わたくし溺愛・過保護は求めていません!サバイバル人生を歩みたいのです
ユーフィラシア王国の第三王女ユリアは、敗戦国の戦利品としてドラシア帝国の第五王子フレイムに嫁ぐことになった。
ユリアは活発で利発な王女で先の戦争にも騎士として参戦していた。
人を殺めることを良しとはしなかったが、強い相手と剣を交えることは好きだった。
戦争でも無闇に殺さず、戦意喪失する程度の傷を負わせるだけだった。
惜しくも帝国に負け嫁ぐことになったが、どうせ相手にされない何番めかの側妃に違いないと思っていた。
ユリアを乗せた馬車がドラシア帝国の皇城に着いた。ユリアが馬車から降りようとすると、衛兵が止めて再び馬車に乗るように告げた。馬車は皇城の敷地内をしばらく走った。ユリアはどんな形で虐めてくるか、内心ワクワクしていた。
馬車の窓から皇宮が見えたがどんどん遠ざかって行く。ユリアはオンボロ屋敷に案内されるのだろうと思った。
「どんなオンボロでもわたくしは平気よ。戦場の野営で何ヶ月も寝泊まりしていたんですもの」
馬車が止まった。ユリアが馬車の扉を開けようと手を伸ばすと扉が開いた。
「ようこそ、ユリア王女。我が邸宅へ」
精悍な顔つきだが優しく微笑みながらユリアに手を差し伸べた。
我が邸宅ということはこの男が第五王子フレイムなのと思いながら、ユリアは差し伸べられた手に自分の手を重ねた。
フレイムはそっとユリアの手の甲に口付けをした。ユリアは真っ赤な顔をして手を引いた。
「はは、我が王女様は勇敢な戦士かと思いきや、純情であらせられる」
フレイムはそういうと再びユリアの手を取り侍従侍女が玄関前で並ぶ屋敷に入って行った。
ユリアはまず自分の部屋に案内された。質素だが、洗練された美しい調度品や家具が揃っていた。クローゼットの中にはドレスがたくさん並んでいる。
フレイムが奥の扉を差して言った。
「あの扉の向こうはわたしの部屋になっている。行き来自由だから」
ユリアは驚いた。
「えっ、わたくし側妃ではないのですか⁈」
フレイムは目を丸くした後、微笑んで言った。
「わたしは側妃を娶るつもりはない。あなたがわたしの正妃だ」
ユリアはありえないと思った。
オンボロ部屋は?ボロ服は?侍女からの虐めは?それらを涼しい顔して回避して行くわたくしの生きがいある日々は?
「ユリア王女。わたしはそなたの戦場での姿に惚れ込んでしまった。これからはわたしがそなたの盾となろう」
「いいえ、結構です!わたくしはサバイバル人生を謳歌したいのです!」




