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Let's Go! ドールプリンセス・完全版  作者: 見習いさん
第2章 パール~Pearl~
32/41

第32話 結婚式でハッピーサプライズ!

ある日の放課後のポートフロンティア学園でのこと。

「ねえ、みんな。ちょっとこっちに来て」

「何があるの?」

「実は…私のお兄ちゃんが結婚することになったわ!」

「本当に?」

「おめでとうございます!」

沙奈の兄である風哉が結婚することを知って驚くつぼみたち。

 「今度の日曜日に結婚式があるけど、一緒に来る?」

「うん!」

「私も!」

「行きますね!」

「もちろん!」

「みんなが来るなんて、嬉しいわ!」

つぼみたちは風哉の結婚式に行くことになった。


 迎えた日曜日。空は青く晴れて絶好の結婚式日和だ。

「さて、準備万端ね」

沙奈はパーティー用で母親の形見である青いドレスに身を包んでいる。

「お兄ちゃん、今の心境は?」

「少し緊張している。でも、心配しなくていい。沙奈はいつも通りにしてくれ」

「ありがとう」

沙奈は風哉を落ち着かせる。

 その頃、赤いカクテルドレスに身を包んだ怪盗トリオのアルファは結婚式の会場に潜入していた。

「あら、素敵な結婚式場ですわ。ここにいるだけで私も結婚したくなりますもの。でも、私はまだ10歳だから、まだまだ先ですわ」

結婚できる年齢が16歳に満たないアルファはある願望を抱く。

「そろそろイケてる人を見つけたいのですわ!」

 すると、アルファは、

「このチャペル、良い音色ですわ!」

と魔獣の材料になりそうなチャペルを発見する。

「せっかく今日は一組のカップルの結婚式がありますから、私と魔獣ちゃんによって台無しにするのですわ!」

どうやら、アルファは風哉の結婚式をめちゃくちゃにさせようとしているようだ。


 「では、行ってくる」

「行ってらっしゃい」

結婚式場の控室を出る風哉と見送る沙奈。そんな風哉が結婚式用のタキシードに着替える。

 しかし、風哉の新婦となる女性が

「キャー!」

と悲鳴が上がる。

「何があったのかしら!?」

沙奈が女性の控室へと向かうと、

「大変よ!助けて!」

と女性が魔獣の手下に襲われている。

「あら、またお会いすることができて光栄ですわ。では、本日の魔獣ちゃんはこちら!天使の魔獣ですわ!」

その時、アルファとともに、キューピットをイメージした天使の魔獣が現れた。

 「お兄ちゃんの結婚式を絶対に成功させなくちゃ!では、行くわよ!」

沙奈はプリンセスミラーを使ってアクアブルーに変身する。

「ブルー・ジュエル・パワー!ドレスアップ!」

青い光が沙奈を包む。

「水と氷のプリンセス・アクアブルー、見参!プリンセスステージ、レッツスタート!」


 アクアブルーが現れると、女性はすでに魔獣にとらわれていた。

「さあ、あなたのお兄さんの結婚式を中止する代わりに、このお嬢さんの公開処刑を始めますわ!」

「キャー!誰か―!」

「このままでは、花嫁さんが危ない!一体どうすれば…」

 アクアブルーが魔獣に苦戦しているその時だった。

「うわっ!」

突然どこかから黄金色に光が輝き、そこから赤い炎が。

「あれは…」

「ボクたちをピンチから救ってくれた!」

そのおかげで、女性を救出することに成功する。

 「いいか?キミのお兄ちゃんを呼ぶんだ!」

チララがアクアブルーに指示を出すと、アクアブルーが風哉を呼び出す。

「大丈夫か!?」

「お兄ちゃん!」

アクアブルーが風哉を連れてくると、

「紹介します。カフェでアルバイトをしている雪海さん。背は少し高い方だけど 優しい人私と一緒で、オシャレが趣味なのだって。私が「幸せな人には不幸な人はいない」って言っていたから…ねぇ、お兄ちゃん」

と風哉についてアクアブルーが紹介する。その後、魔獣の動きは止まった。


 「今がチャンスだ!」

「分かったわ!」

 アクアブルーはアクアマリンのマジカルストーンをプリンセスミラーにセット。その力をプリンセスバトンロッドに授けると、

「プリンセスステージ、ライブスタート!」

アクアブルーによる魔獣の浄化がはじまった。

「どうしたの?今日はらしくないね」

「疲れているみたい 落ち着こうよ」

「辞書に載っていない 魔法の言葉」

「あなたの心の中で支えとなっているわ」

「Do your best」

「いっぱい食べたい」

「ほしいもの買いたい」

「そう やることたくさん」

「I’m little girl」

「憧れの舞台へ」

「目指していくだけ」

「Let’s try!」

「キラキラ キララ 輝け」

「みんなで力合わせて」

「キラキラ キララ ときめく」

「もっとがんばれるはず」

「キラキラ キララ きらめく」

「私がついているわ」

「キラキラ キララ キラキラ」

「青空のキセキ」

「アクアマリンの輝きでパワーアップ!乙女の美しさ!アクアマリン・プリズム・ブリザード!」

アクアブルーがプリンセスバトンロッドで水色のダイヤを描き、魔獣に向かって放つ。すると、魔獣は消滅していった。

「ちゅ、ちゅ、ちゅっぴー!」

とマジカルストーンの気配を察知した。マジカルストーンが落ちていく方に行くと、

「キャッチ!」

とチララがマジカルストーンを回収することに成功した。それを沙奈のプリンセスミラーに認識して、

「エンジェライト。天使のようなマジカルストーンだ」

「それではまた次回、輝く世界でお会いしましょう!プリンセスステージ、ハッピーフィナーレ!」

アクアブルーが勝利宣言する一方で、

「もう!また負けちゃったんじゃないの!でも、次という次こそは絶対に勝ちますわ!」

アルファはこう吐いて、未来世界へと帰っていった。


 「それでは、新郎・雪海風哉と新婦・水江藍の結婚式を開始いたします」

トラブルを乗り越えて、ついに風哉の結婚式が始まった。天国にいる沙奈と風哉の両親も、きっと空の上で見ているのだろう。

「あなたは、永遠の愛を誓いますか」

「誓います」

「それでは、誓いのキスと同時に指輪の交換を…」

風哉がサファイアの指輪を、藍がアクアマリンの指輪を、それぞれ交換すると、会場から大歓声が上がった。

「結婚、おめでとう!」

「あの声は!」

「沙奈のお友達だ!」

「そうよ!」

すると、つぼみ・アリス・蘭がウェディングケーキを持って現れる。

「さあ、そこに二人のマジパンを置いて!」

「つぼみさんが作ってきました」

「分かったわ」

つぼみが作ってきたウェディングケーキに風哉と藍がケーキカットならぬマジパンをデコレーションする。

「左に私のと」

「右に僕ので」

「出来上がり!」

「素敵なケーキね!」

「では、二人の幸せを願って乾杯!」

「乾杯!」

つぼみたちは、ウェディングケーキとこの日のためにある三ツ星レストランが用意してくれたフルコースを召し上がる。

「風哉さん、藍さん、並びにご両家の皆様、本日は誠にご結婚おめでとうございます。このような素晴らしい席にお招きいただき、心より感謝申し上げます。これから嬉しいこともたくさん、中には大変なこともあると思いますが、どんな時でもお互いを信じて、幸せな家庭を築いていってください。 おふたりの幸せを心から祈っております。本日は誠におめでとうございました。ありがとうございました」

「藍さん、お兄ちゃん、結婚おめでとうございます。新婦の妹、沙奈と申します。幸せいっぱいなこの日に、たくさんの人にご参列頂き、お祝いの言葉を頂いて、私も自分の事のように嬉しく思います。本当にありがとうございます。お兄ちゃんとは、子供のころはケンカばかりでした。趣味が一緒だったので、絵本やおもちゃを取り合って、よく泣かされた記憶があります。でも私が迷子になったとき、お兄ちゃんは、一人で探し回って私を見つけてくれました。お姉ちゃんも暗いところが苦手だったのに、夕方の住宅街を必死に探してくれましたね。見つけてくれた時はお互い安心して、二人で抱き合って泣いていたところに、おばさんが迎えにきてくれたよね。そうやって、私が本当に困ったとき、一番にかけつけてくれるところは今でも同じです。いつもは素直に言えないけど、本当にありがとう。そんなお兄ちゃんがお嫁にいくと聞いた時、嬉しいような寂しいような、複雑な気持ちでした。でも藍さんに初めて会った時、『沙奈ちゃんだよね、お兄ちゃんからいつも聞いているよ』と優しく話しかけてくれた笑顔を見て、とても素敵な人を見つけたよねと思いました。藍さん、大切な私のお兄ちゃんを、めいっぱい幸せにしてあげてください。二人であたたかい家庭を築いていくのを、私も応援しています。本当におめでとう。ありがとうございました」

友人代表のつぼみと、風哉の妹である沙奈が、風哉と藍に向けてはなむけのスピーチを述べた。


 「みなさん、お待たせしました!それでは、新婦によるブーケトスを行います!」

結婚式が大詰めを迎えた頃、藍は薔薇やカーネーションといった青い花のブーケを投げる。

「わ、わー!」

すると、それがつぼみの手に渡る。

「私が、次の花嫁さん!?」

「その言い伝えがあるらしいです」

「つぼみの好きな人って…晴斗くんとプラチナだよね?」

「うん。どっちも好きだよ」

つぼみはブーケをもらったことに思わず照れた。

 「末永くお幸せに」

「ありがとう」

こうして、風哉と藍の結婚式は大成功のうちにお開きになったのであった。


 一方その頃、カレンとチャミィはプラチナの家でお留守番をしていた。

「あ~い、あ~い」

「がぶっ」

「こら、ボクの耳をかむんじゃない!すごく痛いじゃないか」

カレンに耳をかまれたことに困惑するチャミィ。

 しかし、

「子供って、無邪気だな」

チャミィはそう感じた。

「さあ、もうすぐつぼみたちが帰ってくる」

「あ~い!」

「さみしかっただろう」

「あい!」

カレンとチャミィは、つぼみたちの帰りを待っていた。


 その頃、ドクターはネメシス財団の本社ビルで、あることを考えていた。

「またあいつがプリンセスドールズにやられてしまったのか…これで何度目なのか…」

と嘆いたうえで、

「その戦いで、レッド&ゴールドのドールプリンセスがいたようだ。これこそ、ピンク、ブルー、イエロー、パープル&シルバーに次ぐ新しいドールプリンセスなのか?」

と予測した。

 さらに、

「すでに、次の発表会の準備も着々と進んでいる。近日中にネメシス財団名義の声明文を出そうとしている」

とダークミラージュの発表会の悲劇を繰り返さないように第二回の発表会を予告した。

 その知らせにチャミィは、

「ネメシス財団はどんなことを仕組んでくるかはわからない。だが、次の発表会までの時間は刻一刻と進んでいる。その時に新たなるドールプリンセスがいれば、きっとなんとかなるだろう」

と示唆した。

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