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第16話 マルティナと屍竜使い6

「油断も隙も無い奴だ……!」


 同時にバーヴェルも、一体の火竜を仕留め終えた。

 流石は八魔将だけあり、危なげの無い戦いぶりだった。


「残りはあれじゃな!」


 上空に浮く、二体の飛竜!


「「『ソニックブーム』ッ!」」


 ワシとバーヴェルはそれぞれ空に向かって衝撃波を放つが――


 ギャア! ギャアギャア!


 飛竜はグルグルと旋回し、『ソニックブーム』を避けてしまう。


「むぅ……! すばしっこいヤツじゃわい!」

「ならば、直接捕まえるか……!」


 ばさり……!


 バーヴェルの背に巨大な翼が現れ、大きく羽を広げた。

 羽ばたくと、その足がふわりと地を離れる。


「お主、飛べるのか……!」

「うむ……! 翼はしまっていただけに過ぎん。さぁ乗れい!」


 と、自分の肩口を指差す。


「おうさ!」


 ワシはジャンプして、バーヴェルの肩口に登る。

 翼が大きくはためき、バーヴェルは空に急上昇した。


 あっという間に飛竜に追いつき、その翼をがっしりと捕まえる。


「今だ!」

「合点じゃ!」


 ワシは飛竜の背中に飛び乗り、そのまま首元に一太刀を浴びせる。

 また妙な柔らかさを感じる手触りと共に、太い飛竜の首を切断した。


「ほうっ!」


 体が力を失って墜落する前に背を蹴り、宙返りをしながらバーヴェルの肩口に戻って着地。今は王都に向かう間に充分慣れたので、イメージした通りに体が動く。


「うむ、いい動きだ! もう一体も行くぞ!」

「ようし――!」


 もう一体はバーヴェルが近づくと大きく跳ねるように上昇。

 ワシの頭上を越えて行こうとするが――


「逃がさん!」


 ワシが高く跳躍をすると、ちょうど飛竜の顔面が目の前だ。


「どりゃあああぁぁぁぁっ!」


 真っ向から、剣を振り下ろす。

 飛竜の顔面から縦一文字に、紅い線が走った。


 そして次の瞬間、その飛竜の体は二枚卸になり、左右に分かれて地面に落ちて行った。


「フ……流石我を屠った男よ。そうでなくてはな――」


 バーヴェルはワシの足元に回り込み、また肩口で受け止めてくれた。


「では、このまま飛んで王城へ行くか? そうすれば地上の敵は無視できよう」

「そうじゃな――だがその前に……倒した敵を回収しておこうかの!」


 竜の鱗は扱いこそ難しいが、超一流の武器防具の素材になる。

 誰か職人を見つけて武具を仕立てて貰ってもいいし、そのままギルドの買取りに出してもいい値になるだろう。

 すぐ終わる事なので、回収しておかない理由は無い。


「……やれやれ、早くしろよ」


 バーヴェルは呆れ口調ながらも、素直にワシを下に降ろしてくれた。


 仕留めた竜を回収した後、再びバーヴェルに乗せてもらって王都の上空を進んだ。

 下に見える王都の街並みには、そこら中に竜がウヨウヨしている。

 だがその数の割に、街の建物の被害は殆ど無いような――


「あまり街に被害は出ておらんようじゃの」

「ドルミナがそう命じているからだろうな。守りを固めさせているように見えるが」

「……何か目的あっての事かのう」

「だろうな。ロクな事ではあるまいが」

「だが被害が少ないのは好都合じゃ――後でティナが気に病まずに済む」


 人的被害のほうも、まだ殆どないと出発前にエルフィン陛下が言っていた。

 異変が起こる前にティナが周囲に警告をしたため、結界でティナの周囲を封じつつ人々の避難誘導が出来たようだ。


 だが現時点では損害軽微なものの、この先は分からない。

 突入部隊が大きな損害を出す事もあるだろうし、王都の外に出された住民達も、急な事で長い避難生活には耐えられないだろう。

 食料が足りなくなったり、病気が流行ったりも考えられる。


 とにかく早く、この異変を止めること。

 今日このワシの手で、それを為す。


 それが、長く長く――長過ぎる程に待たせてしまったティナへ、ワシが今からできるせめてもの事だ。


「なぜそこまで拘る? そなた、訳ありと言っていたが?」

「なあに、しょうもない昔話じゃよ」


 ワシは手短にワシとティナの生い立ちと関係を、ワシがここ数十年【収納】スキルをコツコツと来た上げて来た事を伝えた。


「グス……グスンッ! ウォォオォ……! そなた、泣かせるではないか……!」


 意外な事に、ワシの話を聞いてバーヴェルは涙ぐむのだった。

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