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Let's Go! ドールプリンセス・完全版  作者: 見習いさん
第1章 ダイヤモンド~Diamond~
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第16話 晴斗と危険なメロディー

未来世界にあるネメシス財団本社ビルでは、ドクターとダークミラージュがある作戦を実行しようとしていた。

「ここがネメシス財団専用のレコーディングスタジオだ」

「すごく快適な場所ね」

「ああ、ここで君の歌声を録音する」

「分かったわ、お父様」

「それでは、準備を」

ダークミラージュがドクターに案内されたのは、広々としたレコーディングスタジオだった。

「では、行くぞ」

「スイッチ、スタート」

バックバンドによる生演奏に合わせて、ダークミラージュは、マイクに目を向ける。

「もし時間を干渉できるのなら」

「過去と未来 どっちがいい?」

「もし時間を止められるのなら」

「どんな瞬間にしたい?」

「私は未来からやってきたの」

「現在には存在しない」

「Time Machine に乗って」

「二人でどこかに行こう」

「誰にも秘密にするから」

「Time Limit なんてないから」

「私の辞書には」

「自由にすればいい」

「Endless Time」

 「いいぞ、その調子だ」

ドクターは、ダークミラージュの歌声に手ごたえを感じている様子だった。


 その頃、つぼみたちは晴斗の家の目の前にいた。

「ここが、晴斗くんのお家ね!」

「楽しみです!」

「ドキドキしちゃう…!」

つぼみたちが期待を膨らませていると、家の門が開いた。

「ようこそ、藤村家へ。今日はどちら様でございますか?」

「同じポートフロンティア学園中等部に通っています」

「なら、入っていいでしょう」

「お邪魔します!」

「では、中にどうぞ」

つぼみたちは、晴斗の家に潜入する。

 するといきなり、りんどうや青いバラなどの青い花をいけている花瓶を発見する。

「晴斗くん、青い花が好きなのかな…」

こうつぼみが察すると、晴斗が現れた。

「やあ、待たせたね」

「晴斗くん!」

「僕のお家、どうかな?」

「すごくきれいだわ!」

「現代の豪邸という感じです!」

「とても大きくて広いイメージだったよ!あと、晴斗くんのスーツ姿もかっこいいね!」

「みんな、ありがとう。それでは、リビングでお茶をしよう」

「そうね!」

「せっかく来たということだからね」

「賛成です!」

「じゃあ、リビングに行こう」

「うん」

つぼみたちは、晴斗に導かれてリビングへと向かう。


 「ここが、自慢のリビングだよ」

「すごい!」

「スタイリッシュな光景ね!」

「正面にはテレビもありますし」

そこには、黒いソファーとガラスのテーブルが置かれていた。

「今日は、とっておきのおもてなしだ」

「ありがとう!」

晴斗はつぼみたちのために、シフォンケーキとローズヒップティーをもてなす。

「今日は、僕の執事が東京駅で購入したシフォンケーキとつぼみたちがきっと喜ぶであろうローズヒップティーだ」

「では、いただきます」

「いただきます」

「召し上がれ」

「ぱくぱく…おいしい!」

「それはよかった」

「ちょうどいい味がします」

「ふわふわの食感だね!」

つぼみたちは、シフォンケーキを嬉しそうに食べる。

「ローズヒップティーはどうかな?」

「いいお味がするよ!」

「ビタミンがたっぷり入っているからね」

「私たちにとって、最適な飲み物に違いありません!」

「そうか。なら、よかった」

晴斗は、つぼみたちにローズヒップティーを気に入ってくれて、笑顔を見せた。

 「そういえば、晴斗くんの家族は?」

「お父様は、国際警察の一員。東京大学を首席で卒業したエリートだ。お母様は世界で知らない人がいないくらい有名なピアニスト。学生時代にヨーロッパで武者修行したほど腕前がいい。両親は本当に忙しくて、そろって会うことができる日もほとんどないかな」

「そう。でも、本当は会いたいんだよね」

「共働きだからね」

「国際警察とピアニストのお仕事って、大変です」

「ああ。いつかそうなる日は来るだろう」

晴斗は、仕事が多忙すぎて会うことすらままならない両親と親孝行することを望んでいるようだ。


 すると、ピアノの音が聞こえてきた。

「ド、ド、ドレミファソラシド…」

その音をチララが察知すると、

「大変だ!怪しい予感がする」

つぼみたちにそのことを伝える。

「今すぐ廊下に急行だ!」

「晴斗くん、ここで待ってて」

「私たちが何とかしますから」

「危険な香りがするわ」

「分かった」

 身の安全を確保するためにリビングに晴斗を残して、つぼみたちは廊下に出る。

「さあ、変身よ」

「うん」

つぼみ、沙奈、アリスはプリンセスミラーでドールプリンセスに変身する。

「ピンク・ジュエル・パワー!」

「ブルー・ジュエル・パワー!」

「イエロー・ジュエル・パワー!」

「ドレスアップ!」

「愛のプリンセス・ラブリーピンク、見参!」

「水と氷のプリンセス・アクアブルー、見参!」

「花のプリンセス・シトラスイエロー、見参!」

「私たち、プリンセスドールズ!プリンセスステージ、レッツスタート!」


 プリンセスドールズが玄関に向かうと、ピアノが魔獣の手によって操られているのが目撃する。

「あれは…!」

「幻像の魔獣だ!」

「しかも、ピアノが操られている!」

「大変です!」

魔獣は、ショパンの夜想曲第二版、いわゆるノクターンをピアノで演奏している。チララによると、今回ネメシス財団が未来世界から送り込んできた魔獣は、長い銀髪にノースリーブの青いドレスをまとった女性をかたどった幻像の魔獣だとチララは語る。

 「でも、どうすれば…」

「この魔獣は、とても繊細な性格をしている。ピアノの演奏を止めるには、キミたちの歌が欠かせない!」

「うん!」

 プリンセスドールズは、歌とダンスを魔獣に向けて披露する。

「プリンセスステージ、ライブスタート!」

「暗くて深い 闇の向こうに」

「一人さびしく たたずんでいた」

「だけどもう 怖がらないで」

「それは迷いを 断ち切ったしるし」

「春風に向かって 旅立っていく」

「さあ 夢の扉を開こう」

「輝く未来に向かって 放つよ私だけのメロディ」

「愛を守るため みんなを守るために」

「きらめく世界に奏でる 私とあなたのハーモニー」

「あなたのそばにいる それがプリンセスなんだから」

すると、魔獣はピアノの演奏を止めた。


 その時だった。

「晴斗、助けて…」

という女性の叫び声が聞こえてきた。

「あの声は…」

「もしかして…」

「晴斗くんのお母さん…!」

プリンセスドールズは魔獣の本体が晴斗の母親だと明かすと、張本人の息子が現れた。

「お、お母様がこんなところに…」

と、晴斗は言葉を失う。

 しかし、すぐに立ち直り、

「プリンセスドールズ、お母様を助けてほしい」

「うん」

晴斗は、プリンセスドールズに自分の母親の救出と魔獣の浄化を託した。


 「さあ、マジカルストーンでパワーアップ!」

プリンセスドールズは、ルビー・サファイア・シトリンのマジカルストーンをそれぞれのプリンセスミラーにセット。それをプリンセスバトンロッドに授けると、魔獣の浄化と晴斗の母親の救出のふたつの作戦が始まった。

「Shining! 輝きを」

「いっぱい集めて」

「そのボルテージを」

「高めていこう」

「ここからまた始まる」

「私たちの物語」

「Star Light Stage」

「ときめいて」

「アイドルになっちゃおう」

「恥ずかしがらずに」

「Star Light Stage」

「一緒に」

「盛り上げていこう」

「一体感を高めて」

「Stardom!」

「今こそ、心を一つに!プリンセス・トリニティ・ストリーム!」

プリンセスドールズがそれぞれのシンボルマークを描き、魔獣に向かって放つ。すると、魔獣は跡形もなく消え、晴斗の母親を無事に救出することに成功した。

「ちゅ、ちゅ、ちゅっぴー!」

とチララはマジカルストーンの気配を察知した。必死でマジカルストーンが落ちていく方に行くと、

「キャッチ!」

とチララがマジカルストーンを回収することに成功した。それをつぼみのプリンセスミラーに認識して、

「エメラルド。内部に特有の傷が無数にあり、これが天然ものの標識ともなっている。当然ながら、大きく、傷が少ないほうが価値が高く、明るく濃い緑色のものが最上級とされる。エメラルドは天然には良質の石がほとんど産しないため、かなりの傷物も宝石として流通させることが一般に認められており、その場合オイルや樹脂に浸すなど化学的処理を施して傷を隠したり、石の耐久度を高めたりする。特に無処理、ノンオイルとのことわりがない限り、この手の処理を施してあると考えて差し支えない。処理が下手な場合、時間の経過とともにオイルが蒸発する、またかなり高度な処理であっても、近年宝石店の店頭でも盛んに行われている超音波洗浄機によりオイルが抜けてしまうことがあり、そうなると本来の傷物の姿に戻ってしまう。緑に輝くマジカルストーンだ」

「それではまた次回、輝く世界でお会いしましょう!プリンセスステージ、ハッピーフィナーレ!」

プリンセスドールズがこう勝利宣言した。


 「お母様、大丈夫?」

「ええ。ケガもなくて無事でした」

「それはよかったね」

「一安心ね」

「命に別条がなく、元気そうです」

晴斗の母親が無事に救出できたことに、つぼみたちはほっとした表情だった。

「助けてくれてありがとう」

「お礼を言うなら、こっちの方だよ。お母様」

「そっちでしたか」

「どういたしまして」

つぼみたちに助けてくれたことを、晴斗の母親は感謝する。

「そうそう、自己紹介を忘れていましたね。私の名前は、藤村みなみです。よろしくお願いします」

晴斗の母親がつぼみたちに自己紹介をすると、

「このピアノ、お母様が大切にしているものだ」

「そう、私が子供だった頃からずっと使っているわ。さあ、私の腕前、あなたたちに見せてあげる」

「ありがとう!」

「それでは、準備をお願い」

「分かったわ」

お礼として、世界で有名なピアニストである晴斗の母親がピアノを弾く。

「すごくきれいな音色です!」

「これはとっても素敵なメロディーね!」

沙奈とアリスは晴斗の母親の生演奏に耳をすませると、

「あのメロディー…幼いころ晴斗くんと一緒に聞いていたものと同じ!」

つぼみは何かを思い出したそう。

「ラフマニノフの『ピアノ協奏曲第二番第一楽章』、晴斗くんのお母さんが奏でると忘れられないメロディーに!」

とつぼみは幼少期の自分を思い浮かべる。

 それは、つぼみがまだ六歳だったころ、晴斗に誘われて自分の母親によるピアノリサイタルに招待されていた。

「すごいメロディー!」

つぼみは、あの時きいた音をずっと忘れていないという。

 「最高だったよ!」

「これは本当に素敵ね!」

「完璧な旋律でした!」

「気に入ってくれたんだな」

「本当にありがとう!」

つぼみたちは、晴斗の母親の生演奏に感銘を受けて、拍手をするのであった。

 「それでは、お邪魔しました!」

「今日はありがとう!」

「また来るね!」

つぼみたちがお家に帰っていった。

「晴斗、これからもつぼみたちのことをよろしくね」

「幼稚園からの幼なじみとして、ポートフロンティア学園中等部でのクラスメイトとして、そしてプリンセスドールズを支えていく存在として、まだまだやらなければいけないことがいっぱいある。だから、僕はずっと彼女たちの力であり続ける」

晴斗は、つぼみたちのことを信頼しているようだ。


 それから数時間後、晴斗はパソコンでプラチナとビデオ電話をする。

「もしもし、王子さま?」

「晴斗くんか。プリンセスドールズの調子はどうかな?」

「順調にマジカルストーンは回収しているようだ」

「いくつ手に入れた?」

「今日で二十個目だ」

「それはよかった」

「今日、つぼみから話を聞いたからね」

プラチナは、晴斗からプリンセスドールズの近況を聞いて安心する。

 そのうえで、

「いいか、よく聞いてほしい」

「大事なことなのか?」

「ああ。ネメシス財団が生み出した闇のプリンセス・ダークミラージュがそろそろ曲を出すそうだ」

「どういうことだ、ダークミラージュがプリンセスドールズと同じように歌を歌うとは!」

「まあまあ、落ち着いて。もし僕たちがその曲を聞いたのなら、何かしらの対処をするから、安心して」

「分かった」

「では、失礼するよ」

「またな」

プラチナから衝撃の事実を聞いた晴斗は、

「僕らがプリンセスドールズと協力しなければ、彼女の作戦を阻止することさえ厳しくなるだろう」

と危機感を募らせた。

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