第6話 みんなでピクニック大作戦!
アリスがつぼみと沙奈のいるプリンセスドールズに加入した翌日、つぼみと沙奈はアリスのいる一年二組を尋ねる。
「昨日はありがとう」
「私たちのピンチを助けてくれたからね」
「どういたしまして」
つぼみと沙奈がアリスにお礼を言うと、
「ここで、つぼみさんと沙奈さんに、ぜひとも会ってほしいという人がいます。さあ、こちらに来てください!」
「私たちに会いたい人が!」
「楽しみね!」
三人のクラスメイトがつぼみたちの元へ駆けつけてくる。
「うちは、浪花大輔。料理人の息子で、柔道部に入っているんやで。うちのことは大将と呼んでや」
「僕は、新井潮です。新聞部に入っています。今日もスクープをビシバシ見つけていきます!」
「あたし、鈴森ねね!明るくかわいいポジティブガール!チアリーディング部に入っているよ!」
「みんな、よろしくね!」
大将、潮、ねねが自己紹介すると、
「私、愛沢つぼみ!スイーツとバトントワリングが大好きだよ!」
「私は雪海沙奈。ファッションやバレエが大好きなの。私のことは、沙奈と呼んでね」
「よろしくね!」
つぼみと沙奈は三人にあいさつをした。
「そうそう、みなさんのことを初めて知ったことですし、より友情を深めていくためにも、海の見える丘までピクニックしませんか?」
アリスはみんなにピクニックへ行くことを提案すると、
「もちろん!」
「これもいいアイディアね!」
「賛成!」
「じゃあ、今度の日曜日、学校の正門前に集合でよろしいでしょうか?」
「OK!」
「その日は空いているわよ!」
「約束です!」
つぼみたちは、日曜日に海の見える丘までピクニックへ行くことに。
そのことを晴斗に伝えると、
「ねえ、晴斗くん。ちょっと聞いて。日曜日、二組のみんなとピクニックに行こうとしているから、一緒に行こうよ」
「一組なんだけど、いいかな?」
「もちろん大歓迎!」
「私とつぼみちゃんがいるからね!」
「そう。なら、僕も行くことにするよ」
「やったね!」
「交渉成立ね」
晴斗もつぼみたちのピクニックに同行することになった。
その頃、未来世界にあるネメシス財団本社ビルの地下倉庫では、
「あー暇だな!」
「何もやることがないし、つまらない!」
ベータとガンマが退屈そうにしていると、理事長室にいるドクターがモニターに映り、通信が始まった。
「ドクター様!」
「調子はどうかね?」
「いつも失敗ばかり!」
「何やってんだ、お前たち。それより、今日こそ輝きを奪うんだ」
「ガッテンだ!」
「なら、とっとと行ってこい!」
ベータとガンマがドクターからの指令を受け取ると、
「アルファ様がいなくても」
「なんとかなるさ!」
と自信をのぞかせる。
「では、健闘を祈っている。ダイヤモンド奪取作戦の成功に一歩近づくためにも」
ドクターはこうつぶやいた。
約束の日曜日。この日はピクニックに最適な行楽日和となった。
「さあ、みんな集まったことですし、そろそろ行きましょう」
「うん!」
つぼみたちは海の見える丘へと向かう。
「丘を越え 行こうよ」
「口笛吹きつつ」
「空は澄み 青空」
「海の見える丘へ」
しばらくすると、海の見える丘へとたどり着いた。
「私のお気に入りの場所に着きました!」
「ここがその場所?」
「そうです!」
アリスは海の見える丘を気に入っているという。
「さあ、目的地に着いたことですし、ここでランチをしましょう。みなさんお腹がすきましたし」
「賛成!」
「じゃあ、ここにシートを引きましょう!」
「うん!」
つぼみたちはランチをとることに。
「私はパパが作ってきたサンドウィッチ弁当だよ!こっちが、ベーコンとレタスとトマトのBLTサンドで、こっちが海老とアボカドのサンドウィッチ!彩りも綺麗に仕上がっているよ!」
「私のは、蒸した鶏肉とたっぷりの野菜を使ったサラダのお弁当。糖質を控えめにしているの」
「私は、母親が作ってきたお惣菜のロールパンを持ってきました。あと、自家製のはちみつティーもあります」
「僕のは、のり弁を持ってきました」
「じゃーん!私のはスイーツ弁当!メインディッシュからおかずまでぜんぶお菓子でできているんだよ!」
「うちはおにぎりと唐揚げがいっぱい詰まったお弁当を持ってきたで!」
次々と個性的な弁当を披露していく中、晴斗は、
「僕のは…自分で作ってきたお弁当を持ってきたよ。例えば、ロールサンドウィッチはスマートフォンの料理サイトを参考にして作っているからね」
「晴斗くん、すごいね!」
と自分で作ってきたお弁当をつぼみたちに見せた。
「では、いただきます!」
「いただきます」
つぼみたちがランチをしているちょうどそのころ、ベータとガンマも海の見える丘にいた。
「俺らは近くのコンビニで買ってきたこの幕の内弁当を」
「二人で食べなければならないのか…」
そのとき、何かを思い出したようで。
「はっ!何か忘れてる!」
「魔獣を作らなければ!」
ベータとガンマは、魔獣の生成に取り掛かる。
「それでは、ごちそうさまでした!」
「ごちそうさま!」
「ちょっと待て!」
「チララ、どうかしたの?」
「大変だ!怪しい予感がする」
つぼみたちがランチを食べ終えた後、チララは怪盗トリオと魔獣の気配を察知する。
「これはまずい予感がします!」
「みんな、安全な場所へ!」
「分かった」
「うん」
晴斗、大将、潮、ねねは危険を回避するために、安全な場所へと早急に向かう。
「さあ、変身よ」
つぼみ、沙奈、アリスはプリンセスミラーでドールプリンセスに変身する。
「ピンク・ジュエル・パワー!」
「ブルー・ジュエル・パワー!」
「イエロー・ジュエル・パワー!」
「ドレスアップ!」
「愛のプリンセス・ラブリーピンク、見参!」
「水と氷のプリンセス・アクアブルー、見参!」
「花のプリンセス・シトラスイエロー、見参!」
「私たち、プリンセスドールズ!プリンセスステージ、レッツスタート!」
プリンセスドールズが現れると、ベータとガンマも魔獣を連れてきてやってきた。
「本日の魔獣はこちら!」
「ゴミの魔獣だ!」
ゴミ袋をかたどったゴミの魔獣がプリンセスドールズに襲いかかる。
「喰らえ!ゴミの臭いを!」
「行くぞ!」
魔獣がゴミの臭いを放つ。
「キャー!」
「何なのよ!」
プリンセスドールズは魔獣との戦いに大苦戦。
すると、シトラスイエローが何かを思いついた。
「みんなで合体攻撃を出しましょう!」
これを聞いたラブリーピンクとアクアブルーは、
「分かった!」
「行くしかない!」
と了承した。
「プリンセスステージ、ライブスタート!」
その後、プリンセスドールズによる魔獣の浄化がはじまった。
「暗くて深い 闇の向こうに」
「一人さびしく たたずんでいた」
「だけどもう 怖がらないで」
「それは迷いを 断ち切ったしるし」
「春風に向かって 旅立っていく」
「さあ 夢の扉を開こう」
「輝く未来に向かって 放つよ私だけのメロディ」
「愛を守るため みんなを守るために」
「きらめく世界に奏でる 私とあなたのハーモニー」
「あなたのそばにいる」
「みんなのためにいる」
「それがプリンセスなんだから」
「今こそ、心を一つに!プリンセス・トリコロール・イリュージョン!」
プリンセスドールズがそれぞれのシンボルマークを描き、魔獣に向かって放つ。すると、魔獣は跡形もなく消えていった。
「ちゅ、ちゅ、ちゅっぴー!」
とマジカルストーンの気配を察知した。マジカルストーンが落ちていく方に行くと、
「キャッチ!」
とチララがマジカルストーンを回収することに成功した。それをつぼみのプリンセスミラーに認識して、
「ヒスイ。物などに加工され、利用されてきた。不老不死および生命の再生をもたらす力を持つと信じられており、古代においては遺体全体を玉で覆うことが行われた。秦の始皇帝の遺体も玉で覆われていたとされる。中南米の王族の墓でも同様の処置が確認される。ニュージーランドやメソアメリカではまじないの道具としても使われていた。緑に輝くマジカルストーンだ」
「プリンセスステージ、ハッピーフィナーレ!」
ドールプリンセスが勝利宣言する一方で、
「くそっ!また負けたのか!」
「次こそ絶対に勝利する!」
ベータとガンマはこう嘆いて、未来世界へと帰っていった。
「みなさん、ぜひお見せしたい景色があります。じつは、ここで見えるのは海だけではありません。横中市全体を見渡せることができます!」
アリスがこう言うと、
「すごい!こんなにきれいな街の風景!」
「これは本当に素敵ね!」
観覧車、シンボルタワー、中華街、赤レンガ倉庫、隣町につながっている橋…横中市は港町としての街並みに加え、山脈もそびえ立つ海と山の都市である。
「さあ、ここで写真を撮ろう!」
「そうだね」
「賛成です!」
「いいわね!」
つぼみたちは、横中市の風景をバックに写真を撮る。
「では、行くよ!」
「はい、チーズ!」
「カシャ」
「いい感じね!」
写真撮影は無事に終わったようだ。
「それでは、また明日、学校でお会いできるのを楽しみにしております!」
「じゃあね!」
「またね!」
こうして、つぼみたちの友情を深めるピクニック大作戦は大成功のうちに幕を閉じたのであった。
その翌日、つぼみたちはポートフロンティア学園中等部の中庭にて、海の見える丘で撮った写真を見る。
「見て!これが私の写真!」
「これはとても素敵ね!」
「実は、プリスタグラムに載せたんだよ!」
「プリスタグラムって、何ですか?」
「写真を投稿するためのSNSツールだよ!最近では、『プリスタ映え』が流行ってて、そのために写真を投稿する人が多いんだって!」
今、巷ではプリスタグラムが流行っていて、「プリスタ映え」という言葉が世間にも浸透しているという。
「あと、お弁当も!」
「すごくいいサンドウィッチだね!」
すると、チララがつぼみのカバンから出てきた。
「ねえ、プリスタグラムをやってみようよ!」
「私もやっているよ!」
「沙奈、一緒だね!」
つぼみと沙奈は、プリスタグラムをやっているという。
「私もやってみます!」
「まずは、アプリをインストールしてみて!」
「分かりました!」
「そこから、必要な情報を入力したら、アリスちゃんも今日からプリスタグラマーに!」
「プリスタグラマーになりました!」
アリスもつぼみと沙奈に触発されて、プリスタグラマー、いわゆるプリスタグラムのユーザーになると、
「これからたくさんの」
「輝く思い出を」
「作っていこうね!」
こうして、つぼみと沙奈、アリスはたくさんの思い出を作っていくことになった。
その時、チララは
「もうすぐ王子がやってくる…」
と未来を予知していた。