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夢の診療病棟  作者: お米
12/30

12. 上條空斗(2)

 目が覚めたのはお昼過ぎだった。

今回はあの夢を見ずに済んだので、目覚めもよく、いい気分だった。

あの憎たらしい院長の顔を見ずに済んだからだ。

 ベッドから起き上がると、いつものようにすぐにパソコンの電源を入れた。

昨日は、狙っているレアアイテムがなかなか手に入らなかったので、今日は必ずゲットしたかった。

 しばらくゲームに夢中になっていたが、ぐうー、とお腹の音が鳴り、そこで自分のお腹が空いていることに気がついた。

 部屋から出るのはめんどくさいが、空腹は我慢できなかった。

 部屋から出て、廊下を少し歩くと、みぎてにあるリビングのドアを開けた。電気は付いていないが、窓から差し込む太陽の光だけで、部屋が十分に明るかった。

 どうやら母は外出しているようだ。キッチンにある冷蔵庫に向かった。すると冷蔵庫の扉にメモが貼ってあった。

『チャーハンが中に入っているからお昼に食べてください』

 冷蔵庫を開けて、チャーハンが入っている皿を手に取って、レンジにかけた。

 母の作ったチャーハンは店で出るものとは違い、少しべちゃっとしている。どうして、家で作るとどうしてべちゃっとするのだろうか、と文句とまでは言わないが、気になることではあった。それでも母の作ったチャーハンは味は好きだ。

 食べ終わった皿を流しで水につけておいた。食べ終えた食器は水につけるようにと母から口すっぱく言われていたからだ。

 そしてそのまま、また部屋に戻った。

 パソコンデスクの前に座って、再びオンラインゲームを始めた。今日こそはお目当てのアイテムをゲットしてやる。

 幸運なことにすぐにそのアイテムをゲットでしたのだ。すごくラッキーだった。あまりのうれしさに、一人でガッツポーズをしてしまうほどだ。

 しばらく興奮が続いたが、徐々にそれも冷め始めた。次第になぜか虚しくなってきた。

 お目当てのアイテムあっけなくゲットしてしまったことなのだろうか。なんだろうこの虚しさはと思った。

 ふとあいつのいった言葉を思い出してしまった。あの夢の中で言われたことが、今もずっと僕の心の中にとどまっている。


 寝巻きから外出する服に着替えて、僕は玄関を出た。

 いつ振りだろうか、外に出たのは。先週、いや先々週ぶりぐらいだったか。家の近くのコンビニに行ったのが最後だったような気がする。母がどうしても夕食の準備ができないから、お金を渡された時だ。空腹に耐えれず、しかたなく出たのを思い出す。引きこもりではあるが、外に出ることは自体は嫌ではなかった。

 外に出てたのはいいものの、どこに行くかは決めてはいなかった。

とりあえず、最寄りの駅まで歩きながら考えることにした。


 目的があるわけでもなく、行きたいところは特になかっので、仕方なくゲームセンターに行くことにした。ここなら、何かしら楽しめることがあると思ったからだ。少し気になっている格闘ゲームの新作が出ているということを知っていたのもあった。

 家から一番近く、そこそこ大きい施設のゲームセンターは、最寄りの駅から四つ先のある。駅に到着すると、乗車カードを改札口にかざして、駅構内に入った。

 四つ先の駅で降り、そこから歩いて、五分ほどのところに目的のゲームセンターがあった。

 ゲームセンターに入り、まずは新作の格闘ゲームがどこのエリアにあるかを探した。広いゲームセンターなので、なかなか見つけることができなかった。ようやく見つけた思ったら、すでに満席だった。新作だから仕方がないか、と諦めることにして、別のゲームをすることにした。

 少し古いけど、昔によくプレイしていていた、ゲームを見つけた。中学生の時に友達とよく一緒にやってたことを思い出す。あの時は塾の帰りに、少し空いた時間を見つけてはやっていたものだ。

 そんなことを思い出しながら、ゲームにしばらく夢中になっていた。すると後ろから僕は声をかけられた。

 いやな予感がしたが、振り向いた。するとそこには中学三年生の時のクラスメイトの山田とあとのもう一人は知らない顔だった。

「あれ、もしかして上條?」

「おー、久しぶり」

「久しぶりじゃーん、何してんの? 一人?」

「一人」

「そっか、中学卒業して以来だよな」

「あー、そうだっけ」

「そうだよー。お前、中学卒業してから全然連絡くれないから。俺、寂しかったんだぜ。あれだけ、苦労を共にした仲だってのに」

「そうだったな、悪い悪い。ちょっと学校と部活で忙しいから、そんな暇なかったわ」

「お、そっか。部活って何入ったの?」

「情報部っていうところ」

「情報部ってなにするところなんだよ」と山田が笑いながらいった。

「うーん、パソコン使っていろいろかな」

「ふーん、そうなんだ」山田はあまり興味がなかったのかこれ以上話を広げようとはしなかった。こちらとして咄嗟に口にしてしまった嘘だったので助かった。

「あ、こいつ上條っていって、同中だったやつ。俺らとは別の高校に通ってんだ」思い出したのように隣にいるやつに俺のことを紹介した。

「あ、はじめまして」とそいつがあいさつした。

「あ、どうも」俺は軽く会釈した。

「じゃあ俺らこれから塾があるから、そろそろいくわ。暇になった時、連絡くれよな」

「わかったー」

「おー、うんじゃな」

 山田とはクラスと塾が同じだった。特別に仲が良かったわけではないが、それなりに一緒にいることが多かった。山田は第一志望の高校に合格した。それは俺の第一志望の高校でもあった。自分だけが落ちてしまった。山田とはそれ以来、連絡を取っていなかった。今の自分の状況を考えたら連絡することなんてありえなかった。


 山田たちが帰ったあと、俺もすぐに帰ることにした。あいつに合ってしまったのか、急に焦燥感に駆られ、ここにいることが苦痛となり、ゲームをする気分がなくなった。

 家に着くと再び、何かに取り憑かれるように寝るまでずっとゲームをした。

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