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Let's Go! ドールプリンセス・完全版  作者: 見習いさん
第1章 ダイヤモンド~Diamond~
23/41

第23話 待ってて、ダークミラージュ

ネメシス財団の発表会まであと数日、どうやらポートフロンティア学園中等部の様子がおかしくなっている。

「では、出席をとります。名前を呼ばれたら返事をしてくださいね」

「藤村晴斗くん」

「はい」

「愛沢つぼみさん」

「はい!」

「雪海沙奈さん」

「はい!」

「星空蘭さん」

「すいません、星空さんは今日も欠席です」

「そうですか」

西野先生が担任教諭を務める一年一組では、欠席者が続出している。

「今日は、西野先生は私用のためお休みとさせていただきます」

と代理の先生が伝えた途端、

「欠席が多いので、今日から一週間は学級閉鎖になります」

と一年一組が学級閉鎖になったことをつぼみたちに告げる。

「わー!」

「やったー!」

「帰ろう!」

「静かにしなさい!その期間中はしっかりと勉強しなさい!」

ポートフロンティア学園はこれまでに難関の国立大学や名門私立大学に多くの卒業生を輩出している進学校であるせいか、代理の先生はクラスメイトたちに学級閉鎖期間中でも学業は怠らないように注意を促した。

 これについて、つぼみたちは、

「なんだか西野先生の不在が影響しているのかな」

「ネメシス財団の発表会が近いことも響いているみたい」

「そんな感じがするな」

と、西野先生の欠席と学級閉鎖がネメシス財団の発表会と関係があることを冷静に示唆した。


 そのことを放課後のプラチナの家でプラチナに伝えると、

「今日のポートフロンティア学園中等部では、欠席者が多くみられたわ。インフルエンザがまだ流行していないというのに」

「そんなことがあったのか。高等部ではいつものような光景がみられたのだが」

「二組は何ともありませんでしたが…」

「一組は異変を感じたよ」

「この件は、西野先生の仕業であることに違いない!」

と西野先生がネメシス財団から派遣されたスパイだと明かす。

 「そんなこと、絶対許せないよ」

「私たちが止めさせなきゃ」

教え子のつぼみと沙奈は、危機感を募らせた。

「では、大将・潮さん・ねねさんにもそのことをメールで伝えといておきますね」

アリスは、今回のことに影響していない大将・潮・ねねにスマートフォンで電子メールを送る。

「緊急 ネメシス財団の発表会が近づこうとしています。一年一組のクラスメイトが大変なことになっています。そこでお願いがあります。何かありましたら、私の元まで駆けつけてください」

このメールを送ると、

「アリスはん、ええ対応やな」

「緊急事態があれば駆けつけてほしいと」

「何かあったら、行かなくては!」

と決意を述べた。


 ついに、ネメシス財団の発表会が開かれる日が訪れた。

「すごく怪しい気配が漂ってきている。慎重に歩いていこう」

「分かったわ」

つぼみたちは、ポートフロンティア学園中等部の正門前に集合して、会場である横中国際アリーナを目指す。

「街もネメシス財団一色に染まってるね」

「なんだかおかしいよ」

横中市街を彩る広告はすべてネメシス財団の発表会を告知するものに切り替わっている。

 さらに、街中には、

「あの曲、どこかで聞いたことがあります」

「ダークミラージュの曲であることに間違いない」

とダークミラージュの歌声が流れてくる。

「もし時間を干渉できるのなら」

「過去と未来 どっちがいい?」

「もし時間を止められるのなら」

「どんな瞬間にしたい?」

「私は未来からやってきたの」

「現在には存在しない」

「Time Machine に乗って」

「二人でどこかに行こう」

「誰にも秘密にするから」

「Time Limit なんてないから」

「私の辞書には」

「自由にすればいい」

「Endless Time」

それは、「Time Romance」の新しいバージョンだった。


 歌声を頼りに歩き続けると、なぜか静かなる正統派の制服を身にまとったつぼみたちのクラスメイトらしき姿が。

「ここから先は行き止まりだ!」

 すると、怪盗トリオが現れる。

「あら、あなたたちも私たちの発表会に行くのですね。でも、ここで足止めですわ!」

「本日の魔獣はこちら!」

「くるみ割りの魔獣だ!」

怪盗トリオの合図で、そのセンター格であるくるみ割りの魔獣が現れた。

「さあ、変身よ」

「うん」

つぼみ、沙奈、アリスはプリンセスミラーでドールプリンセスに変身する。

「ピンク・ジュエル・パワー!」

「ブルー・ジュエル・パワー!」

「イエロー・ジュエル・パワー!」

「ドレスアップ!」

「愛のプリンセス・ラブリーピンク、見参!」

「水と氷のプリンセス・アクアブルー、見参!」

「花のプリンセス・シトラスイエロー、見参!」

「私たち、プリンセスドールズ!プリンセスステージ、レッツスタート!」


 プリンセスドールズが現れた途端、魔獣によって操られたつぼみたちのクラスメイトがダンスパフォーマンスを仕掛けてくる。

「私たちと敵対しているのかな?」

「そんな感じがします」

「私たちをにらんできているわ…」

その大半は西野先生を慕っており、先日の授業を無断で欠席していた。

 「動きが鋭い!」

「ついていけません!」

「高速なスピード!」

しかも、彼らはものすごい速さでフォーメーションを四角から丸へと変えてくる。

 だが、その時だった。

「みんな!」

「待ってたよ!」

「助けにやってきました!」

そんなプリンセスドールズの目の前に、大将。潮・ねねが駆けつけてきた。

「なんで学校を休んだんや?」

「無断欠席なんて、許しません!」

「だったら、その前に担任の先生に報告して!公欠なら、公欠届を出さなければならないし」

と三人は彼らを差し押さえる。

「大将、潮さん、ねねさんのおかげで力がみなぎりました!」

「さあ、今がチャンスだわ!」

「行くよ!」


プリンセスドールズは、ルビー・サファイア・シトリンのマジカルストーンをそれぞれのプリンセスミラーにセット。その力をプリンセスバトンロッドに授けると、

「プリンセスステージ、ライブスタート!」

マジカルストーンでパワーアップしたプリンセスドールズによる魔獣の浄化がはじまった。

「Shining! 輝きを」

「いっぱい集めて」

「そのボルテージを」

「高めていこう」

「ここからまた始まる」

「私たちの物語」

「Star Light Stage」

「ときめいて」

「アイドルになっちゃおう」

「恥ずかしがらずに」

「Star Light Stage」

「一緒に」

「盛り上げていこう」

「一体感を高めて」

「Stardom!」

「今こそ、心を一つに!プリンセス・トリニティ・ストリーム!」

プリンセスドールズがプリンセスバトンロッドでそれぞれのシンボルマークを描き、魔獣に向かって放つ。すると、魔獣は跡形もなく消えていった。

「ちゅ、ちゅ、ちゅっぴー!」

とチララはマジカルストーンの気配を察知した。必死でマジカルストーンが落ちていく方に行くと、

「キャッチ!」

とチララがマジカルストーンを回収することに成功した。それをつぼみのプリンセスミラーに認識して、

「アメジスト。旧約聖書の『出エジプト記』に、高僧の胸当てに飾られている12種類の宝石の1つとして登場するなど、歴史は古い。プリニウスの『博物誌』では、紫色の宝石の中で最高のものはインド産である。キリスト教では伝統的に、男性の宗教的献身のシンボルであった。星と月の力を持つ紫のマジカルストーンだ」

「それではまた次回、輝く世界でお会いしましょう!プリンセスステージ、ハッピーフィナーレ!」

プリンセスドールズが勝利宣言する一方で、

「もう、行き止まりが解放されてどうするの!」

「なんだかとっても嫌な感じ!」

「今回は特別だからね!」

とプリンセスドールズたちの機転を利かせたチームワークに圧倒された怪盗トリオは降参して未来世界へと帰っていったのであった。


 その後、魔獣によって操られていたつぼみたちのクラスメイトはみんな元に戻っていった。

「くるみ割りの魔獣に操られていた一年一組のクラスメイトたちは、全員保護しました!」

「これでもう大丈夫やで。アリスはん、つぼみはん、沙奈はん、あとは頼んだで!」

「ネメシス財団の計画を阻止するために、がんばってね!」

大将・潮・ねねがつぼみたちにエールを送ると、

「今度は私たちががんばるからね」

「蘭さんの心のトゲトゲ、癒して見せます!」

「みんなのこと、絶対守るから!」

とつぼみたちはこう返した。

 「さあ、行くわよ」

「うん」

つぼみたちは横中国際アリーナへ全力で駆け抜ける。


 その頃、横中国際アリーナでは、ドクターと西野先生が発表会の準備を進めていた。

「発表会の準備はできた」

「後は君に託す」

「分かりました」

「では、健闘を祈る」

ドクターは西野先生を残して未来世界へと帰っていく。

 「さあ、ダークミラージュ、出番だ」

「スイッチ スタート」

ダークミラージュは黒いプリンセスバトンロッドを出す。

「きっと誰かが救いの手を」

「差し伸べてくれるのなら」

「私は構わないわ」

「街に灯るネオンの光」

「もう見飽きちゃったの」

「そう 私はもう」

「見慣れた私ではない」

「生まれ変わるのだから」

「今」

「探しているの ほしいもの」

「時を超えて 空を超えて」

「まだ見たことない宝石」

「それが黒いダイヤモンド」

「出口のないトンネル」

「答えのない質問」

「今の世界はわからないものばかり」

「そう 私はもう」

「誰にも頼らない」

「何も怖くないのだから」

「見つけたい つかみたい」

「大地をかけ 大空をかけ」

「私が勝ち取るから」

「それが黒いダイヤモンド」

「見つけたい つかみたい」

「時を超えて 空を超えて」

「夢がかなう宝石」

「それが黒いダイヤモンド」

 こうして、ネメシス財団が手塩にかけて温めてきたダークミラージュの「黒いダイヤモンド」は、西野先生の手によって完成された。

「これで、発表会は行ける」

西野先生はこう自信をのぞかせる。


 そのうちに、つぼみたちはネメシス財団の発表会の会場である横中国際アリーナへとたどり着いた。

「すごい人だかりです」

「噂を聞いて、ここに来たのね」

「これは多くの注目を集めているよ」

 すると、プラチナが合流する。

「よくここまで来たんだね。でも、発表会はもうそろそろ始まろうとしている。さあ、中へ入ろう」

「うん」

つぼみたちは、アリーナの中に入る。

 そこで待ち構えていたのは、西野先生だった。

「レディースアンドジェントルマン!ボーイズアンドガールズ!ご来場の皆さん、大変長らくお待たせいたしました!ただいまから、我々ネメシス財団による発表会の幕開けです!」

 そこには、ポートフロンティア学園中等部で多くの生徒に数学を教えていた教師の面影が完全に消えていた。

「あなたが一年一組の学級担任の西野佑先生なのね!」

「私たちを裏切るなんて、許せない!」

とつぼみと沙奈は怒りを露にすると、

「もう、私は君たちが知っている私ではない。さあ、本日のメインイベントだ!我々がいくつもの時間を費やしてついに完成した新しいドールプリンセス・ダークミラージュのおでましを!」

 すると、蘭が現れた。

「あなたがダークミラージュなの!?」

「本当のことは?」

「正直に言ってください!」

とつぼみたちが問いかける。

「そうよ」

と返した蘭。

「ダーク・ジュエル・パワー!ドレスアップ!」

黒いプリンセスミラーで蘭はダークミラージュに変身する。

「闇のプリンセス・ダークミラージュ、見参!」

ついに、つぼみたちの目の前にダークミラージュが現れたのであった。

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