34話 夢幻の塔 その1
夢幻の塔。無限では無い夢幻だ。決して無限の塔では無いから終わりはあると思うのだが、俺たちは塔に昇る。
1階層からコボルトエリートが出てきた。
動きがどう考えても普通より速いと思えるほどコボルトエリートの動きが出鱈目だった。
俺は創星の杖で風の刃を作り出す。
エリーちゃんは小さいコウモリを作り出して放っている。使役獣小蝙蝠という吸血鬼特有のスキルだとか。
コウモリは敵の魔力を吸いつくして弱体化させるのが主な動きだとか。さらに魔法を発動する。
「嵐!!」
巻き起こる大掛かりな嵐のような風がコボルトエリートを吹き飛ばす。
いつの間にかエリーちゃんは黒いマントを纏っている。
「吸血鬼としては正装をしないといけないと思ったからな……ぐしし」
なんだろうこの少女エリーちゃんは守ってもらいたいけど守りたくなるようなそんな保護欲を醸し出させる少女だ。
俺が少しばかり鼻の下を伸ばしていると……アテナが少し俺に肘打ちしてくる。
「マスターエリーさんが守りたくなるほどかわいいのはわかりますが私のことを忘れていませんよね? よね??」
アテナの顔が少し怖い。眼の訴えかけがヤバい……アテナも銀髪でロングの髪が兜から覗き込んでも綺麗な顔だ。
今回アテナとカレリナを連れてきた。
ミヒルは孫悟空とたまには力比べがしたいというから置いて来た。
カレリナは水筒に入れてある紅茶を飲んでいる。
アテナは俺に迫る勢いで俺の手を握っている。
「流石にこのままでは戦いにくいですね……」
「ああ……アテナどうしたんだ? 悩みがあるなら聞くが?」
「なんでもありません……それより1階層から強力な敵が出てきますよ」
コボルトエリートだけではない。ハイゴブリンが出現する。
だが可笑しい。レベルが違い過ぎる。通常のハイゴブリンはレベル10ぐらいに対してここのダンジョンのハイゴブリンはレベル30ぐらいだだからか動きとか肉体の強度が異常だ。
俺はたまには炎雷の剣で攻撃を行う。
ハイゴブリンは俺の剣による斬撃を右から行った攻撃を後ろに下がって回避した。
そのまま跳びかかって俺を殴り殺そうとする。
俺は左手を突き出してそのままゼロ距離で炎魔法を放つ。
「炎爆!」
放たれた炎の爆発はハイゴブリンを焼き殺した。
魔法は便利だ。瞬時に発動できるし敵を殺すのに役立つ。俺への反動が凄まじいが……まあなんとかなる。
1階層が長いくらいじっくりと道が長い。キラキラと光り輝く迷宮の道は銀色に輝いていた。
しかしこの夢幻の塔空間の広さが縦横無尽に広がっている。
ダンジョンの中は異空間だと痛感させられるほど超時空間だ。
しかも分かれ道が多く凄く迷う。
夢幻というだけあって夢と幻のダンジョンなのだろうか?
だがモンスターは今のところコボルトエリート、ハイゴブリン、アルミラージの3種類しか出現しない。
アルミラージは睡眠魔法を使用してくるから抵抗しないと眠らされちゃうからヤバいので強いモンスターだ。
夢幻の塔は今までにない常識外れのダンジョンのようだ。
だが俺はアルミラージの睡眠魔法のレジストに失敗して昏睡してしまう。
目が覚めるとアテナが俺を抱き寄せて俺に覚醒魔法をかけていたようだ。
「大丈夫ですかマスター!!」
「大丈夫だ、問題ない」
「軟弱ものめ!! 睡眠魔法ぐらい普通にレジストしろ!!」
「エリステル・ロードマスター貴殿は吸血鬼の魔法使いと承るが……どれだけの実力を隠している」
「おまえの数百倍だな小娘が」
「二人とも喧嘩はよせ」
「天重郎お前もこの程度の力だと死ぬぞ……だから私の手ほどきを受けるべきだ」
俺はエリーの手ほどきを受ける……そういえばエリーはどの程度生きているか聞くと。
「これでも328歳だぞ私は」
「ふ~ん……吸血鬼職業なのに……そんなに長生きなの?」
「スキル不老不死だからな……まあなんだずっと生き続けるのも悪くないなおまえのような存在に出会えるからな」
そんなこともあり1階層を進み続けた。2階層の階段が見つからないまま5時間ぐらい経過したので流石に戻って来た。
本日の探索は終了した。また明日行こうと思った。エリーは神空間に泊めた。すやすやと眠ってくれた。




