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6.能力鑑定



厳かな空気が漂う、広々とした王城内。大理石のような白く反射する床石、王座からずらり並ぶ数百の騎士隊。


まさにファンタジー世界。


(...す、すごいな...。王都では獣人族なんて種族も見かけた...本当に異世界なんだな、ここは)


チラリと横を見れば、王の前だからだろう。緊張に固まるシロさんが微動だにせず、直立していた。

その様子にこの場がどれだけ重要性の高いものなのか理解させられた。


俺の横にはシロさんの他、横並びに他の異世界の人間とその召喚師らしき人が整列している。

ただ一人、転移者を連れていない召喚師がいるが...。

シロさんから聞いた話では転生、転移者は全員で4人。1人足らない。


そんなことを気にしていると、左手にある椅子に座っていた老人が口を開いた。


「時間ですな...では、これより選定の儀を執り行う。先ずは王からお言葉を」

「...よい」


王は脚を組み直し、結構離れている俺にもわかるほどのでかい溜め息をつく。


「時間が勿体無い。今回の異世界人が使えるのか使えないのか...さっさと鑑定しろ」


王は面のようなもので素顔を隠していて、はっきりとはわからないが、少し高めの声のせいかまだ若そうに思えた。


(...しかし、王様だからなのか...横柄な印象だな。使えるか使えないかとか、道具のように言ってくれる...まあ、俺は戦う気もないから関係ないが...)


しかし俺はその王の態度に不安を覚えた。


「それでは能力鑑定を行う!左手の者から順に行う...さあ、私の前までこられよ」


呼ばれた召喚師と転移者の男が前に出た。


「名前を名乗られよ」

「...(たちばな)蓮司(れんじ)


かれの召喚師はその衣服で素顔はこちらがわからはわからないけれど、転移者の方はかなり若そうに見える。


(橘蓮司...若そうに見えるな)


まだ10代...高校生くらいの子か?ブラウンに染められた短髪と、明るめのシャツと青いジーンズ。

...スーツ姿の暗めの俺とは真逆だな。


彼が鑑定師の前に立つと、その体を霧のような白いもやがその体をおおった。


(あれが魔力、オーラか...)


ここに来る途中、シロさんにこの選定の儀の説明を受けた。転移者は鑑定師により秘められし魔法属性を判定される。

大抵は、火、水、風、土、氷、雷の6属性に分類されるが、稀に異質の力を秘めた者もいるという。


ちなみに、なぜ転移者や転生者が求められているのかというと、その理由は大きく3つある。

それは、魔力総量の多さとそれ故の自然治癒力の高さ、そして肉体の強靭さ、だ。


それ故に、俺達は鍛えればかなり強力な兵として使える。だからこそ莫大な魔力を使用し、この世界へと招いたのだ。


橘の体のオーラが朱く輝き始めた。


「おお、これは火属性か...ん?」


そう判定がくだされそうになったとき、朱いオーラの中にバチバチと電撃が走っているのが見えた。


「...こ、これは...2種持ちか!しかも強力な火属性と雷属性!」


周囲がざわめく。「素晴らしい」「これはすごい」「オーラも力強い」称賛の嵐に、鑑定師も満足そうに頷く。

そして王もまた認めるように拍手を送る。


「素晴らしい...あなたには是非、我が国をお守りいただきたい!」


(...な、んだと...!?)


さっきとは打って変わった王の様子に驚く。それほど使える転移者は貴重なのか。


そしてまた次の転移者が前へと出る。


長い黒髪、赤い口紅、冷たい瞳。彼女もまた先程の橘と同じく、かなり若く見える。

ゴスロリと言うのか、黒いドレスで身を包んでいる。


「そなたの名は」

茨乃(いばらの)有栖(ありす)


そして彼女をオーラがおおい、変化が始まる。


彼女のオーラもまた紅い...しかし、橘のよりも深い紅。そして、どろどろと液状に変化していった。


「こ、これは!!6属性ではない特質の能力!!」


ざわざわと先程と同様、大きなどよめき。


「すばらしいい!!貴女も我が国をお守りください!!勿論、報酬はいくらでもお支払い致します!!」


二人の大当たりを引いたせいか、興奮気味の王。


(...能力があれば待遇が良くなる...どこの世界も同じだな)


「次の者、前へ」

「はい」


(...戦う気は無いが、俺の能力は果たして)


「名は?」

黒崎(くろさき)(めい)です」


ゆっくりと鑑定師のオーラが俺の体をおおう。



...?


しかし一向に変化はおとずれない。


やがて先程の二人のときとは違う、不穏などよめきがその場に巡る。


(...なんだ?)


隣に居るシロさんも困惑していた。


そして鑑定師が気がついたように口を開く。


「...そなた...まさか」


嫌な予感がした。鑑定師のその表情に、俺の心臓が跳ねる。

この目の色の変わりようを俺は知っている。









「貴様、無能力者か...!」








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