第23話 マルティナと屍竜使い13
「ハハハハ! 魔の者でこれを手にしたのは、妾が初めてではないか!? さぁ世界七聖剣がひとつ、セイクリッドティアよ! 妾に従うがいい!」
美しい剣だ。特に刀身が――透き通るような半透明で、キラキラしている。
まるで光そのものが刃となったようだ。
だがその威力は恐るべきもの――
ドルミナが剣を軽く一振りしただけで、猛烈な光の波動が巻き起こった。
ヒイイィィィィン!
独特な、甲高い音。その衝撃は凄まじい。
「うおおぉぉぉぉぉぉっ!?」
バーヴェルが為す術も無く吹っ飛び、広間の壁に叩きつけられていた。
「バーヴェル!」
「ぐ……っ! 心配無用! これしきでやられる程ヤワではない……!」
そのやり取りが、ドルミナには気に喰わなかったらしい。
「き、貴様……!? 今の一撃、貴様にも当たったはず……!? 何故何事も無く……!?」
「ほえ? はて、おぬしが見間違えたんじゃなかろうか?」
「惚けるな!」
ヒイイィィィィン!
もう一度光の波動が飛んで来る。
――だがワシの目の前で、それはふっと歪み消滅した。
ワシの【収納】は、聖剣の一撃にも効果があるようなのだった。
さすがは熟練度9999とといったところ。
「な……や、やはり――!」
こちらを睨むドルミナを尻目に、ワシは状況をすばやく確認する。
使用率:60/100%
その他リスト:
竜の炎:3
聖剣波動:2
【聖剣波動】
収納時のステータスボーナス:
全能力アップ×1.3
収納時、武器に聖剣の力を宿す。量が多い程威力アップ。
なるほど、元々10%だったので、今の一撃は25%の威力。かなり強い。
だが【収納】した効果もかなり強い。
『生命の宝珠』と同じ倍率の全能力アップに――武器に聖剣の力?
と、いう事はつまりワシの『黒竜鱗の大剣』も……?
ヒイィィン!
その刀身が、『聖剣セイクリッドティア』と同じ輝きに包まれていた。
「ほう……! ワシの剣も聖剣の真似をするようになったようじゃの……!」
「いいぞ、アッシュよ! 聖剣ならば、憑代の中にいるドルミナにもダメージが与えられよう!」
「くっ……貴様一体何者だ――!?」
「アッシュ・アルバルト! ティナを迎えに来たんじゃ! さぁ返して貰うぞい!」
ワシは光輝くようになった刀身を、ドルミナに突きつける。
「ぬううう……ならばああぁぁぁぁっ!」
ドルミナは聖剣を何度も何度も振り回し、ワシに連続して光の波動を放ってくる。
「どりゃあああぁぁぁっ!」
ワシは向かってくる光の波動を、『黒竜鱗の大剣』の斬撃で迎撃。
ビキィィン! ビキィィン! ビキィィン!
かなり重たい手応えが残るが、ワシの剣の纏う『聖剣波動』とぶつかり合って、ドルミナの放った攻撃も相殺される。
「うむ……! 何とか捌けるのう……!」
さすが聖剣の一撃は重いが、こちらもなんとか対抗できる。
もうアイテムボックスの使用率は60%に達している。
敵の攻撃を全て【収納】し続ける事は難しい。
無防備に受け続けると、あっという間に使用率が100%を超えてしまうだろう。
ならば、こうして受け捌く事も必要になってくる。
今の手応えからして、『聖剣波動』2回分の力を【収納】しておけば、勝負になりそうではある。
「ちいいぃぃぃっ! 埒が明かぬか――!」
焦れたドルミナが、こちらに向け踏み込んで来る。
「下郎めが……! 死ぬがいいっっ!」
「そうはいかんわいっ!」
ドルミナの斬撃と、ワシの斬撃がぶつかる。
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