第27話 一緒にダンスを踊ってみよう!
ある日のポートフロンティア学園中等部での昼休み、つぼみたちはねねと一緒にランチを食べている。
「もうすぐ文化祭だね!」
「出し物も決めなくちゃ」
つぼみたちがポートフロンティア学園の文化祭について話すと、
「私のいるチアリーディング部は、ステージでパフォーマンスをやるよ!」
「ねねらしいね!」
「でも、自身があまりなくて…」
ねねは悩みを打ち明けると、
「じゃあ、私と一緒にレッスンをやってみたら?だって、私は運動神経抜群だからね」
と蘭はすぐさま打開策を出した。
「なら、今度の放課後に行くね!」
「うん!」
蘭はねねと約束する。
数日後、蘭はチアリーディング部の練習拠点である体育館へと向かう。
「ここが、チアリーディング部の練習場所ね」
だが、蘭は学校の部活ならではの厳しい現実を見てしまう。
「もう、何度言ったら分かってくれるの?ちゃんとリズムに乗って!」
「はい…」
「どうやら、リズム感が課題ね…」
と蘭は課題をあぶりだす。
そして、
「なら、やるしかないわ!」
と蘭はある行動に出る」
「すいません!」
「何の用ですか?」
「一年一組の星空蘭です。部外者ですが、私があなたの代わりに特別コーチをやってみたいです!お願い致します!」
「なら…いいわ」
「ありがとうございます!」
蘭はチアリーディング部の顧問の許可を得る。
その頃、先生に変装した怪盗トリオのアルファはチアリーディング部の練習風景を視察していた。
「あら、リズムについていけないチアリーディング部がここにいますわ。よし、これに決まりですわ」
と魔獣の生成に取り掛かると同時に、
「抜き打ちチェックの始まりですわ!」
とチアリーディング部にターゲットを定めている。
「さあ、ウォーミングアップを終えたところで、レッスンを始めましょう!」
「はい!」
レッスンを始めたばかりの蘭とチアリーディング部の目の前に、アルファが突如として現れた。
「あら、かわいらしい小娘ですわ。今から、抜き打ちリズム感テストを始めますわ!」
「何よ、私たちのレッスンはここからなのに!」
蘭の怒りをよそに、アルファが合図をする。
「では、本日の魔獣はこちら!DJの魔獣ですわ!」
すると、ストリート風のコスチュームとヘッドホンが特徴のDJの魔獣が現れた。
「行くわよ」
蘭はプリンセスムーンスターを使ってドールプリンセスに変身する。
「スター・アンド・ムーン!ドレスアップ!」
紫と銀色の光が蘭を包む。
「星と月のプリンセス・トウィンクルパープル、見参!プリンセスステージ、レッツスタート!」
トウィンクルパープルが現れると、リズム感のテストが始まった。
「リズムに合わせられるか、確かめるのですわ!」
「受けて立つわ!」
とアルファとの戦いの火蓋が切られた。
「色は匂へど 散りぬるを」
「我が世誰そ 常ならむ」
「有為の奥山 今日越えて」
「浅き夢見じ 酔ひもせず」
「じゅげむじゅげむ」
「ごこうのすりきれ」
「かいじゃりすいぎょのすいぎょうまつうんらいまつふうらいまつ」
「くうねるところにすむところ」
「やぶらこうじのぶらこうじ」
「ぱいぽぱいぽぱいぽのしゅーりんがん」
「しゅーりんがんのぐーりんだい」
「ぐーりんだいのぽんぽこぴーのぽんぽこなのちょうきゅうめいのちょうすけ」
すると、トウィンクルパープルとチアリーディング部はリズムに合わせて踊っていく。
「なかなかやりますわね!でも、次はもっと難しいですわ!」
今度は難易度が格段に上がる。
「ジャズシャンソン歌手」
「生麦生米生卵」
「老若男女」
「赤パジャマ黄パジャマ茶パジャマ 」
「青巻紙赤巻紙黄巻紙」
「除雪車除雪作業中」
「隣の客はよく柿食う客だ」
「この釘はひきぬきにくい釘だ」
「高架橋橋脚」
「貨客船の旅客」
「魔術師魔術修業中」
「不幸な夫婦は古い服」
「地味な爺やの自慢の地酒」
「駒込のわがまま者 中野の怠け者」
「第一著者 第二著者 第三著者」
「うちのつりびんは つぶれぬつりびん 隣のつりびんはつぶれるつりびん」
「むさしのむさしが原の武蔵坊弁慶」
「庭には鶏が二羽いました」
「東京特許許可局許可局長」
「四百四病で死なぬ信心の力」
「お綾や、八百屋におあやまり
「かえるぴょこぴょこ3(み)ぴょこぴょこ あわせてぴょこぴょこ6(む)ぴょこぴょこ
「マグマ大使のママ マママグマ大使」
「この寿司は少し酢がききすぎた」
「この杭の釘は引き抜きにくい」
「あぶりカルビ」
これはまだ序の口。
「家のつるべは潰れぬつるべ、隣のつるべは潰れるつるべ」
「ブスバスガイド バスガス爆発」
「国語熟語述語主語」
「打者 走者 勝者 走者一掃」
「あのアイヌの女のぬう布の名は何?あの布は名のない布なの」
「ある日昼ニヒルなあひるヒルにひるんだ」
「歌唄いが来て歌唄えと言うが 歌唄いくらい歌うまければ歌唄うが
歌唄いくらい歌うまくないので歌唄わぬ」
「お綾や親にお謝り お綾やお湯屋に行くと八百屋にお言い」
「大皿の上におおよもぎ餅 小皿の上にこよもぎ餅」
「親亀子亀子孫亀 親鴨子鴨子孫鴨」
「きくきりきくきり3きくきり あわせてきくきり6きくきり」
「空虚な九州空港の究極高級航空機」
「この竹垣に竹立てかけたのは竹立てかけたかったから竹立てかけた」
「新設診察室視察」
「議論好きの議員が 議事堂にぎっしり」
「坊主がびょうぶに上手に坊主の絵を書いた」
「入梅に入隊した大入道が にゅーと首出した」
「ラバかロバかロバかラバか分からないので ラバとロバを比べたらロバかラバか分からなかった」
「月づきに月見る月は多けれど月見る月はこの月の月」
「客が柿食や飛脚が柿食う飛脚が柿食や客も柿食う 客も飛脚もよく柿食う客飛脚」
「茶たばこのんで たばこ茶のむ 茶たばこ たばこ茶 茶たばこのむ」
「竹薮に竹立てかけたのは、竹立てかけたかったから、竹立てかけた」
「新進シャンソン歌手総出演新春シャンソンショー」
「貨客船 万景峰号」
「伝染病予防病院予防病室 伝染病予防法」
「ブタがブタをぶったらぶたれたブタがぶったブタをぶったので
ぶったブタとぶたれたブタがぶったおれた」
「にわの庭には二羽の鶏は鰐を食べた」
「東京特許許可局長今日急遽休暇許可拒否」
「骨粗鬆症訴訟勝訴」
「向こうの赤壁に赤蛙がかき上がって三かき上がる」
「家の行灯丸行灯 隣の行灯丸行灯 向こうの行灯丸行灯
三つ合わせて三丸丸行灯」
「どじょうにょろにょろ 三にょろにょろ 合わせてにょろにょろ 六にょろにょろ」
「君自身いんぎんに言いに行きなさい」
「飯島石七郎の言い分に偽りがある」
「瓜売りが瓜売りに来て 瓜売りのこし うり売り帰る 瓜売りの声
もう少しでリズム感テストが終わる。
「是々非々主義 候補者放送 東北地方の特派員 広島の紐で火鉢を縛る 百尺百里百薬」
「闇の中 謡曲熊野 雪の夜景 八日の夜の夜回り 夜通しよろよろ」
「楽焼で蘭をらくに焼きつける」
「歌うたいが歌うたいに来て 歌うたえと言うが 歌うたいが歌うたうだけうたい切れば 歌うたうけれども 歌うたいだけ 歌うたい切れないから 歌うたわぬ」
「獅子汁 獅子鍋 獅子丼 獅子シチュー、以上獅子食試食 審査員試食済み、新案獅子食 七種中の四種」
「魔術師手術中、手術中集中術著述」
「美術室技術室手術室 美術準備室技術準備室手術準備室 美術助手技術助手手術助手」
「輸出車 輸出湯 輸出酢」
「アンドロメダ座だぞ」
こんなに難しくても、彼女たちは乗り遅れることなくついていく。
「リズム感テストは…合格ですわ!」
「おあとがよろしいようで!」
トウィンクルパープルとチアリーディング部は力を合わせてリズム感テストをクリアした。
「ち、ちょっと何しているの!」
「リズムとは、私たちにとってなくてはならないもの。リズムに乗っていくことで、毎日が楽しくなることに違いないわ!」
「だから、忘れない!」
トウィンクルパープルとチアリーディング部は、リズムの大切さをアルファに伝える。
「行くわよ」
「うん」
トウィンクルパープルがプリンセスムーンスターにダイヤモンドのマジカルストーンをセット。その力をプリンセススタータンバリンに授けると、
「プリンセスステージ、ライブスタート!」
トウィンクルパープルによる魔獣の浄化がはじまった。
「発射のベルと」
「同時に出会う二人」
「でもすれ違ってしまう」
「早く会いたい」
「だけど知らない」
「だから だから unknown unknown」
「なぜそんなに会いたい?」
「あなたの思い」
「ねえ 目を合わせて」
「振り向かずに」
「そうそうそう 気になりそう」
「私の脳内は」
「あなたのことだらけ」
「さあさあさあ 勇気を出して」
「本当のことを」
「伝えに行こう」
「恋するリフレイン」
「ダイヤモンドの輝きでパワーアップ!乙女の輝き!ダイヤモンド・トウィンクル・ナビゲーション!」
トウィンクルパープルがプリンセススタータンバリンを魔獣に向けて響かせる。すると、魔獣は跡形もなく消えていった。
「ちゅ、ちゅ、ちゅるるわー!」
とコロンはマジカルストーンの気配を察知した。マジカルストーンが落ちていく方に行くと、
「キャッチ!」
とコロンがマジカルストーンを回収することに成功した。それを蘭のプリンセスムーンスターに認識して、
「カーネリアン。サーモンピンクのマジカルストーンよ」
「それではまた次回、輝く世界でお会いしましょう!プリンセスステージ、ハッピーフィナーレ!」
トウィンクルパープルが勝利宣言する一方で、
「次は絶対許さないからね!」
とアルファは砕けた口調で嘆きながらどこかへと去っていった。
「さあ、レッスン再開よ」
「はい」
蘭によるレッスンで、チアリーディング部はリズム感を身に着けるとともに自信を取り戻していく。
「さあ、ジャンプするわよ!」
チアリーディング部の一番の魅力である大ジャンプで練習を締めくくった。
「みんなで踊るとすごく楽しい!」
ねねは楽しそうにレッスンを受けていた。
その日の夕方、つぼみの家で蘭はそのことをつぼみたちに伝える。
「蘭、チアリーディング部の練習はどうだったの?」
「最初はみんな自信喪失気味だったけど、レッスンを通して取り戻すことができてよかったわ」
「意識改革になりましたね」
「さすが、蘭ちゃん」
つぼみたちも一安心した様子。
その時、蘭はあることを閃く。
「そうだ!私たち四人でダンス部を作ろうよ!」
「もちろん!」
「賛成ね!」
「ここの部活動のルールでは、四人以上の生徒が所属していることで部活動が成り立ちますから、これはよい考えですね」
とそのことをつぼみたちは受け入れた。
「四人組女子中学生ガールズアイドルグループ・『Princess Dolls』、ここにて誕生!」
「これからもプリンセスドールズの活動と同時にダンスと歌も頑張ろうね!」
「夢に向かって、やっていくのみです!」
「それぞれの心の輝きを信じて!」
こうして、つぼみ・沙奈・アリス・蘭からなるダンス部は産声を上げた。
一方その頃、ドクターはネメシス財団本社ビルの会議室で幹部と話している。
「ダイヤモンドのマジカルストーン保護作戦は失敗に終ったが、その二の舞を踏まないための作戦を考えた」
「何でしょうか?」
「その名も、パール保護作戦だ。幻のマジカルストーン・パールをプリンセスドールズから守り切ることが主な目的だ」
「それは斬新なアイデアです」
その時、ドクターの右手にはパールのマジカルストーンを肌身離さず握りしめていた。




