Episode:3 方針
削除の件は申し訳ございませんでした。
この世界に来る際、ユフィが言っていたことを覚えているだろうか。
曰く
『言い忘れたのですが、肉体を決めてないのでランダムなのです。』
ハガネはこれまで水面も鏡もない(作ろうとすれば作れるが)のを理由に現実から逃げていた。
自分の現在の容姿という現実から。
薄々彼は、ないことに気づいていた。なにがとは言わないがナニがないのだ。
よくあるTS系の話では、主人公は
「ない!ある!」
をやるのだが、彼は日頃から妄想に耽っている人間である。
肉体の神経の多くが集まる、内にない内蔵の消失に気づかないはずもなく。かつ、この程度のシュミレートはしていた。
とはいえ、男性にとって失うということはたとえ絶食系男子にとっても辛いことなのだ。
現在のハガネには中国の宦官の覚悟がよく分かっていた。と、同時に不正のためそんなことをする人間の気持ちを理解出来なくなった。
結果から言うとハガネの体にはどちらもなかった。
小さいわけではない。
肉体の性別は魂によって選択されているわけではないが、魂は性別的や性質に合うような肉体に選ばれる。
だから、それに何らかの不都合が生じた(魂と肉体の引かれる力が異様に強かったなど)場合が性同一性障害などとなるのである。
しかし、この世界に来る際ランダムと言ったが、実はハガネの肉体はハガネの魂に完全に合うように作られた(ユフィのいらないサービスである)。つまり、ハガネの場合魂の性質はそのまま肉体にフィードバックされているのだ。
ハガネの第二の特典は疑身疑魂で、これには魂を見かけだけのものに変えるという性質がある。ここでハガネの魂は見かけだけの性別すら決まっていないものになった。
結果として、ハガネは異世界で無性の身体を手に入れた。やったね!
「やったね!じゃねぇだろ!」
『困惑、突然叫び出してどうしたのですか?』
ミーアの冷静なツッコミが入る。
「なあ、俺の今の容姿ってどんな感じだ?」
『解、ハガネ様はかなり美人ですよ。貴公子みたいにも見えますね。(俺は似合わないですけど)』
「お前隠してるつもりかもしれないが唯のコメントだから丸見えだからな。」
「ミーア、今後の方針を決めようと思うんだが意見あるか?」
『提案、やはり冒険者ギルドには登録すべきです。今後を考えても有利になる可能性が高いかと。』
この世界には盗賊の時に少し触れたが冒険者が存在する。冒険者と言っても、住民がそう呼んでいるだけなようだが。
ちなみに、正式名称は綜合中庸ギルド会員という。
冒険者ギルドはもっとも大きなギルドであり歴史も古く権力も大きい、その分ギルド支部長(通称ギルドマスター)の地域との癒着なども進んでおり、毎年不正者が出ているらしい。
冒険者の主な仕事は、クエストと呼ばれる依頼の達成とそれに伴う依頼料である。しかし、モンスターの討伐は余程のことがない限り民間からは出されず国から出されるのが普通だ。
ギルドの運営資金は登録料や依頼料の一部、賞金首の賞金の一部、国から渡される援助金という名の賄賂などから来ている。
賞金首の賞金の一部は最初からその賞金首の賞金から引かれている。冒険者の仕事は依頼達成が主だが、収入源はこれが多かったりする。
ダンジョンというものがある地域でのギルドの活動はダンジョンの管理とその突入料であり、ダンジョンによって稼ぐ冒険者は特別扱いとして探索者と呼ばれる。
ダンジョンは特殊な魔物であるとする説や奥に強力な魔物がいるとする説など多くの説が提唱されているが一般的なのが上の二つである。
後者は簡単でダンジョンは奥に行くほど魔物の強さが強くなるので単純に一番奥にはとても強いモンスターが。というわけである。
この中でも諸説あって、とても強いモンスターから漏れでた魔力がダンジョンを作っているとする説などがある。
前者は宝箱と呼ばれる存在故である。
宝箱と言っても本当に地球世界の宝箱であるはずもないが、お宝がはいっている。
これは自然ではできないと考えられたため、ある程度知性のあるモンスターが作っているのではないかとする説である。
「探索者になるのも手だろう。」
ハガネが名前は知っているがなり方のわからないものを例に挙げ、
『解、探索者になるにしても、クエストをやるにしても冒険者になる必要があります。』
ミーアがそれに回答し、
「そうだな、登録しよう。」
ハガネは方針を決定した。
盗賊はこの森の詳細な地図を持っていたので、それに従いハガネは王国に向かった。
この森は帝国と王国、教国に接しているが、王国に向かったのは、教国は宗教国家なのであまり入りたくはなく、帝国は単純にファンタジーで軍事国家っぽいから消去法だ。
これでR15は保険じゃないっていえるでしょうか。
ハガネ君改めハガネさんは無性になりましたが、これは今後美少女がでて来た時ハガネさんが反応しない理由にしたいからです。
作者の自論では男にリアル美少女は殺せません。
べつに美少女をわざわざ殺す気もありませんが(笑)
ダンジョンの話は少ししましたがダンジョンに入るときにまた詳しく書こうと思います。