表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/4

プロローグ

俺はゴキブリ。




そう、人間が最も嫌う生物。





三ヶ月前、俺はこの世に産まれた。



ゴキブリとして。




ちなみに、その前は人間だった。


人間として、ごく普通の生活を送っていたが、交通事故で死んだ。



輪廻転生って知ってる?

死んだら生まれ変わるってやつ。


その抽選で俺は最悪なクジを引いてしまった。


「善人は天国、悪人は地獄」

みたいなこと良く言われてるけど、実際はそんなのない。


完全確率制。

要するに、どんな生物も厳重な抽選により、平等の確率で転生先を振り分けられる。


生前、真面目に生きていようが不真面目に生きていようが関係ない。


そもそも天国も地獄も存在しない。

死んだらすぐに抽選されて、すぐ生まれ変わる。



あの世で閻魔様からその事を告げられた時、俺はブチ切れた。


「ちょっとまて、おかしいだろ!俺は真面目に生きてきたんだぞ!」


「いや関係ないから。」


「なんでだよ!善人も悪人も同じなんておかしいだろ!」


「じゃああなた、魚食べたことない?」


「そりゃ、あるけど。」


「じゃああなた、魚からしたら悪人だね。」


「いや、だってそれは生きてく為だろ!」


「生きる為なら殺していいの?」


「いや、、てか、、そんなの言い出したらキリ無いだろ!」


「そう、キリがないの。善悪ってのは、見る角度によっては変わってきちゃうの。だからみんな平等に抽選なの。」


「そんなのありかよ、、」


「まぁ大丈夫、生まれ変わったらもう今までの記憶は無いから。記憶がなければ別にあなたに関係ないでしょ。」


「そりゃそうかもしれないけどさぁ、。」


「はいこれ、抽選券。あそこの列のニワトリさんの後ろに並んでね。いってらっしゃーい!」


閻魔様にポンと背中を叩かれ送り出された。



抽選券を受付に渡すと、ドデカイ球体の中に入れられた。


球体の中は何千何万の多種多様な生物でごった返していた。



「皆さん、ここから出た時にはもう自分ではありません。新たな別の生命として生まれ変わります。お疲れ様でした。では、素晴らしい来世を‼︎」

そんなアナウンスが流れたと同時に、球体が高速で回転し始めた。


もう球体の中はごちゃ混ぜ状態。


どんどん回転が加速していく。


『厳重な抽選って、こりゃやり過ぎだろ!ロトシックスか!』

そんなことを思っていると、突然球体内が暗闇に包まれ、アナウンスが流れた。



「はいじゃあ、いきまーす‼︎

サン、ニイ、イチ、ゼロッ!」



次の瞬間だった。


球体の表面に無数の穴が開き、光が差し込んだと同時に、遠心力によって中の生物達が外へスポポポポンと飛び出していった。



もちろん俺も。


スポンッ





「眩しっ‼︎」


これ俺の人生最後の言葉。













どれくらい時間が経ったかわからない。


気づくと俺は、また球体の中にいた。


でも今度の球体は小さい。クソ狭い。しかも俺一人。


もうわけがわからなかった。


俺は必死に暴れ回った。


しばらく暴れていると、球体が破れて俺は外に出るとこが出来た。


外は薄暗くて、ジメジメとしていた。


『ここどこ?』


辺りを見渡してみてまぁビックリ。



虫だらけだった。


しかもかなり見覚えがある虫。






〜ここからは俺の心の声をご堪能ください〜



うわっ!なんだこれ!

え、、なにこいつら、ゴキブリ⁈

なんでゴキブリしかいないんだよ!

てか、でかくね?

俺と同んなじサイズじゃん!


はっ⁈


ちょっとまって、、

なんで俺こんな黒いの?

頭に2本ついてるのなに?

てかなんで手足6本あるの?



え、、、


うそっしょ?


いやいやいやいや、うそだー!



ちょっと待て、落ちついて整理しよ整理!



俺は死んだ

あの世で変な球体に入れられた

外にでたら別の生命になるって言われた

そして今外に出た

周りには俺と同じサイズのゴキブリがたくさんいる

俺の手足が6本ある。




。。。






うん。



うんうん。



了解了解。






ゴキブリっすね!!!


俺、ゴキブリに生まれ変わったんすね!


やったぜ!

ずっと憧れてたんっすよー!


だってゴキブリって、カッコいいじゃないっすか!


すばしっこいし!

飛べるし!

生命力強いし!

共食いするし!

バイ菌たくさん持ってるし!

キモいし!




んもーう、最高ぉーーー‼︎‼︎
















じゃねぇーわ‼︎‼︎‼︎



はぁぁ‼︎?


ないないないないマジでありえない‼︎


ゴキブリだけはマジでない‼︎


一番ない‼︎


人間がいい‼︎


動物がいい‼︎


やだやだやだやだやだ‼︎





っ‼︎‼︎





えっ?




待って!!


ちょい待ちちょい待ち!






なんで俺、、記憶あるの⁇




生まれ変わったら記憶なくなるんじゃないの?



ガッツリ記憶残ってんだけど!


心のアルバムに、思い出ビッシリ詰まってるんだけど!




あ、わかった!


テレビで見たことあるよ!


ごく稀にいる、前世の記憶が残ってる人!





それね!



オッケーオッケー!


それなら話が早いわ!



よーし!

これからは人間の時の思い出を胸に、ゴキブリとして一生懸命生きていこう!


素敵な人生を送ろう!


あっ!

てか、ゴキブリは虫だから「人生」じゃなくて「虫生」か!


こりゃ傑作だ!


アハハハ!


アハハハハハハ・・・
















死にたいっ(^O^)/





〜心の声終了〜






まぁそんな感じで


俺のゴキブリライフが始まった。







つづく

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ