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第18話 謁見 その1

 

 ホクホク顔のセリスはひとしきり、ぎゅ~をしたことでやっと気が済んだらしく、俺は開放される。

 解放されたことに安堵しつつ、ふと周りを見渡す。そこには、


 ホッコリした視線。

 生温かい視線。

 血涙流し、殺気を帯びた視線(多数)

 があった。


 それらの視線を認識した途端、一気に耳まで真っ赤になったのを実感出来るくらい顔が紅潮する。

 恥ずかしくて、すぐにでもこの場を逃げ出したかったがアトリさんに『待っていて下さい』と言われている手前、身を小さくしながら待つしかなかった。


 気まずい。実に気まずい!

 まわりからは好奇と怨嗟の視線で見られ、隣にはニコニコホクホクツヤツヤ笑顔のセリスが寄り添うように座っていた。


 ーーズゴゴゴッ!


 食後に出されたリンゴジュース、既に無くなっているが間が持たないので啜る。


 今のままでは針のむしろだ。何か会話。何か話題はなかったか?


「そう言えば、俺が倒れてからどうなったんだ?あの時、まだ残っていたワイトがそれなりにいたと思ったが、まさかセリスが1人で片付けたのか?」


「あっ、そうそう、忘れてた。それなんだけど、実はーー」


「そこから先はあたいが説明してやろう」


 そう言って俺の後ろから声をかけてきたのは、アールボーの町で世話になったウォームだった。


 えっ、何でウォームが出てくるの?ってか何でミザールにいるの?


「よう、ラオム。目が覚めていたのかい。久しぶりだね。身体の調子はもういいのかい?」


「久しぶり、ウォーム。思わぬ休暇をたくさんもらっていたみたいで体調は良くなったよ。まさかミザールでウォームに会うとはな。仕事かい?」


「ま、そんなところだね」


 ウォームは肩をすくめながら返事をする。


「それで、なんでウォームが説明してくれるんだ?」


「あの時、たまたま居たあたい達がギルドからの緊急依頼を受けて広場まで駆けつける直前、広場から閃光と空に昇る一条の光を見た」


 あぁ、そう言うことか。


 俺はそれだけで納得した。ウォームも納得した顔をした俺に気づいていたようだが続けてくれた。


「ラオムが『アレ』を使わなければならない程の相手がいるってことであたい達も一瞬身構えたけど、光が収まった広場からはそんな気配は感じられなかった」


 チラリとセリスを見るウォーム。


「で、到着してみれば、案の定ぶっ倒れているラオムとそれを守るようにワイトの集団と健気に戦う嬢ちゃんが居たって訳だ」


「ウォームさん達が来てくれなかったら、私一人ではとてもラオムを守りきれませんでした。改めてありがとうございました」


 セリスが深々と頭を下げる。


「そうだったのか。ウォーム、セリスを助けてくれてありがとう」


 俺もセリスに続いて頭を下げる。今、こうして生きていられるのもウォーム達が来てくれたからだ。少しでも遅かったら、どうなっていたかわからないものな。


「まあ、いいってことよ。冒険者同士助け合わなくちゃな!ラオムもパーティーを組んだのだから今度はパーティー同士ユニオンで行こうぜ!」


「あぁ、こちらこそ頼む!その時は宜しくな」


「おう!それじゃあたいはそろそろ行くよ。またな、八つ裂き(・・・・)


「ん?ウォーム、ありがとな」


 最後の一言の意味がよくわからなかったが背を向けて歩き去るウォームは肩越しに手をヒラヒラさせながら去っていった。


「はぁ、ウォームさん、かっこよかったなぁ。あぁん、私もあんな冒険者になりたいよぉ」


 セリスの発言で筋肉ムキムキになって笑いながら大剣を振るうセリスを想像し、すぐにブルブルと頭を振り消し去る。


「なに馬鹿なこと考えてんだ、俺は」


「どーしたの?ラオム」


「いや、なんでもなーー」


 その時、ギルド受付の奥の職員用の扉が開き、アトリさんを従える一人の人物が出てきた。


「ラオム!冒険者ラオムはいるかーー!!」


 周囲がざわめく。

 何故ならば、あの人物はイルス・ハーディエンス・デガード。名前からもわかるようにお貴族様だ。

 ミザールの冒険者ギルドの極度のめんどくさがりで滅多に人前に出ないことで有名なギルドマスターだ。

 その彼がわざわざこんなところまで来て俺を呼びつけるだなんて、ーー嫌な予感しかしなかった。


「冒険者ラオム、目を覚ましてここにいたか。さあ、私と一緒に来てもらうぞ。早く支度をするのだ」


 その彼が急かすように一緒に来い、という。

 訳がわからない。今までギルドマスターなんかと接点なんかないし、面識だってない。

 いったい何処へ連れていこうというのだろうか?


「ちょっと待ってください!いきなりなんですか!?何処へ行くのか、説明してもらえないでしょうか?」


 イルスは少し、ムッとした表情で後ろを振り返り、


「なんだ、アトリ。お前説明してないのか?」


 しまった!と言う表情で冷や汗をかきつつ、あらぬ方へ視線をむけるアトリさん。


「はぁ、仕方のないヤツだ。詳しいことは道中話すが行き先は王城だ。陛下との謁見が控えている。わかったら早く支度をするんだ」


「なるほど、王様に会うのですか。それならそう、と・・・?」


「「えぇぇぇぇぇぇ!!!王様に謁見!!?!?!」」


 俺とセリスの綺麗にハモった声がギルド中に響いた。

忘れてました。


現在のステータスです。


ラオム

LV.42

ギルドランク:Cランク

スキル:『空間魔法LV.4』『身体強化LV.5』『魔力制御LV.5』

装備

ミスリルの槍

ミスリルの胸当て

ミスリルの小手

ミスリルのブーツ


セリス

LV.25

ギルドランク:Eランク

スキル:『神聖魔法LV.4』『弓術LV.4』

装備

混沌の蒼穹(カオティックブルー)

エルフのトップス 『耐風』

エルフの長手袋 『耐火』

マジカルスカート『神聖魔法強化』

マジカルブーツ

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