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第34話 目標

久々になりました。

短いですが更新します。

 俺の説明を聞いてしばらく絶句していた後、セリスがやっと口を開いた。


「私はテレーゼと『スキルの書』の方に意識が向いていたからラオムの身体の変化は見落としていたな。でも言われてみれば最初は全身が光っていたような気がする」


「私は片膝をついた状態で目を瞑っていましたので……お役に立てず申し訳ありません」


「いやいや、テレーゼはしょうがない。気にするな。何にしても終わったことをだし、リスクが高すぎてもう同じ事をすることもないだろうから検証については終わりだ」


 と、俺が締めたところでセリスがチラリと俺が倒れていたあたりの血溜まりへと視線を向けた。


「……ラオムの腕、何とかならないかな。私の神聖魔法じゃどうにもならなかったし」


「単純に左腕が落とされた、だけなら高位の神聖魔法が使える治療所でくっつけてもらえたって話を聞いたことがあるが――」


「ラオム様の場合は肉片すら残ってませんからね。復元の可能性が有るとすれば……神聖魔法のレベル9とか10でしょうか? そんな使い手なんて私の故郷でも聞いたことがないです」


「そうか、エルフの国でもいないか。そうなるとあと期待できるのは迷宮の深層で手に入るアイテムくらい、か」


「『スキルの書』と同等くらいの階層ならラオムの腕を戻せるアイテムがあってもおかしくない、か。うん、そうだ! そうだよね。おかしくない! なら私達の目標は決まったよね、テレーゼ!

 」


「ですね! ラオム様が命をかけて改編したこのスキルで必ずや見つけてみせます!」


「……お二人さん、盛り上がっているところ悪いけど、どういうこと?」


 二人は真剣な眼差しを俺に向けた後、頷き合う。


「「深層でラオム(ラオム様)の腕が治るアイテムを探すの(探します)!」」


「いや、俺は――」

「「探すの(探します)!!」」


 これまで見たこと無いような気迫を込めた顔で二人から詰め寄られてさすがの俺もこれを否定は出来ない。二人の想いが痛いほどに伝わってきた。


「わかったよ。しょうがない、次の目標はそれでいいよ。ならそのためにもまずは確認しておかないとな」


 自分達の意見が通った事に対してほっとしていた二人だが、俺の確認したいことについてはピンと来ていないようだった。


「これだけの代償だったんだ。俺の予想が正しければ、テレーゼのスキルは今までと違ってとてつもなく使えるスキルになったはず。ちょっと試してみてはもらえないか?」


 そう言われてハッとするテレーゼ。


「言われてみればまだ試していませんでしたね」


「自分の事より俺の事の方ばかり考えていてすっかり忘れていたな?」


 俺はテレーゼを見ながら苦笑する。

 それを見たセリスがフォローをいれる。


「大事なラオム(仲間)にあんなことがあれば、何よりも一番に心配するのは当然だよ!」


「そうです! 私としては簡単に心を切り替えられないのですが、ラオム様がそう言うのであればしかたありません。それでは試してみることにします」


 そうして今度はテレーゼのスキルの検証をすることになった。


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