4話
私はシンデレラ。
継母と姉たちに毎日虐められている可哀そうなシンデレラ。だけど泣かない。だって今日は特別な舞踏会の日なんだもの。私はドレスなんて持っていない。だけど大丈夫、私にはこのマシュマロのドレスがあるもの。真っ白なマシュマロの靴を履いて、お城に向かうわ。王子様、待っててください。私、今会いに行きます………。
「ご主人様、ご主人様!」
聞き慣れた声がした。
「ありのーままのー」
それをかき消すほど大声で歌った。
「ご主人様!」
「すこーしも寒くないわ」
「うるさいんだよデブ!」
「誰がデブだよ!ポッチャリって言ってるでしょ?ってあれ………」
白亜の城もマシュマロの馬車も無い。そこは荒野を見下ろす崖の上だった。
「気が付きましたか」
画面の中の可愛い女性キャラクターが安堵の表情で言う。
「うわ!意地悪な姉がいる!」
「誰が意地悪な姉ですか!いい加減に目を覚ましてください」
アイちゃんは金色の髪を逆立てている。これは彼女が怒った時のサインだ。
「あ、ごめん、さっきまでシンデレラだったから………」
「意味が全く分かりません!」
「………今のは何だったんだ?」
「気持ちはわかります。あの光りに触れた途端に大きな力が流れ込んできて、頭が真っ白になりました」
「アイちゃんもそうなんだ」
「やはりあの光りは、神様からの贈り物だったのでしょう」
優作は頷いた。
「光に触れた瞬間に、魔法を取得しましたっていう声が聞こえたね」
「私にも聞こえました」
アイちゃんも頷く。
「良かったですね!ご主人様には馬鹿げた身体能力がありますから、この世界でも大丈夫だと思っていましたが。それでも魔法があれば、きっとこれから役に立ってくれると思います」
心底嬉しそうに微笑むアイちゃんには言いにくい、ゲットしたのがマシュマロ魔法だなんてこと………。
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