第三十一縁。
っと、言う訳でやっとこさ第三十一縁ですっっ!! また今回も漢字へのルビ振りが多いんですが……。いつもの事なんで、ご了承の程のお願いします(汗)。
では、もぉ~ずずいっと本編へ進んじゃってくださいませ、ご主人様っ!(←ぉ?w)
「それは何ですか? 妖一さん」
あれ? 何だろう?
と、違和感からボクがスカートのポケットから取り出したものに、大きいゆきめさんが、ふと問いかけた。
それは、向こうの世界でシャロンちゃんに貰った、プラチナか何かの金属で囲われた、一センチ程ありそうな大きさのブラックブルーの欠けた宝石である。
「えっと、確かセイラルストーンとかいう宝石で、向こうの世界の女の子から貰った物なんだ」
「セイラルストーン??」
首を軽く傾げて問いかけるゆきめさんに、
「何でも誕生と同時に自分の力をこの石に吸わせて作る、世界で一つのお守りみたいな物らしいけど、昔はコレでその人物の将来を見て判断を下してたらしいんだ。その子はコレを三つに分けてあって、その一つをお守りとしてボクにくれたんだ。何でも、コレは他人にあげると、あげた人・貰った人に一層効果を強くしてくれるんだって」
そう、向こうの世界の事を少し話してみるボク。
すると大きなゆきめさんは、まじまじと不思議そうな顔で宝石を覗き込んでから、やや一呼吸の間を置いて、
「妖一さんは向こうの世界でも、誰かに大切にされてるんですね」
そうニッコリと告げたのだ。
え……何かヤバい事言っちゃったかなぁ……。何だかゆきめさんから、ふと黒いのが漂ってる様な気がするんだけど……。
なんてボクが思ていたその時、
「ほぉ……。それがのぉ~」
ボクと大きいゆきめさんとの間から漏らす空ちゃんの姿がそこに。
音も無くスッと後ろに現れた空ちゃんの姿にボクは、思わず仰け反ってしまう。
本当、向こうの世界でもそうだったけど、神出鬼没な空ちゃんだよね……。
「ど、どうしたの空ちゃん? 確か小一時間くらい研究室に篭るんじゃなかった……?」
「その途中じゃよ、妖一殿。今さっきの妖一殿の記憶を調べてヒントを探してたら、ふと閃いてのぅ。半分は何とか出来そうだったじゃが、後の半分位何ともならなかった所に思いついて、実物をとなぁ」
そう、ボクが持っている宝石をまじまじと覗き込みながら、説明する空ちゃん。そんな空ちゃんの姿は、すでに実験などで着ている白衣姿である。
「このセイラルストーンに何かあるの? 空ちゃん??」
「おおありじゃよ~、妖一殿」
ニコッと、微笑む空ちゃんの顔には、確かに何かが見えていた様にも、ボクには思えたのだった。
「そうじゃのぉ……。例えて言うなら、出口がいっぱいある巨大なトンネルの道しるべって所かのぅ」
と、空ちゃんはボクから受け取った宝石を手に乗せながら告げたのだ。
「巨大トンネル? 道しるべ??」
ボクの問いかけに、面白そうな顔をして説明する空ちゃん。
「うむ。異次元空間世界の間には一つの次元空間が存在しているんじゃよ。それは、ほれ、妖一殿がこの異次元空間世界に来れたのがその証拠だしのぅ。その次元空間を仮に『次元トンネル』とすると、出口は、もしもの世界『異次元空間世界』になる訳じゃ。もちろん、異次元空間世界が出口なんじゃから、出口の数も多く、トンネルもまるで迷路の様になってると考えられる。
そこで出番なのが、二つの異次元空間世界に共存するこの『セイラルストーン』て訳じゃ。この石を使えば、迷路みたいな次元トンネルを一つに結ぶ事が出来るのじゃよ~」
へ~……。
そう、他人事の様に首をコックリとさせるボク。よく解った様な、そうでも無い様な、中途半端な理解力である。
「あのー……差し出がましいかも知れないんですけど、一ついいですか? 質問しても」
ボクがボーっとする中、話を理解した様な大きいゆきめさんが、手を挙げて質問をもちかける。
はい、どうぞ~。なんて言われ、まるで教室の中に居る教師と生徒の様な空気が漂う中、大きいゆきめさんは、
「あの、異次元空間世界は『もしもの世界』なんですよね? と、なると……このセイラルストーンを受け取った妖一さんや、これを差し上げた方も沢山存在するし、このセイラルストーンも同じ様に沢山存在するしてるハズなんじゃ無いでしょうか? なので『二つの世界を』とは言い切れないんじゃないでしょうか??」
そう質問をしたのだ。
もしもの世界がこの世界だとすると、確かにここへ来たボクは他の異次元空間世界にも存在しているかも知れない。そしてそれは、ボクが居た世界のシャロンちゃんやアーシャ達もいっぱい存在している事になる。
だとすると……どうやって『今のボク』が居たあの世界へと特定して繋げるのだろう??
大きいゆきめさんの言葉から、ふと疑問が浮かぶボク。
すると、俯きながら肩を震わせて「ふっふっふっふっふ」と、不気味に笑う空ちゃんは、次の瞬間にはパッとこちらを見て、
「いい所突いて来たのぉ、ゆきめ殿。それを解決するには、この子に蓄積された記憶を手繰って行き、過去の異次元空間世界のこの子と共鳴させればいいのじゃよ」
「記憶って……物にもあるのっ!?」
空ちゃんの言葉に思わず驚いたボク。
「ある。ほれ、サイコメトリーとかいうのを知ってるかのぉ? あれは物に宿る人の残留思念を読み取る事で色々な事件解決などをしていくじゃろ? それと似た様に、物には記憶媒体の様なものが人の目や超光学電子顕微鏡では見えぬ粒子状で存在しておっての、それを手繰れば、例え異次元空間世界がいっぱいあろうが、この子の記憶に残っている異次元空間世界は一つだけという事になるのじゃよ」
と、ピースサイン一つしながら語り切った空ちゃん。
それが真実なら、本当に凄い事である。
物にも『記憶』が存在する事自体が、ボクの知る世の中では新発見であるのに、それを当然の如く言いのけてしまう空ちゃんにも、やっぱり驚かされた気がするのだ。
ボクは空ちゃんの話しに感心しながら、ん? と、ポツリと引っかかった。
「あれ? あの空ちゃん。記憶を手繰ればいいのなら、さっきボクの記憶を覗いたんだから、そこから手繰っていけばいいんじゃないの?? わざわざこのセイラルストーンから記憶を抽出させなくても済むと思うし……」
そう。過去の記憶でいいのなら、さっきやった事から手繰ればいいんじゃないかなって思ったのだ。
しかし、そんなボクの問いかけに空ちゃんは口をすばめて「ブッブー」と不正解を告げる。
「共鳴させて道を繋げる。と、言う事はどうゆう事か解るかの? 妖一殿?」
「えっとー……共鳴させるという事だから、共に同じ様にさせる必要があるって事?」
急に振られたボクへの質問の答えに、ニコッと微笑んだ空ちゃんの姿。
「そうゆう事じゃ。では、ここでYESかNOの二択問題じゃ。今ここに居る妖一殿は、過去のあの世界に居た妖一殿と全く同じじゃろうかのぉ?」
え??
いやー……うん。過去は過去だし、全く同じじゃないから答えはー……
「NO。だよね?」
恐る恐る答えたボク。
「正解っ。そう、妖一殿は生きた細胞を持つ有機質で、全く同じでいる事は出来ないのじゃよ。共鳴させるにはほぼ全く同じじゃなくてはいけない。この無機質であるセイラルストーンなら過去の状態に近づける事なら出来るという訳じゃのぅ」
実際のボクにとっては、然程大きな変化にも思えないけど……変化があると共鳴出来ないって事なんだぁ……。
なんて、納得するボク。
しかし、そこに、再び疑問が浮かんだボクは、手を挙げる。
「はい、妖一殿」
と、ニッコリとした顔で、ボクの質問を待ちうける空ちゃんの姿。
それは『超科学者』としてなのか、今この場の『教師』としてなのか解らないけれど、凄く嬉しそうではある。
「あのー……別に過去の物と共鳴させる必要も無い気がするんですけど……同じ世界に戻れればいい事だし。それに過去の異次元空間世界に戻れるかも解らないから……」
そう言うボクの言葉に「ブッブー。はいっ、スーパー空ちゃん人形没収じゃよぉ、妖一殿」と、返す空ちゃん。
スーパー空ちゃん人形? って??
ちょっと変な所で、凄く大きな疑問符が脳内を駆け巡るボク……。
「まず、妖一殿が言う『過去の異次元空間世界に戻る』のは出来ると思うぞ。現に妖一殿は過去から未来へと来てるのじゃから、過去から未来へと繋げた次元トンネルがあるという証拠じゃしのぉ。それに、平行線上の時空で、同じ異次元空間世界に繋げる手段が何処にあると言うのかのぅ? その手段が無いし解らないからこの子の過去の状態を作って、その過去の世界と共鳴させよう言うのにのぅ」
と、手厳しい指摘。
「ま、過去より未来は沢山あるし、妖一殿が消えた刹那の次の瞬間に戻れるのじゃから、文句は無かろう? 妖一殿~??」
そう手厳しい指摘から軽い口調で言った空ちゃんは、
「と、言う事でしばしの間この石を借りるけど、いいかの? 妖一殿」
ニコッと超科学者の顔になって問いかける。
「うん、解った。あ、でも、大切なものだから壊したり分解したり構造解析して再構築したりして遊ばないでね……」
「あははは、大丈夫じゃよ妖一殿~」
そう、妖しい笑いを残し、セイラルストーンを胸の谷間に挟んで持って、自分の研究室へと戻った空ちゃん。
あはははは……する気だったんだぁ……。
そんな姿に、ポツリと心の中で零したボクだった……。
「用意はいいかのぅ? 妖一殿」
「あ、うん。少し……緊張はするけど平気だよ」
一面真っ白な空間で、ひとり椅子に座るボクに、マイクを通して窺う空ちゃん。
空間にちょこんと浮かんだ、ガラス製の様な小窓の向こう側から、瞳を爛々としている空ちゃんと心配そうな表情で覗く二人の姿が、ボクの前から見える。
辺りが白一面なせいか、何処までが壁で何処までが天井かハッキリしないそんな空間である。
「そう。それじゃ今から解析した過去のデーターを入力して次元間引力を発生させるからの。発生するまでしばし時間がかかるから、その間に遺言でもあれば聞いてあげるけど? 妖一殿」
「遺言って……縁起でもない事を言わないでって空ちゃん……」
ガックシとうな垂れながら、言葉を零すボク。
きっと空ちゃんのお遊びなんだろうけど、隣に立っている大きいゆきめさんは、さらに一層心配そうな表情を浮かべてしまっている様子である。
「うむ、冗談じゃよ。あんまり緊張し過ぎるといけないからリラックスさせようかとのぅ。まぁ、共鳴させるのにセイラルストーンが多少ホッカイロ位の熱を持つくらいじゃから心配は要らぬよ。」
空ちゃんがそう言う様に、ポケットに入っているセイラルストーンが、少し熱を帯びて来たのを感じたボク。
ポケットを見ると、小さな光を放ちだしていた。
「妖一殿」
「何? 空ちゃん」
ふと、問いかけられたボク。
「また昔の妖一殿に逢えて楽しかったぞ。一緒に面白そうな世界に行けないのが少々残念じゃが、こっちでやる事は山程あるしのぅ。その代わりにメイド姿の妖一殿に逢えたのを儲けモノとしておくかのぅ」
「あははは……」
「妖一さん?」
と、今度は大きなゆきめさん。
「何? ゆきめさん」
「またお逢い出来てとても嬉しかったです。きっと……これから先色んな事が待ってると思いますが、私の気持ちは先程伝えた通りですから……」
「うん、解った。ありがとうゆきめさん」
ゆきめさんの言葉に、ニッコリと笑って返したボク。
「ボクも、二人に会えて良かったし、とても嬉しかった。それに、二人共すっごく綺麗になってて驚いちゃったよ」
「当然じゃよ」
ニッと笑ってそう返す空ちゃんに、頬を赤らめさせて微笑む大きいゆきめさんの姿。
やがて先程よりも熱を感じてきたボク。
「よし、異次元空間世界同士の連結に成功じゃよ妖一殿。それじゃ、これでお別れじゃ」
「うん、二人共ありがとう。それじゃ体にも気をつけてね」
「はい。妖一さんもお気をつけて」
「あ、それと妖一殿、そっちの世界のワシに会ったら、ポケットに入れておいたビー玉くらいのボールを渡してくれんかのぉ?」
そう言われ、もう片方のポケットに手を入れてみると、確かにビー玉位の小さなボールが入ってる様である。
「うん、解った」
「頼んじゃよ。それじゃ、頑張ってらしゃい妖一殿っ」
「さようなら、妖一さん」
窓の向こう側から手を振る二人。
それは、その二人に手を振り返したその瞬間だった。
辺り一面が眩しいくらいに強く光を放ったのは。
ボクはその光に、思わず目を瞑ってしまう。
すると……直ぐ様耳に聞こえて来たのは、風を切る音と激しい雨音の轟音。
眩しい世界から急に瞼が暗くなったの感じたボクは、ゆっくりと目を開けると、そこには……。
「お兄様っ!!」
きっと数時間、この世界にしては数秒かも知れないけれど、ボクには懐かしくも思えた人物が、慌てた表情でボクへと手を差し出しいる所だった。
あ、シャロンちゃんだ。それじゃ、ちゃんと戻れたんだ……良かった。
なんて思った矢先、何故かボクとシャロンちゃんの距離が物凄いスピードで離れていくのに気がついたボクは、辺りを窺い、そして状況を理解した。
……そうだ、ボク、この森の大陸の崖から落ちてる途中だったんだっけ……。
…………。
あはははははは……。
無事にこの世界に戻れて早々、ボクは置かれている状況に笑うっきゃないなと思ったのだった。
ボクと彼女と彼女の縁結び記
第三十一縁『ボクとさよならと成すべき世界』
お疲れ様でしたご主人様~(輝)(←まだ言うか 笑)。今回のお話はいつもより短めでしたが……楽しんでもらえたらなぁって思う☆ジャム猫☆です。
今回のお話で近未来の空ちゃん・ゆきめさんの出番は終了となるんですが、どうだったでしょうか?? ゆきめさんならまだ解るかも知れませんが、空ちゃんまでが溢れ出さんかという見事なバストをご披露でしたね~(笑)。それにル○ン三世に出てくる女泥棒さんみたいに、谷間で物を挟むとかまで見せてくれたり。まー……ちっちゃい方の空ちゃん(身長もバストも)が好きって方も居るかも知れませんので、何とも言えないかも知れませんね~。
さて、次回『第三十二縁』ですが、もしかしたら少し遅れるかも知れませんが……それでも良かったらまた遊びに来てみて下さいね(汗)。
それでは、また次回にでもお会い出来る事を祈りながら、後書きを終わりにしたいと思います。ではでは……また浄土~☆(このネタ解る人いるかなぁ……滝汗)