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第一縁。

 それは、ボクが14になったばかりの夏休み中旬から送られて来た。

 淡い青色の透き通るような雪の結晶が散りばめられた様に描かれた、父さん宛の一通の白い封筒。

 綺麗な封筒だなぁ〜。この封筒に似合ったとても綺麗な字だしね。

 封筒に対するボクの第一印象は、そんな感嘆。

 こんな素敵な封筒で送ってくれる人ってどんな人なんだろう?

 封筒を裏返し、送り主を見てみると『雹堂ひょうどう 蒼樹そうじゅ』と書いてある。

 一見女の人なのか男の人なのか見分けにくい名前の差出人だな〜。

 ボクはそう思いつつ、父さんにこの封筒を渡しにいく。

「父さん雹堂さんって人から封筒が届いてるよ〜」

「わぁ〜あぁ、ん? ありがとう妖一よういち

 何だかまだ眠そうな目を擦りながらあくびをして、いつもの薄い四角い眼鏡かける父さん。

 それほど高くは無い身長と一見気難しそうな顔をしてるけれど、実はとても優しい父さんである。

「どうしたの?」

 封筒を持ったまま固まる父さんに何気なく問いかけてみるボク。

「あ、ああ……雹堂さんって誰だっけかなって思い出してただけさ。

 ……それより、妖一は顔でも洗って来なさい。父さんはご飯を作って待ってるからな」

 にっこりと優しい笑顔でそう言う父さん。

 うーん……何かの勘違いかな。

 ボクはどこかちょっと何かが引っかかりつつも、言われた通りに顔を洗いに行くのだった。

 それからというものの、毎月一通同じ様な封筒がボクの家に届くようになった。

 年が明けても年賀状と共に、その封筒は送られて来ていた。

 一体なんだろうと凄く気になりつつも、父さんへの手紙で勝手に覗く訳にも行かないし、ボクにとっては謎の綺麗な封筒のままである。

 けれども、その謎の綺麗な封筒は今年の3月は来なかった。

 何だろう……毎月一日には封筒がポストに入れられてたのに……。

 最初に届いた8月から欠かさず届いてたものが、来ないなんて、とても奇妙な感じがしたボク。

 ある意味、不思議がりながらも毎月楽しみにしてたのだから、すごく残念だったのは正直な所かもしれない。

 やがて春休みがボクには訪れて、終る頃にはボクは中学3年生になる。

 そんな明日には新学期が始まる春休み最後の日の夜、それは知らずのうちにボクの家に送られて来ていた。

 淡い青色の透き通るような雪の結晶が散りばめられた様に描かれた、一通の白い封筒。そして裏の差出人の名前は『雹堂』である。

 やった!!!

 ボクはあまりの嬉しさに声に出して喜んでしまっていたのだった。

 軽い足取りで父さんの元へ向かい、笑顔でその封筒を手渡すボク。

 すると、何処か緊張した面持ちでそれを受け取る父さん。

 一つ息を吐き、そして封筒を開封して中身を読む。

 少々ばかりの沈黙あと、父さんは何処か悲しそうな哀れみの様な瞳でボクを見つめて、一言、

「すまん妖一」

 と、謝ったのだ。

 え?

 ごめんって?? どうゆう事??

 何が何だかちんぷんかんぷんな頭で、父さんに目で問いかける。

「父さんは……母さんが残してくれたお前を守る事は出来なかったみたいだ……。本当にすまない。これも全部15年前の父さんがいけないんだが……でもああするしかなくて。母さんも仕方ないって笑ってくれてたからな……」

「え? ……え!?」

 神妙な面持ちでボクを見ながら自己完結する父さんを前に、ボクは何も解らず軽いパニックである。

 そんな途中で完結されても……意味が解らないって父さん……。

 と、言うか一体何の話をしてるの?? 父さんの昔話? え??

「うん。人生ってものは時に理不尽な火の粉がかかってくる事だってある。けれども妖一……」

 真面目な顔をしながらボクに語る父さんの姿。

「え……? ……うん」

 何となく意味も解らずに頷いてみる。

「けれどもそんな火の粉でも負けずに道を進むのが男の子というものだ。だから妖一もこれからどんな事があろうと頑張って人生を歩んで欲しい」

 …………。

 父さんごめん。意味が解らないよ〜……。

 とにかく何事にも負けない男になれって事かな??

「う、うん……。よく解らないけれど、いつかそうゆう男になってみるよ」

「そうか……そうかそうか。すまん妖一、頑張ってくれ、こんな父さんでも良かったら力になるからな……」

 と、今度は涙ながらに。

 何で父さんが泣いてるのか解らないボク。

 そんな中、ふとチャイムが鳴る。

 こんな夜に誰だろう?

 夜の7時という夕飯時の訪問者を迎えに、ボクは玄関まで行く。

「はい開いてますからどうぞ〜」

 玄関の扉向こうに居る人へ声をかけると、すると綺麗な声で、

「初めまして今晩は妖一さん」

 中に入るなり、にっこりと微笑みながら同い年くらいの女性が挨拶したのである。

 黒く綺麗なしっとりとした背中まで伸びた長い髪に、優しい笑みと端麗たんれいな顔立ち。胸元にフリルが付いた青いデニムのキャミソールワンピースから覗かせるは、白く透き通るような美しい肌をした女性である。その容姿から、まるで何処かのご令嬢さんみたいにも思える。

 え……なんでボクの名前を??

 初対面のはずの彼女に名前を呼ばれたボクは、ただ呆然とする。

「今日からこちらでお世話になる事になった『雹堂ゆきめ』です、よろしくお願いしますね妖一さん」

 再びにっこりとして、礼儀正しくお辞儀をする彼女。

「あ……はい、こちらこそよろしくお願いします」

 丁重に言われて、返事を返すボク。

 と、その瞬間思考が急に鈍くなり、

「って……え?? 雹堂って……」

 数秒、きっと数秒の沈黙を置いて、思わず問いかけたのだった。



 ボクと彼女と彼女の縁結び記

 第一縁『ただボクは雪の結晶の絵が綺麗だったから、気になったんだ』

 と、言う訳で☆ジャム猫☆の小説U第一弾です^^ お暇でしたら良かったら読んでみてくださいな^^b ブログにUpしたものですけどね……。

 FC2ブログ『☆ジャム猫☆の煩悩のらりくらり』にも良かったら遊びに来てください(汗) アダルト設定ですがアダルトでもなんでもないですから……(グスン)。

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