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5.出会い



召喚って...?


(...訳が...わからない。俺、刺されたよな?それで...)


そうだ、俺は確かに死んだはず。目の前が暗くなり、体から力が抜け、意識は遠のいた...眠っていただけなんて事は無いだろう。


傷は深く、多量の出血。あれで助かるわけがない。


「...ああ、ここに居られましたか...!」


不意に声をかけられ、俺は驚きびくっとした。

声のした方を見れば、占い師のような出で立ちの若い女性が二人の騎士を連れ立っていた。


(...いやなんだその格好。コスプレってやつか?すげえクオリティだな。...しかし、そんな事よりも)


「あ、あの...すみません、ここはどこですか?目が覚めたらここに居て...状況がよくわかってなくて」

「ええ、そうでしょう。では、ひとつひとつお答えしましょうか」


親切な人だな...ありがたい。


「ありがとうございます。助かります...お願いします」


にこりと笑みを浮かべる女性。その出で立ちに気を取られていたが、夕陽のような紅い髪と白い肌が美しく、現実離れした美しい人だったことに気がついた。


「まず、端的に言えば...ここはあなたがいた世界とは違う世界...その裏に存在する世界なのです」


...裏?


「そしてあなたは私の召喚術により招かれた...この世界では英雄と呼ばれる存在です」


...英雄。


「えっと...あまり、私の話は伝わってませんか」

「...ドッキリってことですか?」

「ドッキリ?...あ、騙しているのかって事ですね?」


彼女は手をぽんと叩き、首を横にふる。


「いいえ。...急な事で受け入れられないかもしれませんが、嘘ではありません」

「...」


帰宅からの暴漢退治からの異世界転移...イベント多発しすぎていて、受け入れられないというよりか理解が追いつかない。

しかし、この地面の感触、香る風の匂いは。...夢でも無い事を示している。


「この国では魔族と人族が混在していて、日々その領土を奪い合っています。簡単に言えば種族間での戦争...それに加え、隣国との小競り合いが続き争いが激しくなりつつある」

「えっと...」

「来られたばかりで申し訳ないのですが、我が国の為に戦っていただけないでしょうか。勿論、相応の報酬をお約束させていただきます...」


いや、流石に...戦うって事は死ぬかもしれないって事だろ?

いちどはなげうった命だが、あれは俺がそうしたかったからで、国のために命かけてくださいとか、フツーに嫌なんだが。

...てか、マジで殺されるとは思ってなかったし。


そして俺は死の瞬間を思い出す。自分がこの世から離れゆく感覚...消える灯火。


(...もう一度は、絶対に無い...あの恐怖はもう味わいたくない)



「...」


険しい顔で悩み立ち尽くす俺に、拉致があかないと思われたのか彼女はこう切り出した。


「...えっと、とりあえず一度街へ行きましょう。このままここにいては魔獣の類に襲われる危険があります」

「え、魔獣...」

「はい。それに...戦う戦わない、どちらにしても、この先の事を考えなければなりませんよね」

「この先...?」


「お喚びしておいて申し訳ないのですが、あなたを元の世界に還すにもお時間がかかりますので...それまでこちらで暮らしていただくことになりますから」

「...なる、ほど」

「す、すみません」

「ああ、いえ...わかりました」


というか帰れるのか。こういうのってあまり元の世界に帰還するイメージなかったから...。

いや、違うか。

俺、あの世界に未練がないから...戻るなんて選択肢が頭に無かったからかもしれない。


戦わないで良いなら、むしろこの世界で第二の人生を歩むというのも悪くないか?


「では、まいりましょうか。王都は歩いてすぐです...他の転移者、転生者様がたもお集まりになられていると思われますので、王城へ直行しましょう」

「え、俺の他にもいるんですか?」

「はい、今回召喚に成功したのはあなたを含め3名です。転生者は1名...計4名です」

「そう...ですか」


俺と同じ境遇の人が他にも...なんだか少しだけ安心した。

この異世界で俺は一人じゃなかったのか。


「えっと、俺...黒崎(くろさき)(めい)って言います。あなたは?」

「! ...これは申し遅れました」


彼女は膝下のローブをつまみ上げ、頭を下げる。


「私は、特級召喚師のサギウ・シロと申します。どうぞ、シロとお呼び下さい。...よろしくお願いします、クロサキメイ様」

「こちらこそ、お世話になります。...シロさん」


彼女の後ろに待機している騎士も自己紹介をすると思ったのだが、どうやらその意志はないようだ。


「では、あらためて...王都、『アーバロン』へまいりましょう」

「はい」


こうして俺は生まれてはじめての王都へ向かうことになった。








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