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2.負け犬



オフィスに鳴り響く、上司の怒号。


「――馬鹿野郎!!お前はそんな事もできないのか!?」

「...すみません」


何千回聞いたかわからないそのセリフ。そしてその返答。


「すみませんじゃないよ!普通わかんだろーが!このミスは人としておかしいまであるぞ!?頭ついてんのか、お前は!!」

「は、はい」

「はい!?はいじゃねえよ!!」


こちらが反撃しないのをいい事に、勢いづく上司。

時折俺の頭を平手で叩き、その度オフィスに居る人々は笑いを零した。


もう彼らに怒りの類の感情は沸かない。最初の頃は、それこそ悔しい気持ちや、何故自分を助けてくれないのか?等の思いが渦巻いていたが、今ではもう諦めがついた。


これが俗に言う負け犬と言うやつだろう。


(早く...終わってくれ)


その後も幾つかの粗を探され、突かれ、嗤われる。

これは誰しもが思うことだろうが、苦しい惨めな時間ほど長いような気がする。

事、この説教においてそれは顕著に感じられる。


こうして人生の貴重な時間を削られ続け、気がつけば終わりを迎える。


...だったら、死ぬまで続くのか。


この、苦しみは。



......嫌だな。





◆◇◆◇◆◇




暗くなったオフィス。


退社時刻を回り、静まり返るこの場所で、ひとつのデスクだけが明かりを灯していた。


そこは、ただ一人俺の座る席。


PCを打つ音と時計の針が鳴る空間に、ため息がおちる。


ふと見た時計は21時21...9分と表示され、まだまだ終わらない打ち込み仕事を前にうなだれた。


(なんで、俺だけ...)


皆に割り振れば難なく終わる仕事なのに。


(俺いがい誰も残業なんてしていない...それどころか、彼らは帰り際に談笑する余裕すらあった)


どんどんと湧いていく黒い想い。


ギリギリとまた胃が痛みだした。


悲鳴をあげる俺の中の何かが、胸を締め付ける。


(...こんな事、してて良いのか...)


この人生が、命が無価値に思えてならない。


ただ、ひたすら頭の中が騒がしく、苦しく、痛む。


いつものように何度も行われる自問自答。


何のためにここに居る?そんなこと決まっている...会社の歯車だ。それも、使い捨ての。

きっと俺がこの世から消えても、彼らはそれをネタに笑うに違いない。

後悔など決してしないだろう...。そして俺という存在は時と共に薄れ、消され、終わりを迎える。


それを想像すると、胸の奥に暗く広がる闇を感じ、また気分が落ちていく。


(...疲れたな)



虚ろな心のまま、また俺は時計を確認した。


...もう、帰りの電車が無くなる。せめて自分の部屋で...ベッドで寝たい。


「...帰ろう...」








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