった。いつも通りの時間だ。

マウスに手を置いて、オンラインゲームを起動した。

起きてすぐにパソコンの電源を入れて、オンラインゲームを起動する。

この一連の動作は日々の日課となっていた。僕のからだの一部のように思えた。


 コンコン


「空斗起きてるの?」母の声がドア越しに聞こえた。

「起きてるよ」

「お昼ご飯できてるけど、食べる?」

「あー、食べるよ。あとで行く」

「そう、冷めちゃうから早めに来なさいね」そう言って母はリビングに戻った。

 母は高校にも行かずに、引きこもってゲームばかりしている自分のことを何も言ってこない。


 僕の家庭は世間でいう裕福な家庭だ。父は東京大学出身で外資系企業に勤めるエリートサラリーマン。

母も高学歴だ。大学を卒業した後は官僚に勤めていた。父と出会い、結婚を機に仕事を辞め、家庭に入った。

 僕には六つ年上の兄がいる。兄は国立大学の医学部に通う大学生で、実家を離れて一人暮らしをしている。

いわゆるエリート一家なのだ。いや、僕がいることでエリート一家とはいえないか。

 僕は高校受験に失敗した。

 第一志望の高校は年間十数人の東大合格者を出している名門高校で、父と兄もはそこの卒業生だった。

 僕に第一志望の高校から、不合格の通知が来た。今まで順調に登っていた人生の階段が足元から崩れた落ちたのだ。第二志望の高校には受かったが、入学二目日からは登校なくなった。

 やはり崩れ落ちた階段には、二度と登ることはできない。

 エリート街道から外れてしまった僕は、自分を悲観するようになり、閉じこもるようになった。


 起きる、ごはんを食べる、ゲームをする、ごはんを食べる、ゲームをする、そして眠くなったら寝る。これが今の僕の生活習慣だ。

 父は単身赴任中で海外にいる。家に半年に一度しか帰ってこない。兄も似たような感じだ。おそらく家族で自分の現状を知るものは母だけだろう。それが唯一の救いでもある。


 遅めの朝食を食べ、再び部屋に戻った。

 夢の内容を思い出していた。

 やけにリアルでよく覚えていた。普通、夢というのはそれほどに覚えているものだろうか。あれは夢という感じではなかった。ほとんど現実と相違ない感じだった。


 パソコンで「夢 現実」と検索した。

夢分析、病気、心療などに関する内容がヒットした。

しばらくパソコンに目を向けていた。気になる記事を見つけた。

『現実感の強い夢を見るのは病気?ストレス?が原因なのか』

そういえば、夢に出てきた院長が言ってたな、病気なのだと。

人生に対して、不安や不満などある人がかかる病と言っていた。


 その他にはうつ病などの精神的な疾患などの記事が多々あった。

 僕はいたって健康だ。でもそれはあくまで身体的なことである。精神的に関しては心あたりがないとは言い切れなかった。こうして高校にもいかずに引きこもっているのだから。


 結局これ以上調べても、有益な情報は得られなかった。

 そしてまたゲームをやり始めた。

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