第一話①
ひな「..............何で俺はこんなところにいるんだ....」
刑事課の空間から切り離された様な小さな部屋。居るのはひなともう一人....女の人。
優奈「つっ立っていないで、座ってお茶でもどうぞ。」
優奈は椅子を引き、ひなに座ることを促す。ひなはタジタジになりながらも椅子に座り、煎れられたハーブティーに舌鼓を打つ。
ひな「えっと......何すかここ」
優奈「まぁ、いきなりどうこう言っても混乱するだけだから何も言わないよ」
ひなはそのまま座り続け時間が流れる。結局話も盛り上がらず数時間経過.......流石にしびれを切らしそうになっていた。
優奈「...........パトカーが出てる、事件かな。」
ひな「俺達は行かないんですか?」
優奈「勿論、行きますよ。運転、頼めるかな?」
ひな「俺免許持ってないんですよ.....」
優奈「じゃあ私が行くよ。」
ひな「何で頼んだんですか」
二人は急いで階段を駆け下りて車に乗り込んだ。猛スピードで現場に急行する。
ひな「パトライト無いんすか?」
優奈「無いよそんなの。」
ー現場ー
だいご「被害者は黒瀬克典。元警察官だ。」
森岡「元警察官か.......ややこしくなりそうだな。」
まっちゃ「財布など金品には手をつけられてなかった。恐らく怨恨だな。」
森岡「首を頚動脈に向かって一突き。酷いことしやがるな.......」
優奈「犯人に繋がる手掛かりは見つかった?」
だいご「いや、まだ.........っておわぁ!?」
森岡「..................特命捜査係、何の用だ.....」
優奈「あら、私だって警察官だよ?捜査に参加する権利はあるわ。」
ひな「こ、これはまずいんじゃ........」
ひなは後ずさって木の陰に隠れる。優奈はそんなの全く気にせず三人を相手に話し続けた。
まっちゃ「お子様は帰ってねんねでもしてな!」
優奈「うっさい!アンタはすっ込んでなさい!」
だいご「このアマ!特命はすっ込んでろ!」
だいごとまっちゃは優奈を外に弾き飛ばした。隠れていたひなが出てくる。
ひな「ちょっと大丈夫ですか!」
優奈「女だからって舐めないでよね!ったく........」
優奈は帰らず外で待ち続ける。ひなは自動販売機でジュースを買い飲んだ。
優奈「あ、出てきた」
だいご「うわっ、まだいるし......」
まっちゃ「帰れガキ!」
優奈「何か情報よこせ!」
森岡「.............二人とも、ちょっと席を外してくれ。」
だいご、まっちゃ「..................?」
森岡はひなと優奈を近くの喫茶店に連れていった。
ひな「えっと.......」
森岡「好きな物頼みな。」
優奈「何の用なのよ.....」
森岡「被害者を殺した凶器は刃渡り30cm。首を頚動脈に頚動脈に向けて一突き。凶器はまだ発見されてない」
ひな「それ事件の情報じゃないか!こんなところで!.....」
森岡「何か言ったかい.......これはただの雑談だぜ?」
森岡はコーラを飲みながら話を続ける。
森岡「現場は車内。それと不審な点が1つ。」
優奈「?」
森岡「遺体の服に白い粉が浮いていた。」
ひな「白い粉?」
森岡「そうだ。その粉の解析は今鑑識で進めてる。」
ひな「し、死亡推定時刻は?」
森岡「夜11時から12時の間......目撃者は無し。」
森岡はテーブルの上に金を置き喫茶店を後にした。優奈とひなは森岡の提供した情報を元に早速整理を始めた。
優奈「白い粉って何だろ.......」
ひな「砂糖...........とか?」
優奈「砂糖ねぇ........あ。」
ひな「?」
優奈「人間は、汗をかくよね。その汗が服とかに染み込んだりするとその部分に塩が浮くの。」
ひな「じゃあ........遺体の服に浮いてた白い粉は.....」
優奈「まだ確証は無いけどね......」
優奈の携帯が鳴り出す。優奈は少し待ってから電話に出た。
優奈「はいもしもし......あら海未さん。うん、白い粉の成分?.........分かった、ありがと。」
ひな「な、何でしょう.....」
優奈「ビンゴ。被害者の服に浮いていた白い粉は.......塩だわ。」
ひな「これで1つ分かりましたね.......それと、今電話してた人は一体........」
優奈「鑑識の友達だよ。あなたにも紹介する。着いて来て。」
立ち上がり店を出る。ひなは慌てて後を着いていく。
ー警視庁 鑑識ー
海未「特命捜査係にも、新しい人が入ったんですね。」
ひな「あ.......ひなって言います。」
海未「男の子にしては、可愛い名前ですね♪」
ひな「.......................。」
ひなは複雑な気持ちでいっぱいだった。可愛いと言われるのは嬉しくないわけではないが、何か複雑でどういう顔をすれば良いのか分からなかった。
優奈「それと、塩の他に何か分かったことある?」
海未「首の傷...........生活反応が無かったんです。」
優奈「つまり、死んだあとに首を刺された.......」
ひな「何でそんなことを........」
優奈「それを調べるのが私達の仕事!行くよ!」
ひな「え、は、はい!」
二人の「相棒」としての物語は、まだ始まったばかりである..........