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Let's Go! ドールプリンセス・完全版  作者: 見習いさん
第2章 パール~Pearl~
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第26話 新たなるはじまり!ワクワクが止まらない!

第2章・パール編、開幕!

ネメシス財団の発表会から一週間後、蘭はつぼみの家に居候することになった。

「おはよう!」

「お、おはよう!」

同じ部屋にいるつぼみと蘭は、ポートフロンティア学園中等部の制服に身を包む。

「私だけの制服のリボン、可愛いでしょ?」

「そんな感じね」

「ここの学校の制服のルールでは、リボンは生徒によって異なるんだよ」

ポートフロンティア学園中等部の女子制服では、グレーと黒のブレザー制服に紺色のスカートとなっている。だが、リボンの形は異なっており、一般の生徒は赤い細めのリボンであるのに対して、つぼみたちプリンセスドールズは彼らと区別するため、リボンの形はかわいらしくなっている。

「私がやったヘアアレンジ、気に入ってくれた?」

「うん。似合っているわ」

両サイドに三つ編みを結ったロングヘアの蘭。

 そんな彼女に、つぼみがプレゼントを送る。

「これ、受け取って」

「ありがとう」

蘭は黄色い組紐をカチューシャ状に結んだ。

 「それでは、行ってきます!」

「行ってきます!」

「行ってらっしゃい」

つぼみと蘭はポートフロンティア学園中等部へと向かう。

「楽しみだね!」

「うん!」

通学路では、つぼみと蘭の会話がはじけていた。


 一年一組のホームルームでは、クラスメイトが何やら落ち着かない様子でいる。

「今日から新しくここを担当することになりました、神門ひかりです。よろしくお願いいたします」

「よろしくお願いします」

ネメシス財団のスパイとして闇営業を行っていた前担任の西野先生の懲戒免職以降、空席かつ一学年の担当教諭が持ち回りでやっていた一年一組の担任が神門先生に決まったのだ。

「初めての学級担任ですが、もし分からないことがあれば、気軽に尋ねてくださいね」

 さらに、

「今から席替えを行います!」

「わー!」

「やった!」

とこのクラスでは初めての席替えを行う。西野先生が担任だったころは、クラスの座席表がいつも固定していたからだ。

「楽しみだね!」

「うん!」

つぼみたちが気持ちを高ぶっていると、新しい座席表が発表される。

「つぼみちゃん、晴斗くんと隣同士よ!」

「私の今の気持ち、キュンキュンしてる!」

「これもつぼみらしいな」

「しかも、私とつぼみたちと同じ班ね!」

「つぼみ・沙奈・蘭と同じ班でいられることなんて、僕はとても幸せだよ」

とつぼみ・沙奈・晴斗・蘭は、自分たちが同じ班になったことに興奮を抑えきれない様子だった。


 その頃、標準制服に身を包んだ怪盗トリオは、ポートフロンティア学園中等部を偵察している。

「あら、にぎやかしい教室ですわ」

「ここに何かあるのかな?」

「気になるぞ!」

怪盗トリオは移動教室で不在の一年二組へと向かう。

 「中学生なのに鉛筆を使っている人、見つけましたわ!」

セーラー服のアルファはある人の机の中を物色していると、

「こっちはシャープペンシル!」

「三角定規にコンパスも!」

学生服のベータとガンマもこれに続いた。

「さあ、やりますわよ!」

「ガッテンだ!」

怪盗トリオは魔獣の生成に取り掛かる。

 休み時間でのこと、つぼみたちのいる一年一組にアリスが現れる。

「大変です!私たちのクラスメイトの一部が所有している文房具が何者かによって奪われてしまいました!」

「これは怪盗トリオの仕業であることに違いない」

「行こう、みんな」

「うん」

つぼみたちは一年二組に向かう。


 そこで待ち受けていたのは、怪盗トリオだった。

「あら、またお会いすることができて光栄ですわ」

「ん?新入りも!」

「どっかで見たことがあるぞ!」

怪盗トリオはダークミラージュから転生した蘭を気にしたが、

「そんなの、絶対許さない」

と蘭は思わず声を荒らげて言い返す。

「本日の魔獣はこちら!」

「文房具の魔獣だ!」

怪盗トリオの合図で、鉛筆や消しゴム、定規を利用した文房具の魔獣が現れた。

「さあ、変身よ」

「うん」

つぼみ、沙奈、アリスはプリンセスミラーで、蘭はプリンセスムーンスターで、それぞれドールプリンセスに変身する。

「ピンク・ジュエル・パワー!」

「ブルー・ジュエル・パワー!」

「イエロー・ジュエル・パワー!」

「スター・アンド・ムーン!」

「ドレスアップ!」

「愛のプリンセス・ラブリーピンク、見参!」

「水と氷のプリンセス・アクアブルー、見参!」

「花のプリンセス・シトラスイエロー、見参!」

「星と月のプリンセス・トウィンクルパープル、見参!」

「私たち、プリンセスドールズ!プリンセスステージ、レッツスタート!」


 プリンセスドールズが現れると、魔獣がこちらへと襲いかかる。

「さあ、やっちゃいなさい!」

「ガッテンだ!」

魔獣が三角定規を投げてくる。

「危ない!」

プリンセスドールズは次々と魔獣の攻撃をよけてくる。

 その時、チララはプリンセスドールズにアドバイスを送る。

「いいか、ここは新しい技を使うんだ!その技を出すために必要なマジカルストーンは、ローズクォーツ・アクアマリン・トパーズ・ダイヤモンド。これさえ使えば、ルビー・サファイア・シトリン・アメジストとは一味違った技を使うことができる」

「やってみるわ」

「うん」


トウィンクルパープルがプリンセスムーンスターにダイヤモンドのマジカルストーンをセット。その力をプリンセススタータンバリンに授ける。

「つないで!」

ラブリーピンク・アクアブルー・シトラスイエローは、ローズクォーツ・アクアマリン・トパーズのマジカルストーンをそれぞれのプリンセスミラーにセット。その力をプリンセスバトンロッドに授けると、

「プリンセスステージ、ライブスタート!」

プリンセスドールズによる魔獣の浄化がはじまった。

「瞳を閉じて」

「あのことを思い出してよ」

「嬉しいこと 楽しいこと」

「いっぱいあるはず」

「見えるもの 聞こえるもの」

「すべて知ってるとは限らない」

「だからこそ」

「今を生きていくしかない」

「一人じゃできないことも」

「みんながいればできるよね」

「1の力が100になる」

「不思議な魔法」

「心重ねる私たち」

「揃ったときに初めて」

「嘘なんて もういらない」

「真実の友情を感じたい」

「今こそ、心を一つに!プリンセス・ワンダフル・ギャラクシー!」

プリンセスドールズはひし形にフォーメーションを形成し、プリンセスバトンロッドとプリンセススタータンバリンを魔獣に向ける。ラブリーピンク・アクアブルー・シトラスイエローがプリンセスバトンロッドで自分たちのシンボルマークを描き、トウィンクルパープルがプリンセススタータンバリンを響かせる。すると、魔獣は跡形もなく消えていった。

「ちゅ、ちゅ、ちゅっぴー!」

とチララはマジカルストーンの気配を察知した。マジカルストーンが落ちていく方に行くと、

「キャッチ!」

とチララがマジカルストーンを回収することに成功した。それをつぼみのプリンセスミラーに認識して、

「タンザナイト。紺色のマジカルストーンだ」

「それではまた次回、輝く世界でお会いしましょう!プリンセスステージ、ハッピーフィナーレ!」

プリンセスドールズが勝利宣言する一方で、

「もう、今日も負けちゃったじゃないの!」

「なんだか俺たち」

「とっても嫌な感じ!」

怪盗トリオはこう嘆いて未来世界へと帰っていった。

 すると、文房具が落ちてきた。

「これ、僕の!」

「見つかった!」

「本当によかったです」

アリスは、怪盗トリオの手からクラスメイトたちの文房具が元の場所に戻ってきたことに安堵した様子だった。

「大将、潮さん、ねねさんは大丈夫でしたか?」

「なんともないで」

「僕のものは無事です」

「私も!」

大将・潮・ねねが所有している文房具は、怪盗トリオの盗難の被害にあわなかったという。


 放課後、一年一組にはつぼみたちの声がまだ響いてくる。

「そういえば、今日からここに赴任してきた神門先生、私たちとよくやっていけそうな気がする!」

「人柄がよくて、ちゃんと私たちに接していて、優しい感じがしたわ!」

「前の先生とは大違いだ」

とつぼみ・沙奈・晴斗は神門先生の第一印象を語ると、

「あの先生、私たちと協力できるかもしれません」

とアリスはそう思う。

 そのうえで、蘭は、

「確か、彼女も私たちの力になりたいと願っているわ。ネメシス財団と敵対しているし、プリンセスドールズについても知っているかもね」

とし、

「ドクターの本当の気持ちを知っている気がするわ」

と自らの経験を交えて神門先生について話した。

「でも、見守るしかないね」

「もちろんです」

「ネメシス財団を認めていないとすると、プリンセスドールズにかかわってくれるだろう」

つぼみたちも、ネメシス財団側である西野先生より、反ネメシス財団側の神門先生に期待を寄せているようだ。


 その頃、ネメシス財団本社ビルの地下倉庫では、怪盗トリオは反省会を行っている。

「今日もプリンセスドールズに負けちゃって、本当にショックが大きいですわ!これで何回目だと思っていますのよ!?」

「くそっ、俺たちに明るい未来はあるのか!?」

「次という次こそ絶対に勝つ!」

と四人体制になったプリンセスドールズに惨敗したことを悔しがっている彼らの前に、突如としてドクターが現れた。

 「調子はどうか?」

「そ、それが…」

「どうした?」

「今日もダメでした…」

「何をグズグズやっているんだ!しっかりしてくれ!」

「は、はい」

「り、了解…」

「頼んだぞ」

ドクターは、業務の失敗が続いている怪盗トリオに説教をする。

 すると、ドクターはあることを彼らに伝える。

「ついに、例のものが見つかった」

「何ですか?」

「気になる!」

「楽しみだ!」

「それは…パールだ。黄金に輝く幻の宝石だ。白銀に光るダイヤモンドとは対をなしている。ダイヤモンドとパールの二つの輝きが、おとぎの世界を支えているマジカルストーンだと言い伝えでは語られている」

とネメシス財団がパールのマジカルストーンを手に入れたことを語る。

「プリンセスドールズを今度こそ絶望という地獄にぶち込ませるために、これを守り切らなければなりませんわ!」

「ガッテンだ!」

と怪盗トリオは一念発起する。

「では、健闘を祈る」

ドクターは怪盗トリオの業務の成功を祈ってその場から立ち去ったのであった。


 その様子を、おとぎの世界にいる光の女神は、水晶玉を通じて見ていた。

「また闇の力が動き出したのですね…必ずパールのマジカルストーンをその手から取り戻さなければなりません。それが使命です。プリンセスドールズ、新しい戦いはもう始まっているのです…」

と新たな戦いの幕開けを意味する言葉を残したのであった。

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