転生
初投稿です。
中井将吾は至って平凡な学生であった。
朝はギリギリまで寝て学校へ行き、昼は友達と実りの無い会話をして、夜は宿題も交えながら趣味に明け暮れる。
毎日毎日、同じことの繰り返し。飽き飽きする程の平穏。
しかしそんなものが永遠に続く保証はどこにも無かった。
ある日の朝、横断歩道を渡っている時、将吾は路上に猫を見た。それを見て猫が轢かれ死んでしまうことを恐れた将吾は、信号が青のうちに猫の前に座り込み、猫を抱きかかえた。
ふと名札を見てみると、そこには「みかん」と書かれていた。そこで思い出した。この猫はクラスメイトの山田が飼っていた猫であったということを。
そんなことを思っているとみかんは腕をすり抜けて逃げてしまった。あっ、待て!っと将吾が思ったその瞬間、圧倒的衝撃が将吾を襲った。
そして次の瞬間、彼が見たものはアスファルト、こちらを見るみかん、そして血が滲んだ自分の足であった。
様々な悲鳴が飛び交う中、彼が感じたのはあり得ない程の激痛と、力が全身から抜けていく感触だった。呼吸が出来ない。心臓が動かない。彼の全ての「当たり前」は無残にも消え去った。
最期に感じたのは眠気。嫌だ、寝たくない。そう思っても脳は止まって行く。そして完全に血を失った将吾は、その短い一生を終えた。
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将吾は夢を見た。
目の前に広がっていた光景は永遠と続く本棚。天井は見えず、無数の本棚が複雑に交差している。
そしてその中央には
1つのデスクがあった。
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「…ぅ……あ?」
将吾の意識が戻ってくる。
「……はっ!!」
ここで将吾は思い出した。自分がトラックに轢かれて死んだということを。
「足は!?体は!?」
思わず飛び上がって自身の体を確認する。そこには傷1つなかった。
「何でだ!?夢か!?ここは何処だ!?この声は何だ!?」
将吾が焦るのも無理はなかった。彼は紛れもなく一度死に、それにも関わらず今いるのは見たこともないような森であったのだから。
「あぁ!!そうだ!!何で俺は死んだのに生きてるんだ!?そしてお前は誰だ!?どこにいる!?」
将吾はかなり混乱していた。彼の頭の中は疑問符で埋め尽くされていた。それも仕方ないだろう。
中井将吾は転生したからだ。
「は?転生?」
その言葉を聞いて将吾が思い浮かべたのは中学時代に憧れていたライトノベル。そして、異能力バトル系を読む度に、自身に淡い希望を抱いていた過去の自分であった。
「おい!?何で知っているんだ!?何で聞こえているんだ!?お前は誰なんだ!?お前は何なんだ!?」
過去の願いは今叶えられた。彼は転生して、能力も手に入れた。どんな能力かはもう既に分かるだろう。
中井将吾は
語り手の声が聞こえるのだ。
読んで頂きありがとうございます。
大分えげつない趣旨の作品になりそうですが、一応物語としてやっていくつもりです。
結構伏線とかも張っていくつもりなので色々考察しながら読んでくれると嬉しいです。
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