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Let's Go! ドールプリンセス・完全版  作者: 見習いさん
第1章 ダイヤモンド~Diamond~
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第14話 梅雨の大荒れ注意報!

ある夜遅くのこと。横中市一体に暴風が吹き荒れていた。

「本日の魔獣はこちら!」

「竜巻の魔獣だ!」

その原因は、怪盗トリオのベータとガンマが生み出した竜巻の魔獣だった。

「愛のプリンセス・ラブリーピンク、見参!プリンセスステージ、レッツスタート!」

ラブリーピンクが浄化に挑む。

「Tell me 私に」

「愛の本当の意味を」

「答えてくれるのなら」

「きっと変わるはず」

「たとえ遠く離れても」

「会えなくなってしまっても」

「心の中でつながっている」

「君に向けて I love you」

「向かい風に吹かれても」

「君を感じて I feel you」

「私だけのLove Song」

ラブリーピンクがパフォーマンスを終えると、

「ルビーの輝きでパワーアップ!乙女の愛!ルビー・スイート・ハート!」

プリンセスバトンロッドでマゼンタのハートを描き、魔獣に向けて放つ。すると、魔獣は消滅した。

「ちゅ、ちゅ、ちゅっぴー!」

とマジカルストーンの気配を察知した。マジカルストーンが落ちていく方に行くと、

「キャッチ!」

とチララがマジカルストーンを回収することに成功した。それをつぼみのプリンセスミラーに認識して、

「アイオライト。菫色のマジカルストーンだ」

と暴風は収まった。

「それではまた次回、輝く世界でお会いしましょう。プリンセスステージ、ハッピーフィナーレ」

ラブリーピンクが静かに勝利宣言をすると、

「逃げるぞ」

「また泥棒呼ばわりしてしまう」

ベータとガンマも音を立てずに未来世界へと帰っていった。


 その翌朝、つぼみの家でのこと。

「おはよう!」

「おはよう。今日も元気だね」

「おはようございます、つぼみさん」

「じゃあ、ご飯にしよう」

「そうですね」

「では、いただきます!」

「いただきます」

「召し上がれ」

 つぼみの家族が朝食を食べていると、テレビに天気予報が流れてきた。

「おはようございます。ここからは、全国のお天気をお伝えします。今日は、東海・北陸から東北南部にかけて、午前中は晴れますが午後から次第に天気が急変するかもしれません。ところにより雷や突風、竜巻を伴う可能性があります。くれぐれもお帰りの際には気をつけてください。一方、近畿から西と北海道は一日中晴天が続きそうですが、熱中症にご注意ください」

そのことについて、つぼみは、

「傘、持ってくるね」

と言うしかなかった。

 「では、行ってきます!」

「行ってらっしゃい」

「気を付けて」

つぼみはいつもにようにポートフロンティア学園中等部に登校していると、空は青く澄んでいた。

「気持ちがいい朝ね!」

つぼみはこうつぶやいた。


 「ねぇ、最近は異常気象が多いよね?」

「うん。昨夜も嵐が吹き荒れていたし」

つぼみたちは、最近の横中市の気象について語っている。

「今日も、午後から雨が降ってくるそうです。みなさんは傘を持ってきましたか?私は持ってきましたが」

「折り畳みの傘、持ってきたよ

「私も」

「帰りは気をつけてください」

「うん!」

つぼみたちは、大雨を警戒している。

 一方その頃、怪盗トリオのベータとガンマは、横中の上空を水陸空兼用のセグウェイに乗って飛んでいた。

「ここから羽田空港が見えるじゃん!」

「反対側には、富士山と湘南も!」

「後ろには白銀山脈も!」

「なんていい風景なんだ!」

ベータとガンマは、横中とその周辺の街を見下ろしている。

「おっ、先に進もう!」

ベータとガンマは何かを見つけたようで。

「雲の赤ちゃん」

「発見!」

「これを魔獣にしよう!」

「ガッテンだ!」

ベータとガンマは、魔獣の生成に取り掛かる。


 今にも雨が降り出しそうな空模様の放課後。

「じゃあ、また明日」

「またね」

「またね、つぼみちゃん、晴斗くん」

下校の途についた沙奈。その時だった。

「大変だ!怪しい予感がする」

突然、チララが沙奈の目の前に現れて、魔獣が近くにいることを知らせる。

「どこにいるの?」

「中庭だ!」

「そうね、急ぎましょう!」

沙奈とチララは、中庭に急行する。

「雨雨 降れ降れ 母さんが」

「蛇の目で お迎い うれしいな」

「ピッチピッチ チャップチャップ」

「ランランラン」

「かけましょ かばんを 母さんの」

「後から ゆこゆこ 鐘がなる」

「ピッチピッチ チャップチャップ」

「ランランラン」

「あらあら あの子は ずぶぬれだ」

「柳の 根方で ないている」

「ピッチピッチ チャップチャップ」

「ランランラン」

「母さん 僕のを 貸しましょか」

「きみきみ この傘 さしたまえ」

「ピッチピッチ チャップチャップ」

「ランランラン」

「僕なら いいんだ かあさんの」

「大きな 蛇の目に 入ってく」

「ピッチピッチ チャップチャップ」

「ランランラン」

チララは、怪盗トリオと思われる声を察知する。

「こっちだ!」

「近くに中庭が!」

すると、声が大きくなってきた。

「カエルの歌が」

「聞こえてくるよ」

「クヮ クヮ クヮ クヮ」

「ケロケロケロケロ」

「クヮクヮクヮ」

その歌声を頼りに中庭に向かうと、ベータとガンマの姿があった。

「遅かったな!」

「それはさておき」

「本日の魔獣はこちら!」

「水源の魔獣だ!」

ベータとガンマの合図で、水でできたドラゴンをかたどった水源の魔獣が現れた。

「さあ、変身するわよ」

沙奈はプリンセスミラーを使ってアクアブルーに変身する。

「ブルー・ジュエル・パワー!ドレスアップ!」

青い光が沙奈を包む。

「水と氷のプリンセス・アクアブルー、見参!プリンセスステージ、レッツスタート!」


 アクアブルーが現れると、雨が強くなってきた。

「さあ、雨乞いだ!」

「行くぞ!」

雨が降りしきる中、アクアブルーは魔獣の浄化に挑む。

「横中にゲリラ豪雨をもたらすのも、魔獣のせいなのね!ずっといい天気が続かないのもあなたたちのおかげだわ!」

「ついていけるかな?」

「逃げるぞ!」

 アクアブルーと魔獣による追いかけっこが始まった。

「こっちだ!」

「分かったわ!」

ゲリラ豪雨に見舞われている横中で、逃げていく魔獣をアクアブルーが追ってくる。

「何だと!?」

「すばしっこいぞ!」

アクアブルーは必死のスピードで、バレエで身に着けたターンやステップを披露しながら追いかけていく。

 すると、わかば幼稚園の屋上にあるプールが見えてきた。

「あのプールに魔獣をおびき寄せるんだ!」

「これはナイスアイディアね!」

そこにたどり着くと、チララは冷却室のドアを開ける。

「凍らせたら、動かなくなるかもしれない!」

冷たい風を感じたのか、魔獣は凍り付いてしまった。

「あっ、アクアブルーだ!」

「強くてかわいい!」

そこに、リコとロコが現れた。

「頑張って魔獣をやっつけるからね」

「風邪、引かないでね」

「お姉ちゃんの友達、がんばれ!」

リコとロコは、アクアブルーにエールを送る。


 アクアブルーはサファイアのマジカルストーンをプリンセスミラーにセット。その力をプリンセスバトンロッドに授けると、

「プリンセスステージ、ライブスタート!」

アクアブルーによる魔獣の浄化がはじまった。

「青い夏の空の下で」

「君が自転車を進んでいく」

「ペダルをこいだ先には」

「私が待っているから」

「幼い頃 二人で見ていた」

「あの景色を見てみたいから」

「もう一度」

「思い出の海」

「青く澄んだ世界が」

「忘れられない」

「ここをたとえ離れても」

「ずっと頭の中に…」

「思い出の海よ…」

「サファイアの輝きでパワーアップ!乙女の美しさ!サファイア・プリズム・ブリザード!」

アクアブルーがプリンセスバトンロッドでダイヤを描くと、魔獣は消滅していった。

「ちゅ、ちゅ、ちゅっぴー!」

とマジカルストーンの気配を察知した。マジカルストーンが落ちていく方に行くと、

「キャッチ!」

とチララがマジカルストーンを回収することに成功した。それを沙奈のプリンセスミラーに認識して、

「アクアマリン。その名の通り海の色をした宝石だが、海に投げ入れると瞬時に溶け込んでしまうと言われるほどで、その事から古いヨーロッパの船乗り達は、この石を海の力の宿ったお守りとして大切に持っていた。ブラジルのサンタマリア鉱山で採掘される深いマリンブルーの石が最高品質とされているが、現在は枯渇状態である。しかし最近では他の鉱山でもこれと同様の品質の石が採掘されており、現在ではこの深いマリンブルーの物を一般的に「サンタマリア」若しくは「サンタマリア・アフリカーナ」と呼んでいる。それ以外にも産地としてはスリランカ、マダガスカル、ロシア、パキスタン、アフガニスタン、インドなどが知られている。水色のマジカルストーンだ」

「それではまた次回、輝く世界でお会いしましょう!プリンセスステージ、ハッピーフィナーレ!」

アクアブルーが勝利宣言する一方で、

「何だかとっても」

「嫌な感じ!」

ベータとガンマはこう嘆いて、未来世界へと帰っていった。

「ありがとう、アクアブルー!」

リコとロコはアクアブルーに感謝の言葉を述べた。


 「さて、昨日の雨で水が汚れたことだし、プール掃除するなら今がチャンスね!」

幼稚園の先生がプール掃除に取り掛かる。

「ふっー、早く終わってすっきりした!」

プール掃除は案外早く終わったようだ。

 それから数日後、わかば幼稚園ではプール開きを行った。

「さあ、お待ちかねのプールだよ!」

「はーい!」

澄み渡る快晴の空の下、園児たちはプールを楽しんでいる。それを、つぼみたちは見ていた。

「楽しそうね!」

そんなつぼみたちに、幼稚園の先生がやってきた。

「リコとロコのお友達ですか?」

「そうです!」

「ありがとうございます。このおかげでいつもより早くプール開きをすることができました。本当に助かります」

先生は、魔獣を浄化したおかげでプール開きが例年より早まったと語った。

「みんな、本当に気持ちよさそう」

「私のおかげね」

「本当ですか!」

「すごいね!」

沙奈は、つぼみとアリスにこう説明する。

 「梅雨のプール開きって、新鮮ね」

「珍しい光景です」

「一生の思い出になりそう!」

こうして、つぼみたちは梅雨のプール開きをプリスタグラムに投稿したのであった。

「いいねがいっぱい!」

「私のおかげね!」

「さすが、沙奈さんです!」

「ありがとう!」

その投稿は、世界中のプリスタグラマーから多くのいいねがつけられたようだ。


 一方その頃、一年一組の廊下で蘭は西野先生と会話をしていた。

「あの…星空さん、ちょっと態度が悪いです」

「どういうこと?」

「授業態度が悪いことだ。いい加減にしてください」

「次から直します」

西野先生に授業態度を注意された蘭だが、黒いプリンセスミラーを使う。

 「ダーク・ジュエル・パワー!ドレスアップ!」

蘭は一瞬にしてダークミラージュに変身した。

「さあ、何がしたいの?」

「星空さん、どうしたんだ…」

「何を求めているの?」

「星空さん…!」

「とどめね」

「うわっ!」

ダークミラージュは自身の手によって黒く濁らせたダイヤモンドのマジカルストーンを利用して、西野先生を脅したのであった。

 「使えない教師ね…」

ダークミラージュはこうつぶやいて、どこかに立ち去っていった。

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