Prologue:2 最期
修正:一部語句に間違いや使い方に間違いがあったため。
俺こと西尾鋼は一般的高校生だ。
もしくは、だった。
鋼の命日であるその日、彼は高校生として普遍的な一日を過ごしていた。
寝坊してパンを咥えて走って学校に行き、イケメンと出会って恋に、、、!
なんてことは起きるはずがない。
まず彼は生物学的にも、精神的にも、性癖的にも男性であった。
そして、彼はいつもどおり学校に十分に間に合う時間に目覚ましに起こされ、普通の妹が朝練のため急いで学校に行くのを尻目に普通の朝食を採っているので走る必要もなかった。
一限に数学があり、その宿題を忘れたらしい彼の友人の一人とその周囲の彼にとって話づらい訳ではない学生で形作られた一団に加わるべく、鋼は彼の席にバックを放った。
そのまま、高校生活の一日は普通に終わる。
だが、彼の運命は終わりへと向かって進み出した。
ある家電量販店で、積んだ荷物を下ろしたトラックが店の敷地から出て車道に入った。
鋼は特に部活に入っていなかったので、放課後そのまま家に向かう。
鋼は想像するのが好きだった、妄想癖ともいえたが。
今日は事前に考えていたストーリーの設定と起こすエピソードについて考えを深めていた。小説にする気で考えているわけではないが、彼の癖として小説として書くような設定になっていく。
家につく前に先日から買おうと考えていた漫画を思い出し、三○堂に行き先を変えた。
小学校に入ったくらいの年齢の少女が待ち合わせ場所から離れ、風船を貰いに行って迷子になった。
トラックの運転手がナビ用の小型液晶に映ったグラビア映像に目を奪われ、横断歩道を見落とした。
鋼は歩行者信号が青になるのを待った。
少女は手から離れた風船を追って横断歩道に飛び出た。
少女は空高く飛んで行った風船を見上げ、迫ってくるトラックに気付かなかった。
トラックが少女を轢こうとするのを見て、鋼は少女の元に走った。
鋼は少女を突き飛ばした。
作用反作用の法則により、鋼は後ろに押されたはずだが、慣性質量の大きい彼はトラックのぶつかる範囲から出ることはなかった。
鋼の視界がブレる。
変な方向に曲がった腕が、
関節と逆に曲がった脚が、
内臓が、
金属塊にぶつかった側の皮膚が、
強いて言うならば、
全身が、
痛い。
傷というのも憚られる致命傷が血を撒き散らさないのは
まだ出ていないだけなのか、
奇跡的に動脈が傷ついていないからか、
実は外傷はなく内部で、出血しているのか
いつの間にか、
右の頬には、
ひんや
り
としたアス
ファ
ルトの
感
触、、、。