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第3話 生死の分かれ目

本日最後の投稿です。


 街道を探す、歩く、探す、歩く、探す、歩く・・・。

 砂浜を超えた先の草原で俺は迷っていた。

 簡単に見つかると思っていた街道がなかなか見つからなかったのだ。


「くっそぅ、方向音痴ではないと思うんだけど、どっちに向かえば街道があるんだ?さっぱりわからないぞ。草原なのに迷うってここは迷宮ならぬ迷原かよ」


 いや、そんなどうでもいいことを思いつくなんてかなり参ってるな、俺。

 何でもいいから手がかりがないか?周りを見渡しても大きな木か丘くらいしか無いんだよなぁ。

 ん?あっちの丘の向こうから何か、聞こえる?

 金属音に叫び声?

 これは・・・戦闘音か!


「やった!冒険者だったら町まで同行させてもらえないか、お願いしてみよう!最悪、町の方向を教えてもらうだけでもいい!」


 先程まで軽く絶望していた俺は、天の助けとばかりに丘に向かって駆け出す。

 そして、その先で見た光景は・・・


 冒険者の最後の1人がゴブリンファイターの剣で串刺しにされる瞬間だった。

 俺は初めてみる人間の死体に言いようのない吐き気を催したがここで吐いてはゴブリンどもに気付かれてしまうと思い、必死に我慢して丘に隠れて息を潜めた。


 吐き気が治まり、冷静になってゴブリンどもをみるとゴブリンは3匹、槍を持ったファイター2匹に魔法使いが1匹。よくみると全員額にアザ?刺青?のような文様が刻まれていた。

 冒険者の方は剣と槍と斧の前衛職3人か。残された武器がピカピカな所をみると駆け出しの初心者だったのだろうか。

 多分、魔法使いの攻撃が致命傷でやられたのだろう。全身が焼け焦げていた。


 ゴブリンどもは一頻り死体を嬲った後、装備を奪おうとしたが自分たちの装備より格下だったのか、何1つ剥ぎ取ることなく死体を打ち捨てたまま笑いながら去って行った。

 俺はひたすら息を殺してゴブリンどもが見えなくなるのを待つしか無かった。


 やっと見えなくなったのを確認して俺は冒険者達の死体に近づいた。


「えぇっと、こういう場合はどうするんだっけ?確か村に来ていた冒険者さんの話では・・・」


 ・冒険者の死体を見つけた場合、最初に見つけた者が死体の荷物の所有権を取得出来る

 ・冒険者のギルドカードを冒険者ギルドに持ち込んだ場合、謝礼金が支払われる

 ・死体は火葬など適切な処置を施さないとアンデットになってしまう。


 だったかな?


「とりあえず、あなた達のことは冒険者ギルドに報告しますので荷物は頂戴します。俺の冒険の糧にしますので安らかにお眠り下さい」


 別に許可など必要無いのだがつい、そう語りかけてしまう。

 穴を掘って埋めてやりたいが残念ながら道具もない。彼らの武器で時間をかければ穴を掘ることも可能なのかもしれない。

 だが俺には今日中に町に辿り着きたかった。

 とてもじゃないがあんなゴブリンが徘徊するところで野宿なんて出来ない。

 申し訳ないと思いつつ、彼らの死体はそこに置いておくことにした。

 せめてアンデットになって他人を襲えないように斧を使って手足を両断しておいた。


 そうして得られたものは、

 3人分のギルドカード

 鉄の剣

 鉄の槍

 鉄の斧

 鉄の盾

 革の鎧 ×3

 ポーション×5

 アールボーの町の周辺地図

 大銀貨 8枚

 小銀貨 9枚

 大銅貨 3枚

 の荷物を持っていたので全てもらって『空間魔法』で収納しておいた。


「やった!地図が手に入った!これで町に辿り着ける」


 最初の海岸とアールボーの町、あと周りの風景から現在の位置を推測する。

 どうやらゴブリンどもが行った先と反対方向に行けばアールボーの町に辿り着けそうだ。

 あんなゴブリンが闊歩している可能性があるから慎重に進まないとな。


 30分程歩いたところで高い塀に囲まれた町が見えて来た。


「やっと町に着いた。野宿せずに済んで良かった。」


 夜になれば魔物も活性化する。こんな戦闘経験もない人間が野宿なんて魔物の餌でしかない。

 心底ホッとする。


 門に辿り着いた。

 遠くから見ると大したことないように思えたが近くで見るとなかなかどうして立派な門だった。

 門には門番が2人立っていた。

 俺が普通に門をくぐって町に入ろうとすると


「止まれ!お前見ない顔だな?一応規則でな、身分を証明する物を見せてもらおう」


 身分って只の村人に証明する物なんてないよ。

 しかし俺の住んでいた村にも門番はいたが仕事は主に魔物の監視だった。門番が町に入る者に誰何の声をあげる、それだけで町の規模が大きいのだと推測出来た。


「すみません、俺は海の向こうにある島の漁村の出身なのですが、先日15歳の誕生日を迎えスキルを授かったのでこの町で冒険者になりたくてやって来ました。身分を証明するものが何も無いのですがどうしたら良いでしょうか?」


 下手な嘘は苦手だ。

 相手も職業柄嘘を見慣れているだろうし、素直に言うしか今の俺には選択肢はないように思った。

 それが功を奏したのか、門番は、


「ふむう、あの漁村は俺も親戚がいるから知っている。いくつか質問するので答えられたら漁村の出身者と認めてやろう」



 そうして俺は門番の質問にいくつか答える。

 その答えに門番も納得したようで、


「確かにあの漁村の出身者のようだ。よし、町に入ってもいいぞ。冒険者ギルドに行くならこの町を真っ直ぐ進んでいたら右手に大きなレンガ造りの建物が見える。そこがお前の目指す冒険者ギルドだ。頑張れよ!」


「ありがとうございます!」


 門番にお礼を言って町に入る。

 アールボーの町は石畳が綺麗な町で門から続く大通りは馬車が2台すれ違う事が出来るほど広い。

 建物も木製、石造りで2階建て、中には3階建てなんて建物もあった。

 行き交う人達も活気があり、人族以外の種族も結構いるみたいだ。俺が住んでいた村はほとんど人族だったから他種族を見るのは実に新鮮に思える。

 大通りには露店が並び、様々な物が売っている。肉、飲み物、野菜、武器、防具、各種道具、色々ありすぎて目が回る。

 食べ物を見ていると「グー」とお腹が鳴る。


「そう言えば森に入る前から何も食べてなかったな」


 いろんなことがあり過ぎて今の今まですっかり忘れていた。辺りには肉が焼けるいい匂いがしている。


「この匂いで腹の虫が気づいたんだな。よし、買ってみるか。おじさん、その肉串2本下さい!」


 美味しい!

 何の肉かわからないけど、塩胡椒が効いていてすごい美味しかった。生き返った気分だ。って本当に一度生き返ったんだけどな。

 肉串を食べながら歩いていると石造りの建物の合間に一棟だけレンガ造りの建物が見えて来る。


「あれだな。一棟だけレンガ造りって分かりやすくていいなぁ。初めてみる人にも一発で分かるから助かる」


 今更だけど俺のスキルって冒険者向きだよな。鍛治とか調合だと鍛治ギルドだったり調合ギルドに行くべきだけど、俺のスキルは汎用的だもんなぁ。何でもやれそうな冒険者が1番向いていると思う。

神様も冒険者になれって言っていたし、間違いないだろう。


「さて、早速冒険者登録しに行くか。どんな審査があるか、わからないけど俺は冒険者になってみせる!目的を見つけてみせる!」

遅筆ですが、しばらくは毎日投稿するようにしますので誤字脱字などあれば、御指摘願います。

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